狭間
全てが終わったあの日に
残ったのは虚しさだけだった
過ぎ去った季節に別れを告げて
それでも猶、歩み出せずにいる
君は笑うだろうか
それでも帰りたいんだ、あの一瞬に
帰るべき場所を
失った今だからこそ
どれぐらいの道程を
歩いてきたのだろうか
この歳月に
捨てて来た物の多さに気付いた
自分に何ができたのだろうか
自らに問いかけて
そんな自分でさえ、ただ消したくて
赤い手首見つめ過ぎていく
今を抱きしめて
もう戻れないからと
記憶に別れを告げて
自分を演じてみても
涙で明日が見えない
「罪の多い人生を送ってきました」
そう書き綴り
言葉の持つ意味の虚しさを知る
手首切り刻む快楽に
後へと戻れない哀しみが重なる
結局前を向き続けるしかないのだと
気付いてまた歩み始める
ただ帰りたいだけなのに
今なら別れを告げられる
虚しいだけの記憶に
これからの未来に
今ならためらわずにできる
身体切り刻み
死の淵に降りていくことも
この孤独の果てに
何を信じればいい?
誰一人寄り添う影もない
孤独抱いて
何故生きなければならない
「命は大切だ」だと!
それを信じれば救われるかのように
よく言えたものだな
ならば力づくでも信じ込ませろ!
それでも明るい自分を演じ続けるのは
道化師の性か
背徳と美徳に塗れた鎧
傷痕に押し付けて
心着飾って見ても
苦しくて明日が見えない
これで最後
もう終わりだからと
幾度同じ台詞を口にしたことだろう
汚れていく記憶に
今を生きる虚しさを重ねて
尽きることのない狂気でさえ
今は抱きしめて
もう気付いている
狂気を見つめる、もう一人の自分の姿に
解っている
止める事もけしかける事も自在なのだと
血に塗れた自分の身体、記憶
その全てが汚らわしくて、苦しくて
悲鳴を上げる良心に刃突き立てて
狂気さえも演じている
それでも誰かに止めてもらいたかった
こうなる前に
伝えたかった
手首から滴り落ちる哀しみが
血溜りをつくる前に
今はもう、ただ虚しくて
君は笑うだろうね
でも、もう本当の自分が見えない
こんな生き方に何の価値があるのだろう
「命は大切だ」
「自分を粗末にするな」
そんな言葉の数々が 身も心も切り裂いていく
人間、失格
その烙印を押しつけて
一つ一つ罪を重ねていく
手首切り刻み、身も心も壊していく
その快楽に毒されて
ただ、流れる血だけが
心を生に留めている
何か一つを選ぶことが出来れば
どれほど楽だろう
叫び出したい衝動を
手首に刻み付けて
ひたすら声を押し殺して
何が辛いとかじゃない
早く別れを告げたい
すべてが虚しいだけだから
それでも…
殺しつくしたはずの記憶の中に
まだ君の声が聞こえる