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生存報告

この度は一ヶ月も音信不通になり、申し訳ありませんでした。

味覚と嗅覚が無くなり、なのに仕事は無くならず、最繁忙を迎えて死んでました。五感が消え去って熱も出るって、あんなに怖いんですね……。生と待ってくださった読者様に感謝。

取り敢えず、今日から毎日更新をして挽回しますので、よろしくお願いします。


今は完治したので、毎日更新以降は週1以上のペースに戻ります。本当にすみませんでした。


前話までのあらすじ。

無双大好きアイザック君は、四天王的存在が率いる大軍を発見したよ!

一人じゃ敵わないから、街に引き込んで爆殺するらしいよ!

今その街に仲間と冒険者達が到着したよ!


アイズ「作者(てめぇ)、一ヶ月も消えんな。せめてなんか報告しろ」

「あ、あ、あ、アイザック様?! あれはなんなのですか? 奇想天外な発想(アイディア)と類い稀な技術、何より旅を快適に過ごすための遊び心で溢れている馬車っ。私も欲しいです!」


「いや、あげんよ。まっ、気に入ってくれたのなら良かった」


 木の葉を巻き上げてすり寄るホモ猛獣(ワプル)を警戒していると、気色を滲ませた声色が降ってきた。

 誰あろう我が嫁フランのライバル、メロディー・スターシアである。


 相変わらず好意を隠そうともしない態度だが、少し図々しくなったな。

 気を遣われ続けるのも疲れるので、個人的には良い傾向だと思う。


「ふん、貴女なぞケイトたちがお留守番になったから、エルの提案で乗せてさしあげただけですわ。寛大な慈悲に感謝なさいまし」


「喧嘩腰の名ばかり令嬢が、何か喚いておりますね。まあアイザック様、気にする事ありませんから、あちらで語らいましょう?」


「それはこっちの台詞ですわ! と言いますか、生きている事に驚きでしてよ。てっきり野垂れ死んでいるものかと」


 きみたち、ほんとになかいいね。

 遠い目をして、ブレメンス連合国首都、カラサハンに残った仲間二人を思いやる。

 オレたちが軍勢の迎撃に動く事は、流石に隠しきれない。

 だからこそ、薄くなった警戒網を突かれないよう、ケイトとキーランにカサラハンを任せた。


 地理に詳しく、俊敏性に優れるチャラ剣士、キーラン・アクトン。

 ゲームで言えば斥候職で、獣人ゆえに五感も鋭いケイト・エッガー。

 魔力は乏しいが、身体能力強化(フィジカルブースト)や闇魔法を使えるペアなので、逃走力含め諜報に向いているだろう。


「ねー、アイズ君。あの二人残してったのはやっぱり間違いだったんじゃない? ほら、ケイちゃん毛嫌いしてたじゃん」


「そうは言うがな、人選的にはアレがベストだぞ。オレはこっちの要だし、お前とフランは街の中では動きが制限されるし、迎撃も難しい。メルヴィナに到っては、戦闘能力にかなり不安が残るからな」


 ヒーラーを残す意味は薄いし、戦闘力は身体能力強化分を鑑みても、一般冒険者クラスだろ。

 オレの言葉に納得がいかないのか、尚もブーたれる、ポンコツエルフのエルミア。

 その内、ハッとした顔をしてこちらに問い詰めてきた。


「ま、まさか。弟子への恋のアシスト……?」


「んな訳あるか。あいつらの恋愛なんて欠片も興味ねぇし、そんな事して仲間の不興買う方が面倒だろうが」


 まぁ恋仲の進展は兎も角、仲間としての信頼関係は発展して欲しいものだが。


「まあ良いじゃありませんか。お陰でお嬢様とメロディーさんも、少しは打ち解けた訳ですし」


「打ち……」「解けたかぁ……?」


 あの言い合いを見る限り、首を捻るしかない。


 ただまぁ、二人お留守番になった関係で、馬車がスカスカになったのだ。

 オレたちの馬車は大型なので、御者席を含めれば七人が乗れる。

 その空いた隙間に乗ったメロディーを乗せてきたみたいだった。


 メロディのパーティーの男衆(ワプルとナルヴィク)

 むさ苦しいから乗せて貰えなかったとさ。

 まぁ、別パーティーの女性メンバーしか居ない馬車に、数日間も男メンツを乗せるかって言ったら否だわな。


「……なぁ、アイザック・フェイロン。お前にこんな事あまり聞きたくないのだが、アレは何処の技術なのだ? 椅子を外してベッドにしたり、揺れが異様に少なかったり……こちらの姫様が目を輝かせて収まらんのだ……」


