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花菱女学園重装機兵部  作者: キ74
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世界観

  1942年1月8日


 大日本皇国海軍が真珠湾攻撃を成功させた1か月後、数個の隕石が狙いすましたかのように各大陸中央部に落下した。


 それ自体は大したことではなかった。せいぜい野球ボールぐらいの大きさしかなかった隕石による直接的な人的被害は、皆無であったといっていい。


 しかしそれが人間と金属虫との戦いの始まりだった。


 隕石の落下から数日もすると、各地で巨大な金属製の虫の目撃例が相次ぎ、それらは急激に増殖、手当たり次第に人間を襲っていった。


 だが、人々は一度始めてしまった戦争をそう簡単に止めることはできなかった。


 ヨーロッパでは、金属虫の出現により混乱するアメリカ・ソ連を尻目に押され始めていたドイツが一転攻勢をかけ、ソ連の都市を次々に攻略。東から迫る金属虫と西から攻めるドイツに挟み撃ちされる形となったソ連は、1943年の秋には事実上崩壊した。その他の戦線でも連合国はアメリカの支援が途切れ劣勢に立たされた。


 一方太平洋では、国内での金属虫の出現で浮足立つアメリカ相手に大日本皇国は快進撃を続け、珊瑚海海戦、ミッドウェー海戦で勝利したのち、1942年秋より、本国の混乱によってほとんど孤立無援状態となったハワイに対して攻略作戦を開始。数次にわたる空襲と年の暮れに始まった上陸作戦により1943年の始めにはこれを占領。これにより、国内における金属虫対策が最優先とした米国との間で講和条約が結ばれ、太平洋における戦いは大日本皇国の勝利で幕を下ろした。


 あくる1944年、世界大戦が下火となる中、金属虫の進行は勢いをなくすどころか、さらに加速し始めた。


 1940年代の末までには、アフリカ大陸の3分の2全土が金属虫の支配下に置かれ、インド陥落、南アメリカもそのほとんどの国が滅亡した。


 ここにいたってようやくまとまりつつあった人類だが、時すでに遅く1950年代にはイギリスやアイスランドなどの島国を除くヨーロッパ諸国が亡国となり、残された島国の住人も次々に故郷を去りより安全な地方への移住を余儀なくされた。北アメリカも北極諸島やクイーンエリザベス諸島まで後退し、もはや反撃などできる状態ではなくなった。


 そんな世界情勢の中、勢力を現代まで保っていたのが、大日本皇国とオーストラリア共和国だった。


 大日本皇国は1950年代から始まった金属虫による中国方面への攻勢で、傀儡国家であった満州国を失い、朝鮮半島まで押し込まれるが、38度線にて強固な防御陣地を築き金属虫の侵攻に歯止めをかけることに成功した。


 オーストラリア共和国は、金属虫発生の原因となったと思われる隕石が大陸中央のシンプソン砂漠に落下していたが、何らかの原因で不活性化しており、他の大陸と違い金属虫の侵攻を免れていた。


 両国ともに、金属虫が嫌う海という天然の防壁に囲まれていることもあり、外部からの侵攻にはある程度対処しやすい環境であった。


 しかし、生き残った両国には、世界各地から難民が押し寄せ、膨大な人口を抱えることになり深刻なエネルギーおよび食糧危機に陥ることになる。特にエネルギー問題はこれまでの化石燃料の供給元であったアメリカや中東が金属虫の手に落ちたため、エネルギー政策の転換は喫緊の課題となった。さらに、化石燃料の問題から内燃機関の使用が大幅に制限される中、金属虫への対抗のための兵器もその性能が伸び悩んでいた。


 その危機を脱する鍵となったのは、奇しくも人類を危機に陥れた金属虫であった。金属虫はその体を常温の液体金属で構成しているが、それを可能としているのが未知の粒子・ムンドゥス(宇宙)粒子だ。ムンドゥス粒子は金属虫の核に電流を流すことで発生するが、その特性はいまだ完全解明には至っていない。


  しかし、1970年代末にムンドゥス粒子を利用した、小型大容量大出力のムンドゥスバッテリー(宇宙電池)が開発されると、それまで伸び悩んでいた兵器の性能も大幅に向上させることが可能になり、そうした中で、歩兵と戦車や砲兵の間をつなぐ兵器として『重装機』が生み出され、いつしか戦場の主役となっていった…

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