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天稟の魔法剣士VS凡愚の魔法剣士 英傑激突の行方

第二章最終戦、決着ヾ(o゜ω゜o)ノ゛

「忠告しておくぞナルヴィク・ランカスター。こうなったオレはロクに手加減ができない。ーー死ぬなよ」


 放たれた魔法は、言うなれば銃や大砲だ。

 通常、撃った後の操作はできない。

 しかしナルヴィクは、その卓越した魔法制御力と水の魔法が広範囲に伸ばせるために、その端にさえ触れていれば発射後に追加の操作を加える事が出来ていた。

 例えるなら、鎖付きの鉄球。

 規模が大きすぎるため基本的には繊細な取り回しができないものの、可動の余地がある。


 そう聞くと、使い辛いと思うかもしれない。

 だがこれは、紛う事なき魔法極振りの天才で、オレの愛する女性フランチェスカ・キャンベルでも不可能な事柄である。

 彼女の現在使用可能な魔法では、魔法の両端に触れながら動かす事はできないので。


 それに対し付与魔法を一言で言えば、鞭と言える。

 媒介にする物があるために、コントロールと変化に優れるが、射程がない。

 そもそも、本来は武器の硬度を上げたり、熱を持たせたりするだけの魔法なのだ。

 英雄潭などにまったく出てこない訳ではないが、オレやナルヴィクの運用は一般的ではない。


 手持ちの道具から引き出すという特性上、使えるのは近距離のみ。故にオレは投擲を多用しているのだから。

 操作力にも秀でていると予想できるナルヴィクでも、せいぜい中距離までしか射程を望めない筈だった。

 そして――


「なんだ、なんなのだその魔法はぁぁっ!!」


 今オレが纏っている雷は、文字通り四肢の如く自由に扱える。

 その差は武器への付与とは比較にならない。

 箸で何かを摘まむより手掴みの方が簡単だし、その後に動かすのもスムーズにいく。変な例えだが、イメージとしてはそんなもんだ。


「オレの奥の手のひとつだよ。単体運用なら最強の技だな。申し訳ないが、人間相手に使うのは……初めてだ」


 電撃を纏った手足、ではない。雷そのものが手足なのだ。

 雷を纏う事で防御にあまり意識を割かずに済み、攻勢のみに意識を集中できる。

 相手の攻撃は感電で怯ませ、中・遠距離攻撃も殆どは弾く事が可能だ。

 これを使えば、以前のドラゴンなんて確実にソロで倒せただろうが、戦場が戦場だった。


 ワイバーン以外にも魔物が出ないとも限らなかったし、何より身体への負担が異常なのだ。

 応急処置クラスの回復魔法しか使えないシャルさんしか居ない状況では、倒せたとしてもリスクがデカ過ぎる。戦闘後にオレが動けなくなるのは確定なので。

 追い詰められ、負傷した状態から使えば、己の魔法に殺される情けない死に様になっただろうしな。


 オレがナルヴィクの付与魔法に驚愕したタイミングで、射出された魔法。

 大津波の残滓を、振り下ろした手を追従する雷の爪が裂く。

 上空からもアプローチされていたので、そちらは雷を塊にして吹き飛ばした。魔法の真髄は明確なイメージにありって、何処かの誰かが言っていた事をぼんやりと思い出す。

 驚愕に驚愕を返してやったが、その硬直から解けたタイミングを見計らい、オレは声を掛けた。


「さァ、やろうか」


 早いとこな。


 自身の制御する魔法とは言え、宿すのは雷だ。当然、常に肉体は損傷していく。

 頑強な基礎ステータス、身体能力強化、自分の魔力操作でなんとか被ダメージを抑えているのが現状だった。ドラゴンの肉を食べてから発生し始めた、謎の耐熱性能の向上も手伝っている。