 若干遠い目をしてナルヴィクが呟く。

 そりゃまぁ、悪目立ちしない範囲で前世知識を注ぎ込んだ馬車だからな。

 改良を加えたのはドワーフの鍛冶士アルドーさんなので、何か追及されたらドワーフが開発した新技術でゴリ押す予定だ。


「っと、頃合いか」


 オレはかき混ぜていた匙を巨大な鍋から引き上げた。

 辺りに立ち込める、くったりと煮込まれた野菜スープの匂い。

 馬車での強行軍とあって、ゆっくり温かい物を食うわけにもいかない。彼らにとっては心引かれる料理だったのか、腹を鳴らしてこちらを見てくる奴もいた。


「そう言えば、アイザック君はさっきから何を作ってるったい。美味そうな匂いだねぇ」


 こちらの手元を覗き込んでいたワプルを退け、作っていた料理の味を調整する。


 こいつらがやってくるまでに、数日もの時間があったので既に迎撃態勢という名の準備は終わっている。

 後は 軍議を通して決める事 だし、先に済ませておくわけにはいかなかったのだ。

 だからオレは作戦を成功に導くため、士気高揚に努めているわけである。袖の下とも言う。


「ほう? 温かいスープか。これは随分手間が掛かってそうだな。まさか、行軍してきた者全員分あるのか?」

「あぁ、お前の分はねぇから」

「何故だ!」


 士気高揚のためのブツだって言ってんだろうが。

 喜び勇んで強大な敵が待ち構える戦場に来る(おまえ)のためじゃねーんだよ。


 尚、作っている物の一つはミネストローネである。

 近くの村で多くの野菜が取れるらしく、セロリやさやいんげんなど、パッと使い道を思い付けない野菜が多かった。

 今は寒い時期であるので、強行軍をしてきた冒険者や軍人たちは寒さと疲労に晒されている。

 その回復とご機嫌取りは必須だよなぁ!


「……アイズ、あそこで疲労困憊で突っ伏しておりますのは、貴族お抱えのコックたちですの? 余程無理させたのですわね」


 彼らこの街の領主お抱えのコックにブイヨンを作らせ、オレは近場の(オーク)狩りに。

 本当はベーコンを作りたかったのだが、流石にフランたちを待つ時間では中途半端な物のしか作れないので諦めた。

 代わりにチャーシュー風の煮豚……煮オークを作り、一口大にカットさせてぶちこんである。


 ……うん、ここまで調理の殆どを領主のコックたちにやらせた。

 いやだって、オレには他にもやらなきゃいけない事があるし、何十人分の材料カットとか地獄ぞ? ブイヨンも大変だし。

 しかもぶつ切りじゃなくて、そこそこ細かく切って貰ってるしな。オレは味付けと迎撃準備だけだったので楽だったよ?

 取り敢えず、周囲に油目的でオリーブの木を大量に植えている村があるらしいので、大量に買い込んでおかないとな。

 食生活のためにも、今後の作戦のためにも。


「ほーれ、着いた奴から器貰って食べろー。馬車酔いしてる奴ら用に別の物も用意してるから順番になー」


 人心地ついたら、偵察に行ってもらう奴らが何人も居るから、そいつら優先だな。

 流石にオレの証言だけで全て決めるわけにもいかないし、必要な事だ。

 配る準備をメルヴィナやエルミアにも手伝わせ、領主の配下に誘導と列の整理を任せてオレは配り続ける。

 領主の配下たちは、コックも含めて己の主の微妙な対応を呪うが良かろう。これも最低限の準備に留まっていた罰である。


「うめぇ!」

「温けぇ……」

「はぁ~、冷えた体に染みるぅ」

「ここ数日、ロクなもん食ってなかったから……ありがてぇ、ありがてぇ!」


 そうじゃろう。そうじゃろう。

 恩義を感じたなら、こっちの判断にあんまり楯突かずに、馬車馬の如く働くんじゃぞー。


 こちらが黒い感情で施してるとも知らず、感謝しながら温かいスープに食らい付く野郎共。

 だが、敵の軍勢を偵察に行くスカウト職たちは、すぐに発たないといけない。

 いつ敵が此処に到着するか見定める必要があるし、オレの言っている事が真実かも見極めなきゃだろうからな。

 ミネストローネを腹に納めた後は、おかわりをしにくる他の冒険者たちを羨ましく見ながら街を出ようとしていた。


「あぁー、待て待て。お前らにはこれだ。持って行って道中に食え」


「ん? これは……?」


 オレが渡したのは、木の容器を入れた巾着だ。


「急拵えだが、携帯食料だ。サワガニの唐揚げと川エビ煎餅。この街に流れる川から採ったばかりだから新鮮だぞ」


「唐揚げ……?」

「……煎餅……とは?」 


 良いから偵察の道中で食えと押し付ける。

 着いて早々の温かくて美味い飯の配給。そいつが作った、自作の携帯食料。

 うむうむ、中々喜んでくれているようである。

 何を思ったのか、その場で開ける奴まで現れた。


「良い匂いだ……」

「ちょっ、おま、貰ってすぐ食うなよ!」 


 ミネストローネじゃ足りなかったかな?

 川エビ煎餅は自信作だし、貪ってくれて嬉しいね。ホントは米粉が欲しかったんだけどな。


「うまっ、うまっ……」

「飯の伝道者かよ」

「食の英雄……」


 ん? 何かおかしな流れにならなかったか?

 まぁ、気のせいか。


 そうして、オレは偵察部隊を送り出した。

 その翌日、彼らは更に驚きの光景を目にする事になる。


「き、貴様!! 何故そんな事をしているぅぅ!」


 ナルヴィクの叫びが街に響き渡る。

 その光景の先には、燻す煙が撒き散らされていた。

 オレは平然と言い放つ。


「え? 橋解体して焼いてんだけど?」


 これから毎日、橋を焼こうぜ!

突然の展開!勿論撃退の為の策です。


テンポ良く、ポンポン進ませる予定なのでまた改めてよろしくお願いしまする(¨)(‥)(..)(__)

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