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培われし力(意訳:最強クラスの強さを得たヨ)

青年期開始。

後書きに、主人公と魔王的存在のステータス(仮)を載せておきます。

 オークの群れがオレを囲んでいる。

 昔、九死に一生を得た時に遭遇してから、こいつらは山や森に生息するようになったのだ。

 だが、以前と違い苦戦する要素は無い。


「ふッ、らぁ!」


 二振りで崩れ落ちる一際デカいオーク。

 取り囲む全ての豚顔に、明確な恐怖が感じられる。

 もう、こいつらでは相手にならない。

 最近ではセルバフを筆頭にした使用人軍団との模擬戦ばかりで、魔物との戦闘はまるで訓練にならなくなってしまった。


「あー、数多くて面倒。仕方ない、身体能力強化(フィジカルブースト)


 昔よりも洗練された肉体への働き掛けにより、既にオーク以上の筋力を獲得しているオレの動きが更に一変する。こうなれば、奴らにはオレの姿を捉える事すらできない。


 高速で駆け抜け、血飛沫が舞い踊る。昔なら感動した光景だったかもしれないが、実力差が開きすぎてしまったから、それも薄い。


「無双と作業は違うんだよッ! ……と、これで最後だな」


 多いと言ってもオレの障害になる数じゃない。もはや慣れた工程だ。

 例えば平均的な実力を持った冒険者なら、ゴブリンのような雑魚に何体集られようと切り抜けられるだろう。それこそ圧倒的に。

 けれど、それを無双と呼ぶのは違うと思うんだよな。少なくとも、主人公的無双とは違う筈だ。


 そんな訳で、強くなりすぎたが故にオレの望む無双は達成しにくくなってしまった。

 まぁ、世間一般で恐れられてるようなモンスター共の大群をかっこよく倒すのが、気持ちいい無双だと思うから別にいいんだけどさ。


「うっし、解体終了。さっさと戻って、仕事終わらせたセルバフと模擬戦だなっ」


 オレが既に雑魚と化したオークを倒しに来たのは、ひとえに魔物食のためだ。

 強くはなったがまだ限界じゃないし、何より魔物肉は美味いものは本当に美味いからな。自己強化とか関係無くハマってしまった。

 オークは二足歩行なので、一般的な豚とは肉の硬さや質が違うが、その分普通の豚より美味い部位も多い。特にバラ肉は最高だ。


 オレが故郷アンデルに帰還し、通りを歩いていると見知った奴が跳び出してきた。


 ――ぽもふん。


 塀の上から器用にオレの頭と肩を利用して着地してきたそいつに、以前加工したオークジャーキーを与える。


「おー、ニャイト。どした、迎えに来てくれたんか?」


「ウニャー、ニャウ」


 どうやら、「もっとくれ」だそうだ。

 追加のジャーキーを与えながら、こいつもグルメになったもんだよなぁとしみじみ感じた。

 魔力は薄いから大した影響は無いだろうが、既にニャイトのステータスはネコの域を超えてる気がする。……し、仕方なかったんや! だってオレが魔物肉の料理を食べてると、ジーっと物欲しげな眼差しを向けてくるんだぞ? 下手に寄越せと騒がない辺りが良心の呵責をだな……。