 開発した時よりも耐えられるとは思うが、それでも運用は短時間に留めるべきだ。


「くっ、上等だ。僕はこの戦いで強くなった。だがまだだ、まだ僕は途上にある……ッ!」


「おっけ、これが最後だ。バチバチにやり合おうぜ」


 文字通りな。

 そんな寒い言葉は飲み込んで、ナルヴィクに肉薄した。

 この光景のただ中でも、戦意喪失をしない事だけが本当に有り難く感じてしまう。


「速度まで上がるのか……!」


 雷魔法の操作性向上だけでなく、身体付与は攻撃のラグを完全にゼロにする。

 普通の拳打が二拍子の手順が必要だとして、通常の魔法は早くても三拍子の手順が必要なこの世界。

 それがノーモーションで強撃を放てるとくれば、相当な向上であろう。

 ただ、雷の身体付与はそれ以上のハイリスク・ハイリターンを秘めている。

 肉体へ直接付与し、精密に電流で干渉する事で実現させた、神経伝達速度や速度の向上だ。

 ただ纏う以上に負担が大きいのは言うまでもないが……


「人類の限界速なんて、越えていくのが男の子だろ!」


「速度は知らんが、確か、にっ。限界は越えるもの、だ、なっ」


 遠くで女性陣はポカンとした表情を浮かべているが、目の前のいけすかない男は多少理解できるようだ。

 魔法の衝突が繰り返され、オレたちは目まぐるしく動く。

 その短い時間で目の前の男は、更にひとつ強さの階段を登った。


「また吸収しやがって、スポンジかお前は」


「すぽ……? なら貴様は、さながらサーカスの道化、か!?」


 オレの運用を見ていた奴は、なんと通常発動の魔法と付与魔法を使い分けしてきやがった。

 狙いは大雑把だが、数えきれない物量か単発高火力を自由に切り替えてくる魔法。

 触手のようにうねり、ピンポイント且つ縦横無尽に攻めてくる水撃。

 片方だけでも厄介なのに、連携して襲い来るのだ。前世で大人気だったダークファンタジーで、不死の怪物を屠った某軍人さんを思い出す。

 こいつ、本当に併用するの初めてなの? 勘が鋭いって話じゃ効かないぞ。


「今度は何処ぞの大佐かっての。ただ、その程度の威力じゃ……今のオレを止めるには役不足だぜ」


 常に死角から刺すような素早い攻撃を狙われるのは、通常であれば全力で遠慮したい代物だ。

 水魔法は他属性より規模が大きく展開できるし、奴ならば圧縮も自由自在。

 けれど、他属性より破壊力に欠けていた。


 腕を振るって、はためく雷が水を裂く。

 風も迸る雷で弾き、襲い来る水流は上昇した速度に追い付けない。


「風拳嵐舞!!」


 風魔法でもかなり上位の技のようだ。

 破城槌をもじった水属性最上級魔法、破城波のように、恐らくはナルヴィクが使える中で最も強い風魔法の隠し玉なのだろう。

 全方位から風の殴打が止まらない。

 殆どは雷で相殺されているが、僅かに突き抜けて衝撃を体に与えてくる。


「良いぜ、実に良いぞナルヴィク・ランカスター!」


 この短時間で、対魔物から対人用として洗練された剣技となり追い縋ってくる。

 風魔法の補助があるため、意外にも一気呵成に決めきれない。

 だが、今終わった。


 ――ガキンッ!


 交錯した互いの剣身が、そこで止まる。

 俗に言う鍔迫り合いの状態だ。

 見てくれは良いが、その受けは大悪手だぞ? ナル男。


「楽しかったぜ。成長して、機会があったらまたやろうな」


「何を勝った気――うぐぁああぁぁっっ?!」


 纏う雷を最低限の防備を残して、剣に注ぎ込んだ。

 防御を突き破られ、ナルヴィクは盛大に感電している。


「そうだな。そして、これで終わりだ」


 ――ドゴォォォォォンン!!


 三度(みたび)轟く雷鳴。

 怒号のような音を響かせ、オレたち二人に閃光が落ちる。オレは纏う雷と操作により、殆どノーダメージだ。深刻なのは相手だけである。

 それでも武器を手放さず、歯を食い縛って耐えてる様は感服するな。……元々イケメンだから、表情はギャップもあって最高にカッコ悪いけれど。


「そらよっ!」

「ぐふっ」


 武器をかちあげて、空いたボディに回し蹴りを叩き込む。

 即座に追い掛けて、体勢を立て直しきれずにいるその首に剣を当てた。


「……オレの勝ちだな」


 何か言い返そうとしたのか、表情をころころ変えている。

 最終的には、苦虫を噛み潰したような顔になったと思った後、妙にすっきりした表情に落ち着いた。


「…………あぁ。認めざるを、得んよ」

後はエピローグと閑話で二章は終了です。

戦闘描写は時間に終われて書き足りないので、後々追加予定。


ここ数日、引っ越し作業してました。

ようやく終わって、後は地元まで運転するだけです(*つ´・∀・)つ どらーいぶ

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