第30話
そう言いながら影丸の父親と母親は、息子にとびきりの笑顔を向けながら天国へと帰っていった。
影丸
「家族・・・か。えへへ、何か良いものだな!」
影丸
「よ〜し!そうと決まったら僕が運命を変えるぞ!」
タッタッタッ
シャドウ
「(く〜〜っ!なんつう良い話なんだ!しかもそんな感動的な場面に俺たちは立ち会ってたけど、あの親子を見てるうちに自分たちも思い出したじゃねえかよ。)」
シャドウ
「(そういやあの日も、こんな感じだったなぁ。)」
フレイ
「(本当に素晴らしいものを見せてもらったよ。)」
フレイ
「(でも家族か・・・。俺たちドラゴンは、人である主を前に何か特別な事をしてやれたんだろうか?)」
フレイ
「(いや、やろうとしなかったんじゃない。)」
フレイ
「(ドラゴンとして生まれただけだから、考えるよりも先にそういう事すら出来なかったんじゃないか。)」
シャドウ
「(そうだよな、俺たちは何も出来なかった。)」
シャドウ
「(人の言葉を理解しようにも、別れたあの当時は主の言ってた事がまるで分からなかったわけだしな。)」
シャドウ
「(だけどあの振り向きざまに見せた笑顔は、俺たちの心に強く打ち付けられたように根深く残った。)」
シャドウ
「(今なら分かる。心ってのは、誰かに想いを伝えようとする時に必要な活力みたいなものなんだって。)」
シャドウ
「(じゃあそれなら尚更、俺よりもフレイの方が主の事を思い続けてたし悲しみだって倍はあったはずだ。)」
シャドウ
「(なんで俺なんだよ。俺なんか、あいつよりも不器用で何を話したら良いのか分からねえってのによ。)」
シャドウ
「(フレイじゃ駄目だったのか?あいつを、あいつを俺よりも真っ先に話せるようにした方が良いだろ。)」
シャドウ
「(駄目なら俺と同じようにドラゴン同士の意思を汲み取れるテクニックだけでも与えてあげてくれ!)」
シャドウ
「(心の中で話せるだけじゃ、意味ねえだろうが。)」
続く