消えた文明
体が重い。そういえばドライバーに刺されたんだった。でも、痛みは特にない。なんか焦げ臭いぞ?
目を開けると周りは暗く焦げた土が自分を中心にへこんでいた。
「クレーター???なんで、病院じゃないんだ?傷口はどうなってるんだろう?」
塞がってる。
とりあえず、お腹がすいたのと、穴が開いた服をどうにかするのと、ここがどこか。
荷物はリュックだけか、着替えが入ったキャリーバッグは返してほしかったなぁ。
「そういえば、財布は?」
リュックの中を漁ってみたら4つ財布が見つかった。札はあまりないけどコインは結構あった。
「食事できるのかなぁ?」
そして、ここがどこかだ。スマートフォンのマップを見ればいいじゃないか!
電波なし。
「あ、SIMカードこっちの買えてないんだったお金かかるけどデータローミングしてみるか」
電波なし。
「ん???????? マジでここはどこだ?」
考えてもわからないので適当にまっすぐ歩いていたら道みたいなものを発見したので下る方の道を歩いてった。
2時間ぐらい暗がりを歩いてようやく木造の家が何件か見えてきた。
全然バリ島ぽい作りではない。さっきからこっちを見る麻の服を着た住民の顔がヤケにニヤニヤしてる気がする。
「ヘイ!ボス!何探してる?」
一人こちらに話しかけてきた。
「服と食べ物とSIMカードが欲しいんだけど」
「SIMカード?それは何だ?見たこともない衣装の外国人だけどどこから来た?」
ジーンズにTシャツだけど見たことないっていうのはどういうことだろう?
「SIMカードは通信するためのカードで、俺はジャパン出身だよ」
「通信?ジャパン?聞いたことないな、服と食べ物は案内しよう服からでいいか?」
「OK服から」
案内された福屋を見て驚いた。ほとんどが植物を乾燥させて作った服だらけだった。直接肌に触れるのはもっと布っぽいほうがいいなぁ。
「布はないの?」
「あるけど、赤しかないし高いよ?」
「とりあえず見せてよ」
綺麗な伝統的な模様が編みこんである布の服を奥から持ってきた。
「これは凄いな!これがいい!これで足りる?」
ルピアと円の札を取り出した。
「なんだこの紙切れは?これで買い物できるわけないだろ?」
「え??????」
円が使えないのはしょうがないとしてルピアも紙切れ扱い。
「んじゃコインは?」
財布からコインを取り出すと目の色が変わった。
「なんだこの精巧な作りのコインは!この金色のコインは噂に聞くゴールドか!?」
500円玉をヤケに気に入ってるらしいが500円玉はたぶん真鍮だとおもう。ゴールドでないのは明らかだけど。
「このゴールドコイン2個でその服をやろう!あと異国のお金じゃ使いづらいだろうから両替してやろう!(こいつの持ってるコインがあれば贅沢できる)」
石でできたコインを袋に入れて持ってきた。
思ったんだけど、ここって文明の利器が届いてない離れ小島なのかなぁ。いつ運ばれたんだろう?コイン失っても札がある程度あるし大丈夫か。
「ありがとうございます!」
福屋を後にしてすぐに腹が鳴った。
機内食を食べてから何も食べてなかったからなぁ。
「魔法使い小屋に急ぐか?」
魔法使い小屋?????なんで魔法使い小屋なんだ?そもそも魔法使い小屋ってなんだ?
「まって魔法使い小屋って?」
「食事したいなら魔法使い小屋だろ?あたりまえだろ?」
「なんで食事が魔法使い小屋なんだ?」
「ほかの場所じゃ火使えないだろ?」
不思議そうな顔をしてこちらを見ている。
よくわからないがこの島だと火は魔法使い小屋しか使えないっぽい?法律なのかな?
「わかった魔法使い小屋に連れてって」
村の中央まで来ると立派な石でできたお寺のような建物がありこれだけ構造がほかの建物と異なっていた。
「ここが魔法使い小屋だ。食材を小屋の前で買ってお金を払って焼いてもらう。わかった?」
そういう調理システムなのか。
「わかった」
「じゃぁ俺はここまでだから、俺にもゴールドのコインをくれ」
500円を渡すと嬉しそうに帰っていった。真鍮なのに。
小屋の前でハーブ付けされたチキンを買い焼いてもらったが、チキン本体より焼いてもらう額のほうがヤケにバカ高かった。
「味はそこそこかな」
食べ終わって粘土の食器を返却しようとしたが受け取ってくれなかった。
「俺みたいなハイダトゥールに洗えっていうのか?」
「じゃぁ、この食器どうすればいいの?」
「こうするんだよ!!!!」
その場で地面に向けて投げつけた!
「うわ!!!!え?え?どういうこと?」
「一度使った不浄な食器を洗えというほうがおかしいだろ!」
コックは機嫌が悪くなって厨房の奥に行ってしまった。
ダトゥールって何だろう?