「ニャウン」


 ん? 肩から降りたニャイトが、道を先導するかのように歩いていく。ちらちら振り返ってるから間違いない。

 方向は……家か。何かあったかな。


「ん、あれは家の馬車か。てことは多分――」


「お、帰ったかいザック。久しぶりだね、元気してたかい?」


 ニャイトがオレを先導してきた理由は、見慣れない人が家の馬車から降りてきたからかな。できるニャンコだぜ。


「やっぱゲイルにぃか。おかえり、オレは元気だよ。今日も魔物狩ってきたし」


 オレの左側、庭の花壇方向から歩いてきたのは、淡い銀髪を肩の下まで伸ばした雰囲気イケメン、ゲイル・フェイロンだった。オレの兄貴だな。

 日本だったら、ちゃんとイケメンの枠には入るだろう顔だ。

 この世界、そこらのラノベみたいにイケメンばっかって訳じゃないけど、日本よりは顔面偏差値高いから、どうしてもイケメンとは断言できないんだよね。

 ごめんゲイルにぃ、と心の中だけで謝罪しておく。


「へぇ、何を倒したんだい?」


「え? オーク」


「お、オーク? ……さ、流石ザックだね」


 そう言って屋敷に歩いていくゲイルにぃ。何やらショックを受けてるみたいだ。

 結構前に自己強化に励む中で諸々が執事長にバレた時、兄上様と同じく騎士になりたいのですかな? なんて聞かれた。

 似たようなものかなって回答したら、勉学を今まで以上に頑張る事を条件に剣を教わる事ができたから、兄貴には感謝してるんだけどな。

 勉強なんて、前世知識あればそこまで苦でもないし。


 今回の帰省中は、我が兄君に尽くしてみようか。そろそろこの家、出ようと思ってたところだからな。……上の兄? 知らない子ですね。


「オークって、僕でもソロじゃ苦戦する魔物だぞ? 昔から戦いをこなしていた事は知ってるけど……。い、いやパーティーを組んでたに違いない」


 何やら小声でボソボソ言ってるようだが、肉体の強化に付随して聴力も割と伸びてるんだから、聞こえてるよ? 勿論ソロもんですが。ぼっちじゃないぞ。

 ゲイルにぃが通ってるのは騎士養成学校だからな。単体での戦闘力より集団戦での連携が重要視される騎士なら、別段恥じる事もないだろう。


「オレも強くなったんだよー。前に帰ってきた時より更にね」


 一年おきに帰ってくるこの兄貴だが、オレの実力を最後に見せたのはいつだったか。

 そもそも、軽く手合わせくらいしかしてない気もする。


「ふぅん、じゃあ今回は僕もゆっくりできるから、明後日にでもちょっと遠出しないかい? ザックの実力を見てみたいし、騎士学校で一桁(シングル)の成績を収めている自分の力も、実戦で確かめてみたいしね」


