ゲンキボール
孫とおばあちゃんの相性は、ぴったりです。
孫にとってもおばあちゃんにとっても、お互いに癒しの存在となっています。
ミッタニは、みんなの心に温かいエネルギーを注ぎ込み、笑いを誘う力を持っています。
ミッタニに会うと、おばあちゃんは笑ってしまいます。彼の一言で、胸がキュンとします。
第一話 ゲンキボール
8歳の少年は、みんなから「ミッタニ」と呼ばれています。ミッタニは、温かくてみんなを笑わせて、元気にさせるゲンキボールを、心の中に持っています。
このゲンキボールは、スーパーボールです。
おばあちゃんが、毎月新幹線に乗って、東京の家に遊びに来ます。
4歳になったある日のことでした。
ミッタニの部屋の扉には
「おばあちゃん、ようこそ!いっしょにあそぼうね」
と書かれていました。
「わあ!もう字が書けるようになったんだね。
優しい子だね」
と言いながら、ドアを開けました。
ミッタニは、おばあちゃんに褒められて、とても嬉しそうでした。
田舎から出てくるおばあちゃんは、東京に来ると右も左も分かりません。キャリーバックを持って、駅の階段をカッタンカッタン降りたり上がったり!
その時ふと思いました。キャリーバックが歳を重ねるごとに重くなってきました。
「こうして、東京の孫に会いに来れるのは何歳までだろうか?」
近くにいる孫は、自転車で遊びに来てくれます。会いたい時にいつでも会えて、いつでも遊べます。
「おばあちゃん、遊ぼ!」
一緒にご飯を食べたり、一緒にボーリングをしたりできます。おじいちゃんも孫と一緒に山登りも楽しんでいます。
東京に出てくる時は、嬉しくて心が弾みます。
おじいちゃんは、仕事があるからおばあちゃんだけ東京に向かいます。
ミッタニと会える時は、おばあちゃんの心はわくわくるんるん❗️
新幹線の改札口で会えた喜びは、大きなものです。
でも、田舎に帰る時は、ミッタニもおばあちゃんも寂しそうです。幼稚園の時のことです。バイバイをして、新幹線の方に向かったら
「あいしてるよ」と
後方から大きな声が聞こえてきました。
びっくりして後ろを振り返ると、孫のミッタニが手を振りながら
「おばあちゃーん、あいしてるよ」と
叫んでいました。嬉しくなって思わず大きく手を振りました。
帰りの新幹線の中でも、ミッタニの声が頭の中でくるくる回り、心がポカポカ温かくなりました。
ゲンキボールを受け取り、また寿命が伸びました。
スーパーボールをもらったお陰で、おばあちゃんの心はるんるん気分になりました。
まだ、第一話ご始まったばかりです。
どんなエピソードになるか、どんな展開になるかはまだわかりません。
胸キュンエピソードになるように、心を込めて書いていきたいと思っています。