表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3回生の盲腸  作者: ragolun
1/6

始まり

「尻がたまらねー」

大学のコンビニで俺と田原はアニメ雑誌を読んでいた。

田原は変態発言をよくするが心優しいやつだった。

「堀井~、アムガミでどのキャラが一番好きだ?」

田原に呼ばれた俺の名前はもちろん堀井だった。

「まだアニメには出てきてないけどストーカーの子だな」

「そうか~、俺はムッチリで体重気にしてるアイツが溜まらん」

俺たちはいつもだいたい講義のあとコンビニで立ち読みしながらアニメの話をしていた。

大学のレベルは中の下で割と入りやすいレベルだったが俺たちの学部は3年前に新設されたばかりのバイオ学部で、新設されたばかりなのと力を入れているらしく最新の機械や他の大学から教授を引き抜いて来たりで卒業生もまだ出ていないこともあり注目されていた。

「田原、そろそろコンピューター室行くか」

「お、そうだな」

もうすぐ春休みだが週に1回実験があるので俺たちは少なくとも毎週1回はコンピューター室に来てレポートをやっていた。今回のレポートの内容は「ホモジナイザーによる細胞破砕・タンパク質の抽出計量」だった。

ホモジナイザーという機械で細胞を破壊するだけで深い意味はない。牛乳でもあるだろノンホモ牛乳とかあれはホモジナイザーにかけてないからノンホモ牛乳と言われてるだけで深い意味はない。

俺と田原は隣の席でデータを見あいながらレポートを書き、俺のデータにかけているところは田原が補い、パソコンを家に持っていないからオフィスソフトの扱いが苦手な田原のグラフは俺が仕上げた。

「おつかれー」

「おつかれー。このレポート提出したらあとはテストで春休みだなー」

「だなー、春休みターバニの映画楽しみだな」

「岩佐が予約してくれたから助かったわー」

岩佐は俺と田原とよく絡むがレポートとか一人でやってしまって見せない秘密主義的なところがあるのはまだいいがロリコンだ。アニメの話で俺たち3人は話があったが、岩佐はロリアニメの話ばっかりで犯罪者予備軍なのではないかと俺と田原は心配していた。

春休みの予定は3人で映画を見に行くぐらいで特に決まってなかったので、俺は残りはネトゲについやす予定だった。

何を隠そうこの俺は鯖でトップ3に入る魔法使いでそんじゃそこらの馬の骨には負ける気がしないプレイヤースキルを持っていたし装備もそろっていた一流プレイヤーのはずだった・・・・・・。今では仕様の変更やアップデートを重ねるたびに強くてすぐ打てる範囲攻撃が出てきたため詠唱時間のかかる魔法はあまりPTに誘われなくなり、ハンパなPTには入りたくないが強いPTに入ると自分が攻撃する前に敵が全滅するというプライドがズタボロな状態だった。

また俺の時代戻ってきてくれないかなぁ。今のゲーム内の癒しは嫁と今でも一緒に戦闘してくれる通話仲間とギルメン・・・・・あれ、案外いっぱいいるじゃん。

などと思っているうちに気づいたら大学のバス停に来ていた。

「お先」

田原と別れてバスに乗り電車に乗り換え一時間ほどかけて家に帰った。


家についてすぐにパソコンの電源を立ち上げスカイプ通話が始まっているのを確認して通話に入る。

「おっすおっすおいっす」

「アマさんおかえり」

「おっすー」

カルーと闇パンダが出迎えてくれた。アマさんとは俺のことだ。

「アマがいない間に、ワヤでのう。ワシのセンチュリオンアックスソードがまた作り直しじゃけぇ」

ワヤとは広島弁でメチャクチャという意味らしい。広島弁を使うのが闇パンダ通称パンさんだ。

「いやいや、センチュリオンアックスソードって装備まずないからアックスまた改造失敗したのか」

「急にセンチュリオンアックスのことアックスソードって言いだしてよくわからなかったわ」

俺たちのやってるゲームは50%の確率で装備強化を行うことができるが失敗すると武器が消し飛ぶ。パンさんはこの改造でセンチュリオンアックスを改造で7連続壊している。

「もうタイギイわ、こんだけ失敗してるとワシ心折れるわ」

タイギイとは広島弁でめんどくさいという意味らしい。

「そう萎えるならレア武器ぽんぽん改造しなければいいのに」

カルーは結構的確なアドバイスをいつもくれる。

「んなこと言ってもセェェェンチュリオンアックスソード完成せなワシのアイデンティティが保てんじゃろ」

「巻き舌で言わなくても」

「だからなんでアックスソードなんですかね、困惑」

「今月いくら課金したの?」

「13万じゃ」

カルーはゲーム自体に燃え尽きて課金しない傾向にあったが、俺とパンさんは割かし課金する傾向にあった。俺の課金は小学生からの貯金でまかなわれていた。小学生時代にカードゲームを初めて買った時に親に捨てられたショックで大学になるまで小遣いの9割貯金してきたからできることだ。

「おっす」

「おっすー」

「マランおかえり」

「マラン聞いてくれ俺のセンチュリオンアックスソードがまた壊れたわ」

「またかよ、アックスソードってなによ」

「いや、センチュリオンアックスソードはアックスソードなんだって」

「わかんねーよ、何本目だよ1本50Mぐらいだろ?」

「7本目だわ、萎えるわ」

「萎えるぐらいなら改造すんなよ」

カルーとマランは同意見だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