 そう言ってニヤッと笑うゲイルにぃ。

 本音は後半かな? それも確かめると言うよりは、知らしめるみたいな。

 分かるよ、弟にはいいカッコしたいよね。前世ではオレもそうだったよ。うんうん。


「……ねぇザック。なんで君は訳知り顔で何度も頷いてるのかな。了承って意味で受け取ればいいの?」


 そんな兄の声を、オレはナチュラルに聞き流していた。



 ◇◆◇◆◇



「流石親父の愛馬、速さも持久力もかなり高いな!」


「そんな名馬と、並走してるザックは、異常だよねっ!!」


 オレは今、約束通りゲイルにぃの遠乗りに付き合っている。この後、適当な場所で魔物狩りもする予定だ。

 修行にかまけすぎたのか才能が無いのか、オレは馬を上手く乗りこなせない。

 故に、オレは身体能力強化を使って馬の隣を走っている。

 数年の努力により、一流の魔法使いと同等の魔力量を得た今なら、移動に多少使っても余裕だからな。


「って言っても、使用人の一部も、これくらいできると思うけど?」


 セルバフなら確実に、他の暗殺者系メイドたちも多分できるだろう。オレ程は保たないかもしれないが。

 何より、全速力ならオレのギアはもう何段か上だ。


「……僕は、何も聞かなかった!」


 風を感じながら走っているので、言葉も途切れ途切れだし大きな声を出さないと聞き取り辛い。

 だが、今日の目的地は結構遠いため仕方ないのだ。


「――ん?!」


 こんな雑談を時たま交えつつも結構な距離を走っていると、オレは唐突に違和感を覚えた。

 僅かな血の臭い。

 耳を澄ませば届く音は、遠吠えに聞こえなくもない。

 それに加えて、カーブした道の先に視線を向けると、上空に薄っすらと煙のような糸が見える。


「ゲイルにぃ、前方で何かが起こってる、旅人が魔物に襲われてるのかもっ!」


「なんだって!? それは本当かい! 規模は?」


「人かどうかは分からないけど、血が流れてる! 規模は分かんないけど多分群れだ、見え次第殲滅するよっ!」


 そう言ってオレはカーブの角にある森の先端に分け入り、ショートカットを試みる。


「ちょっとザック!」


 兄の声は聞こえたが、もしかしたら一刻を争うかもしれない。

 悲鳴は聞こえなかったけどテンプレ展開かも、なんて考えてないよ? ちょっとしか。


(見えた! 馬車とそれを囲うブルーウルフの群れ……ちっ! 上位種が何体か混じってやがる)


 一瞬で思考を切り、投擲用の短剣を数本取り出す。

 そして魔法を行使し、投擲した。


「ショックライトニング」


 放たれた短剣が紫雷を纏い、馬車から離れたところに待機している上位種を貫かんと迫る。

 不意打ちではあったが、仕留められたのは二匹だけだった。意外にやりおる。

 だけど、追撃がまだあるんだよね。


「からの、ライトニングボルトォ!」


 オレの力ある言葉によって放たれたものが、一筋の線を描き上空へと向かう。

 その線は中空で塊となって数瞬滞空したかと思うと、未だバチバチと光を発している短剣に吸い込まれるように落下する。


 ――ドゴォオォォォン!!


 いつか夢見た、かの暗殺少年の如き落雷。

 それに匹敵し得る雷が二撃、先程仕留められなかった上位種の近くで爆散した。

 当然、付近一帯の狼どもは上位種含め事切れている。


「……はい?」


 声に気づいて後ろを見ると、追いついてきた我が兄が惨状を見つめながらポカーンとしていた。

アイズ君がステータスって言ってるだけで数値ではないのですが、一応目安として気が向いたら各キャラの区分けしたステータス張っていきたいと思います。


Cくらいで一流冒険者クラス、B+がトップ冒険者クラスで、A+が人類の至宝、Sは人外レベルかな。つまり、オールラウンダーな一流冒険者剣士なら、魔力値以外はオールC。

各項目は適当なので、これ追加して!ってのがあれば、報告頂ければ検討致します。でも、彼の能力で見れるの、あとはリスト(手首)の強さくらいなんですよねぇ……。見えない項目挙げてもらっても構わないのですが。

技能はメインウエポンの技能を考慮していて、サブウエポンの技能はスキル等欄にあります。


アイザック・フェイロン

役職:魔法剣士

反射神経:A+

魔力値:C+

腕力値:A+

脚力値:S-

握力値:A


・以下、アイザックの目で判別できないステータス

耐久値:A-

技能:B+

スタミナS

咄嗟の対応力:D

・スキル等

雷魔法:唯一の使用者なため測定不能。火魔法よりは得意。

火魔法:D-(近距離の威力だけならC+)

水魔法:F+(飲み水程度、戦闘では役立たず)

身体能力強化:A

投擲術:C+

備考:遠距離や広範囲魔法は不得手。魔力制御が苦手なので、拡散したり霧散したり暴発したりする。単体魔法に加え、五年の内に新たな魔法の使い方を身に付けた。尚、反射神経の高さを活かせるとは言ってない。


まだ見ぬあのお方

役職:魔王?

反射神経:A+

魔力値:SS(人外を更に超越)

腕力値:A+

脚力値:A

握力値:A+


・以下隠れステータス

耐久値:S

技能:A+

スタミナ:B

・スキル等

闇魔法:S+

火魔法:A

水魔法:A

土魔法:B+

身体能力強化:A

備考:♂だよ。♀じゃないよ。多分お城引きこもり型の魔王だよ。近接も苦手ではないけど遠距離からの魔法ぶっぱが一番強いスタイルだよ。ほーむらんもうつけどひっとも(ry

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