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魔装機譚  作者: たまき親方
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第一話 異邦人

初めまして。たまき親方と申します。

好きなシチュの話を読みたいと思い、書き始めました。

初執筆、初投稿ですので拙い部分しか無いと思いますが生暖かい目でご覧くださいませ

なにぶんリーマンの手慰みなので、更新は不定期です。


よろしくお願いいたします。

第一話 異邦人


ユグドラシル大陸西端に位置するルトゲイラ王国

一年を通して温暖な気候であるこの地域の乾季に当たる時期にしては珍しく嵐に見舞われていた。


海沿いに面した丘陵にある漁村「ラーダ」

この嵐の中、白波の立つ浜辺を船着き場に向かう二人の人影があった。

雨除けの外套を着ているが、荒縄を担ぐ腕は逞しく髪とともに白くなってしまったが

立派な髭を蓄えた老人。

そしてもう1人は体に合わない大きめの外套を着て、老人に遅れまいと懸命に歩みを進める

茶髪でそばかすの見える活発な少年。


漁師達の顔役のアントニオと孫で漁師見習いのトニーニョである。


「ねぇ じいちゃん!こんな日にまで船見に行かなくてもよくない?」

「何を言うかトニー、こんな日だからこそ船の確認をせんでどうする。ワシらの飯のタネじゃぞ?」

「そうだけどさぁ…」

「悪天候の時の係留の仕方をちゃんと教えてやるから、黙ってついて来い。」

「…はぁーい…」


荒縄の束を担ぎ、ぬかるみはじめた足元をしっかりと踏みしめ先を歩く祖父からは未だに現役の漁師を務める力強さが感じられた。

雨が染み込み、雨避けの意味を無くしてきた外套にうんざりしたトニーの目が海の方でかすかに動く何かをとらえた。


「じぃちゃん!あれ、誰かいる!!」

「む、人か?こりゃいかん!?」


風雨で遠方が霞む視界の中、二人には荒れる海から岸辺に向かい人を担いで歩いてくる人影に見えた。

他の村民がこの嵐で海に落ちたのかもしれない。


「トニーは村長に人を寄越すように言って来い!」

「わ…わかった!」


少年を村へ返し、老人は手助けをするべく岸辺に向かった。



降りやまない風雨の中を浜辺に降り人影に近づくにつれ、老人は違和感に気付く。


(人にしては大きすぎるのぅ…魔物か?)


元傭兵だった頃の経験からそう判断したアントニオは草陰に身をかがめ慎重に近づいていく。

人影は老人の3~4倍はあろうかといった大きさをしていた。

さらに風雨の音にまぎれて微かに金属の軋む音も聞こえてきた。


ズシャン…ギシ…ズシャン…ギギィ…ズシャン…


目の前まで来た人型を見上げてアントニオは言葉を失う。

その姿はあまりにも異形だった。


ドシャン…ザザァ…


歩く度に関節から海水が吹き出し流れ出る太く短い脚

鎧の隙間から雨水を滴らせる厚い胴体とその太さから剛力であろう腕を見て


(ドワーフに似ているな…)と老人は漠然と思った。


若い頃に傭兵として各地を旅してきた老人が鉱山で槌を振るう、背は低いが筋骨逞しい酒好きの種族を思い出していた。


そんな老人でも見たこともない兜と面頬を付けた頭部

これまた見たこともない装束をまとった

機械仕掛けの人型が目の前を歩いて来ているのだった。


(これは…『機兵』か?…)


『機兵』とは大型の魔物に対抗するべく造られた、人が乗り魔力で動く機械仕掛けの巨人であり、主に王国の騎士団や大規模な傭兵団などが運用し、大きな町には常時配備されており、遠征や訓練などで辺境の地にも行軍しているので一般人にも馴染みのあるものではあった。


しかし、この機兵がまとっている武具・装束はアントニオには見たことも無い意匠のものであった。


ズシャン!…ギキィ…


機兵が担いでいるもう一つの人型を見て絶句する…


歩いている機兵に比べて細身ではあるが豪奢な鎧を繊細な意匠を施された装束で包んだ身体。


しかしその頭部は筒型の何かを咥えた髑髏

虚ろな相貌に光は無い

何より特徴的なのが額より二つの角を生やしていた。


内陸の深い森の中にはオーガと呼ばれる巨大な大鬼が住むと聞いた事があった。


(オーガなのか?傭兵時代には遭遇する事も無かった…が…しかし)


頭部以外を見れば位の高い兵士を思わせる…

だが魔物がこのような出で立ちである事など聞いたことも無かった。


ズシャン…ギシ…ズシャン…ギギィ…


面妖な化け物を背負って機兵が歩く。

(この機兵が打ち取った魔物か?)


ズシャ…ン…ギ…ギィ…


しかし機兵の歩みから力が抜けてきている。

(いや、そもそもコイツはどこから…)


ドシャァァ…ン…


岸に上がりアントニオの目の前を通り過ぎた謎の機兵は数歩も進むと轟音を響かせて膝から横向きに倒れこんだ。


「!?」


現実に意識を戻したアントニオが近づこうと一歩踏み出した所に


バガァン!!


…ドシャッ‼︎ザザザザ…


破裂音と共にアントニオのすぐ側を金属の塊が吹っ飛んで行った…


「…なっ…なんじゃ⁉︎」


腰が抜けヘナヘナと座り込むアントニオが見たものは胸部から蒸気の煙をあげる機兵と髑髏の兵士だった。


※※※


足腰に力が戻ったのを確認したアントニオは意を決して機兵へと歩み寄る。


「何が起こったというんじゃ…」


恐る恐る機兵に近づき、未だに蒸気の煙を漂わせる胸部を覗き込んだ先には

黒髪のまだ子供と言っていいほどの少年がぐったりとしていた。


「!? おい!大丈夫か?」


慌てたアントニオが少年に駆け寄り安否を確かめる。

肩を揺すられた少年は視点の定まらない瞳を周囲に這わせた。


「息はしておる…か…しっかりしろ!今助けてやるからな‼︎」


少年を機兵の操縦席から助け出そうと担ぎ上げたところで


「! ぐっ…姫…ヒナタ様…」


少年は呻き再び気を失ってしまう。


「おい!少年!!」


再度呼びかけるが少年は気を失ったままその身をアントニオに預けている。


「…姫とな?」


ひとまず少年を担ぎ出し機兵の陰になっている、雨がなるべく当たらない場所へと寝かせ自身が来ている外套をかけた。


「まさかのぅ…」


アントニオはもう片方の人型へと向かう


豪奢な外装がはだけ、胸部の鎧が無くなった空洞には先ほど助け出した少年と同じく

黒髪の少女が頭から血を流して気を失っていた。

物語の入り口も入ってない状況ですが、のんびり進めてまいりたいと思います。



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