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いきすぎた健康は異世界チート。行きつく先は・・・  作者: ぼん@ぼおやっじ


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8-12 天翼族

8-12 天翼族



 大急ぎでルトナと合流したら一触即発といったところだった。

 相手は村人と…天翼族?


 俺が空中から舞い降りたらギョッとしていた。


 天翼族というのは帝国の北の山脈に居を構える角と魔法の翼をもった種族だ。

 魔法が得意で人間を『地を這う生き物』と見下しているのでめったに会うこともない。

 クレオのお母さんは天翼族でクレオはハーフだって話だからよくよく変わり者といえる。


「んで? どういうこと?」


「あっ、ディアちゃんお帰り~」


「また変なのがきた。誰が来ようとこの村に入れんからな!」


 ルトナは相変わらずのペースだけど天翼族の方が随分ピリピリしているな。

 説明をもとめたら。


「よし、流歌ちゃんいけ」


 うちの嫁さん勇者ちゃんに説明を丸投げした。

 これは意外とイラついている?

 まさかまだ俺のこと怒っているとかないよね?


 で、流歌の説明を聞くとここがクレオの故郷の村らしい。

 普通の村だな。この辺りは起伏にとんだ地形で峠の向こうみたいに穀倉地帯というわけじゃない。

 森も多いし裏側は山になっている。

 里山という言い方があっているんじゃないかな。


「なんかいいところだね」


「ありがとうございます」


 村人は農業をする人が多いが狩人などもいて、山にはお肉を取りに行ったりもするらしい。

 川もあるな。


「魚も獲れます」


 うん、いい環境だ。


 で、この村の外に魔動船で降り立ったルトナたちはそのまま村を訪ねたんだそうだがなぜか天翼族がいて、なぜか絡んできた。


「えっと、たぶんですけどあの人たちは空を飛べること、地を這うものと違うということがアイデンティティーになっているらしいので、たぶん空を飛ぶ魔動船が気に入らなかったんだと…」


 おうふ、なんて面倒くさい人たちだ。


「何だ貴様は!」


 ざっと見た感じ天翼族は5人か。こんな面倒くさい人たちがなんでこんなところにいるのかな? いるのかな?


「私はディア・ナガンという、この船の、言ってみれば船長だな」


「貴様か、こんな無粋な道具を持ち出したのは…最近はエルフたちも我々の空を我が物顔で飛び回って… 一体何がどうなっているんだ」


「あー、エルフか…最近のエルフの飛行能力はすごいからな…」


 俺はちらりと彼らを見た。

 翼が見えているわけじゃない。

 彼らの翼は腰の所にあざのようになっていて、俺は魔法陣の一種だと考えている。

 空を飛ぶときにそれを広げて使うんだけど、実体はないようで、服を着たまま展開できる。


 クレオも展開はできるが飛ぶのは得意ではないらしい。

 なにが悪いのかねえ。


 いやいや、思考がそれたな。

 天翼族は全部で五人。

 一人が成人男性だ。いまぶんむくれているやつ。

 あとは女の人が三人。一人はたぶん妊婦さん。

 子供が一人。


 我々の空とか言う段階で性格に問題がありそうだ。

 そしてその目的はというと…少なくとも観光ではないだろうな。

 何かあったか?


「まあ、とりあえず天翼族が何でここにいるのか教えてもらえるかな?」


「ふざけるな、俺たちがどこにいようと俺たちの勝手だ。なんでお前にそんなことを教えないといけないんだ!」


 さすがに女性の一人が止めようとしているが男は聞く耳もたないようだ。


「天翼族というのは言ってみればよその国の人だろ?

 その人たちに村を訪ねてきた人を入れないというような権利はないよね?

 身分証とかある?」


「なんで貴様に!」


「いやー、わたしも一応王国貴族なんでね、よその国の人とか平民とかが王国内で好き勝手するのを見逃すわけにはいかないんだよ」


 はい、身分証提示。


 後ろからギョッとして一人のおじいちゃんが出てきた。

 大慌てだ。


「お貴族様。申し訳ございません。私はこの村の村長さ務めておりますセスと申す者でございます。

 ご案内いたします、どうぞこちらに」


 そう言って平伏。封建社会だからね。

 さすがに天翼族もおとなしくなった。


 ちなみにルトナはいつも自分が貴族だというのを忘れるよね。らしいけど。


■ ■ ■


 まず最初に村にある魔法陣がご禁制の品であることを教える。

 村の人吃驚。


「申し訳ありません、申し訳ありません。存じなかったのです。

 随分と前にあの魔法陣を配って歩くものがありまして、使うと作物がよくとれる肥料が作れるからと…

 ただうちの村ではそんな怪しいものを使うのは気持ち悪いと…そんなわけでもらった魔法陣はほったらかしになっておりましただ。

 そんな折にこちらの天翼族の方々がやってまいりまして、魔法陣みて、これは確かに良くないものだと…」


 それでいったんほかの村にも注意喚起を行ったらしい。ナイス。

 表彰もんだぞ。


「ただその後、こちらの方々が、魔法陣の改良はできる。任せろとおっしゃるものですから…」


 話を並べると。


① 変なやつが魔法陣を配布して回っていた。

② この辺りの村人は臆病だったのか、はたまた生活を支えるのが農業だけではないためかその魔方陣の使用に二の足を踏んで放置。

 しかも近くの村々で意思統一までしたらしい。

③ 少し前に天翼族の人たちがやってきた。この村にいる天翼族を訪ねてきたらしい。

④ 魔法陣に興味を示し、改良を申し出た。

⑤ つい先ごろ改良型魔法陣が完成して試運転を試みていた。


 という流れらしい。


「ここにいる天翼族というのはクレオの母上のことかな?」


「へい、さいでございます」


「なんですぐに話を聞かなかったんだ?」


 知り合いなら問題なさそうな感じだが。


「それがその、天翼族の人たちがその、喧嘩を始めてしまいまして…」


 とりつく島がなかったと。


 で、天翼族の方を見ると後ろの方で『やっぱりごにょごにょの娘か、うん、言われてみれば面影があるな』なんて話をしている。

 名前は聞き取れなかった。


《アーチェルであります》


「ええっと、ちょっと話をしてきていいですか?」


 一人の天翼族の女性が手を上げるが。


「却下」


「「ええーーっ」」


「所属も目的もわからずに今調べている所なんだから、まず調査に協力してくれ」


「そうだぞ、それが政治と言うものだ」


 そう発言したのは先ほど門の所で頑張っていたやつだ。

 意外とまともなのか?


「だがあの魔法陣は改良されていいものになった。もう起動させていいのではないか?」


「んなわけあるか!」


 こいつら人の話を全然聞かねえ!


「よし、わかった、いいことを思いついたぞ、勝負だ。勝負しよう」


 な~ぜ~だ~。







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