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3回生の盲腸  作者: ragolun
2/6

入院

春休みは田原と岩佐と一緒にターバニの映画を見に行ったぐらいで俺たちは3回生になっていた。

休みの間に全然本を読んでなかった事をゼミの先生に怒られるぐらいしか特にトラブルもなく順調だった。木土日以外毎日実験が入っている以外は・・・・。

ネトゲ漬けだった生活は一変して毎日実験レポートに追われる日々であまりゲームができていない。

大学で生態学のガウゼの競争排除則について習っていた時に同じ資源を取り合う者同士は潰し合い強い方が生き残るという法則に例えて、敵という資源を俺(魔法使い)や他の職業で取り合いになった時に俺(魔法使い)は瞬発力に負けて敵という資源を取られるとノート3ページにまとめるぐらいゲームを求めていた。

他にも離れた島に生物が移住したと想定した時の生物の絶滅率のグラフを不遇職の人口減少率のグラフとしてまとめたりゲームのことばかり考えていた。


そんな中家に帰り、パソコンを立ち上げスカイプを確認すると嫁のSETTEから個別通話がかかってきた。

「今日こそ狩り行こ」

「レポート忙しいから無理」

「毎日レポートレポートじゃんそんな忙しいわけないじゃん?」

「いや、忙しいんだって」

「1週だけ闇の化け蜘蛛のクエストでいいから」

それから30分後。

「なんでクリアできんの、寝るわ」

レポートで疲れていたのや、上手くプレイすることもできず、クリアもできず、一方的に通話を切ってその日は寝た。

朝起きてツイッターを見たら「疲れてるのにごめんね」と打ち込んであった。


それからしばらくが立ち第5セメスター(3回生1学期)の中盤になっていて、相変わらず実験実験の連続に帰ってきてエクセルを開いてレポートに実験ノートを書いて寝る生活が続いていて体も重く感じていた。

食堂で学食を田原と岩佐と話しながら食べるのだけがホっとできる時間のようなものだった。

いつも通り食事を済ませロッカーに向かい白衣を着て5階の第2多目的実験室に向かう。

今日の実験は「電気泳動によるDNAの分離」だった。

電気泳動とは特殊なゲルの上にDNAなどの分離したいものを置き電気を流すことで極性の違いを利用して分離するものだったと思う。正直実験ノートは追いついているがレポートが終わるまで頭に内容が追い付いていない。

実験の最初の注意事項説明で、今回の実験では神経毒になるものも扱うので直接手に触れたり誤って口に入れないようにと念を押された。

実験を開始してから10分ぐらいしてから腹に激痛を感じ、腹を抑えて動けなくなった。

「堀井?大丈夫か?」

実験班メンバーが寄ってきた。

「今すぐ先生呼ぶから」

先生じゃなくて実験アシスタントの先輩が来た。

「すいません、保健室行っていいですか・・・・?」

先輩に聞いて、実験班のメンバーの肩を借りて実験ノートと実験指南書を残したまま実験室を後にした。のちにこの2冊を残していったことを後悔するとは思ってもみなかった・・・・。


保健室につくと、とりあえず1時間寝るように言われたのでベッドに横になり1時間たったが痛み自体は消えなかった。

保健室の先生がタクシーを呼ぶか聞いてきたが、金額が気になって歩いて大学のバス停まで行きバスに乗って電車に乗って1時間かけて家の近くの総合病院まで行った。なぜそこで頑張ってしまったのか。

病院で呼ばれるのに1時間ほど待たされて頭がボーっとしたのと妙な汗をかいていたのを覚えている。

血液を抜かれて、EDTAと書かれたチューブを見て「あぁ、実験で使ったことあるキレート剤だ・・・・・」なんて思っていたら。

「もしかするかもしれないんで、入院ですね」

「はい?帰って色々取ってきていいですか?」

「ダメです、帰ることは認められません」

車いすを用意されて病棟に運ばれていく。ベッドまで運ばれて説明を色々されたあとガラケーを即座に取り出してツイッターでつぶやいた。

「入院なう」

嫁の心配連絡取りたいみたいなツイートを見て実験ばっかりだけど心配してくれるんだなって思いながら寝た。


入院するととても暇だった。

俺の嫌いな生化学の代謝などのレジメを見たり、食べられないのに退院したことを考えて料理のレシピ本を見て自滅したり、看護師同士私の方がかわいいなど言い争ってるのを見たり、造影剤を飲んでMRIを受けたり、色々したような気もするが実に長い4日間だった。

昔だったら即座に手術だったが今はインフォームドコンセントで切るか薬で散らすか選択できたので、切るのが怖く薬で散らしたこともあって結構日にちがかかってしまった。

退院した次の日から学校だったが、ここで実験指南書と実験ノートを忘れてきたことを祟った。

実験は毎日あるのに数日開けてしまっただけで実験には到底追いつくことはできなかった。

実験以外の講義をサボって実験ノートとレポートに明け暮れる生活が一週間ほど続いたが、実験に追いつくことはできなかった。

それから俺は大学に行かなくなり、朝から酒を飲んでネトゲをしまくる堕落した生活を送ることになった。

実験班からは人数が足りないから来てくれとメールが来たが無視していたら、俺のメールアドレスを出会い系サイトに勝手に登録したのか出会い系サイトからのメールしか来なくなった。

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