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いきすぎた健康は異世界チート。行きつく先は・・・  作者: ぼん@ぼおやっじ


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8-06 獣王の戦い

暮れですね。おっ詰まってまいりました。

もともと遅筆なのに書いている暇がないです。

遅れましたがお届けします。読んでやってください。

8-06 獣王の戦い



 別にイベントというわけではないので、告知は特にされたりしなかったのだが、このアウシールにいる獣人族の多くが闘技場に詰めかけた。


「どこから聞いて来たのかしら…」


「まあ、獣人には獣人のネットワークがあるからな」


 あまりのお祭り騒ぎに首をひねる勇者ちゃんたちにうちのジジイが暢気にこたえる。

 場所は領軍の訓練場、というかこの規模だと演習場といった方がいいかもしれない。


 立会人はジジイとライラさんと俺だ。

 俺も獣人社会では獣人じゃないのに18羅漢に入っているので立会人の資格はあるのだ。

 これで三人の立会人がいることになる。


「ディア様は獣王に挑戦とかしないんですか?」


「しないんですよ。というかやっぱり獣王は獣人でないといけないでしょ?」


「自由人ではだめですか」


 それは駄洒落。そしてダメ。

 獣王というのは獣人の能力を使って戦う存在(もの)に与えられる称号で、基本的に武人なのだ。

 武人でなければだめなのだ。


 武人としての俺の能力は…まあ、18羅漢どまりだろうと思う。魔法でブースト掛ければ俺は強いけどね、しかも死なねえし、本気でやれば獣王にだって負けないよ。

 でもそういうのではないのだ。


「ただ人間の武道家としてはおそらく俺はトップだよな」


 一応武人になるという目標は…達成したのか?

 悩ましいところだ。


 そうこうしているうちに準備が整っていよいよバトル…じゃないや、試練の開始だ。


「さあ、みんな、新しく獣王への道に踏み出す美女がここにいるわー。果たして彼女はその実力を示して獣王への階段を上っていけるのか?」


「そうさね、面白いバトルになりそうだね」


「挑戦者はルトナ・ナガン嬢。見た通り飛び切りの美女よーーーー」


「「「「「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」」」」」」


「立ちはだかるは柔獣王、防御と回避、そしてトリッキーな動きで獣人の頂点に立つ女傑。というかおばちゃんじゃね」


「おばあに言われとうないわねえ」


「「「「「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」」」」」」


 イルクヨマさんのツッコミにまた会場(?)が大きくわいた。


「あらあら、マチルダもランファもノリノリね」


「いや、あれはやけくそじゃないか? なんかもう、いろいろ投げ捨ててる気がするぜ」


 俺もジジイに賛成だ。

 いろいろ吹っ切れすぎた二人のご婦人が場を盛り上げる中、ルトナたちは準備体操を終えてすでに臨戦態勢。


 そしていよいよバトルが始まった。


■ ■ ■


 で結果から言えばルトナは勝てなかった。


 ただ合格はもらった。


 ルトナの身体能力は極端に高い。

 獣人としては最高峰といっていい。たぶん総合力ならぶっちぎりだ。


 瞬発力も移動速度も反応速度もイルクヨマさんを凌駕している。

 特に試合開始直後の突撃はすごかった。


 ルトナの足元がズダンと爆発して、ルトナが加速する。

 おそらくルトナの動きについてこれなかったものがほとんどだったろう。

 ルトナが見えたのはかなりの達人か、視力に特化した能力をもった獣人たち。


 そしてイルクヨマさんまでの距離を縮める速度もすごかった。

 F1もかくやというレベル。

 しかもその間たいした反動もないのだ。


 地面を蹴った反動があったのは最初の踏み込みだけ。

 あとは軽くスタタタタッと音をさせて軽快に駆ける。なのにそのスピードだ。


 だがそんなスピードで突っ込んできたルトナをイルクヨマさんはすいっと躱して見せた。

 もちろんスピードもパワーもルトナの方が上。


 しかしイルクヨマさんは最小限の動きで、しかも動きの支点をつくことですべて躱してというかそらしてしまった。


「あらあら、大したもんやね。すぐに修正してくるわ」


 ルトナも負けていない。支点を攻撃されるのならと動きをずらしてそれをかわす。

 そうするとルトナの攻撃の方が優勢になってイルクヨマさんに掠るようになって、でもそうなるど今度はイルクヨマさんは自分の立派なウエストを起用にふるわせて打撃力をずらす。


 そしてイルクヨマさんの戦い方は合気道のようなもので、そらされた攻撃がそのままダメージになるように動きを変えられていく。


 終始ルトナが攻勢をかけ、一見優勢に見えていたが実際はイルクヨマさんが一枚上手でとうとう最後には投げ飛ばされてしまった。

 お互いの攻撃は数えきれないほどだったけど有効打はこの投げ技だけだったろう。


「まいりました」


 手に汗握り、いつの間にか静まり返っていた演習場に、その瞬間、地も裂けよとばかりに怒号が戻ってきた。


「いやー、驚いたわ。まさかうちがここまで追いつめられるなんてなあ。腕を上げたんやね。うん、これだけ戦えるならうちはルトナちゃんの獣王挑戦賛成やね。

 まだ若いけど、実力は十分やろ。

 どのみち一回勝てばいいというもんやないしな」


「うわあああっ、ありがとうございます」


 ルトナはぴょんこぴょんこ跳ねて喜んだ。


 また会場は歓声に包まれ、司会の二人がやけくそよろしく盛り上げる。


「うーん、意外な結果だったが…うちの孫は最強だな。これなら俺たちを打ち負かすのもそう遠くない未来だろうぜ」


「そうね、本当に将来が楽しみね」


 獣王の名は別に獣王を倒さないといけないというようなものじゃない。

 何回か、最低で3回、多くで5回ぐらい獣王と戦って実力を認められればいいのだ。


 イルクヨマさんがルトナに優をつけたので、あと二人ぐらい獣王といい勝負をすればルトナは獣王の称号を手にれることになる。

 史上最年少の獣王の誕生も夢ではないだろう。


 その後、盛り上がりすぎた獣人の、腕に覚えのある者が演習場で勝手にバトルを始め、中には俺やジジイたちに向かってくるものまで出て。

 当然ジジイたちは大喜びで迎え撃って屍の山を作り出していた。


 俺は面倒くさいのでホームランよろしく向かってくるやつらを遠くに吹っ飛ばしてやる。

 そうすると着地点にいたやつらが飛んできたやつに襲い掛かってらんとうになるのだ。


 しばらくそんなお祭りが続き、いつの間にか運び込まれた酒が開けられて別の祭りに移行していった。


 もちろん俺たちは引き上げたよ。

 酒だけは提供してやるから勝手にやってくれ。


「うーん、次はどいつと戦わせるか…」

「そうよね、もうこうなったら本気で最年少獣王を目指しましょう」


 盛り上がるジジババの迷惑はとどまるところを知らなかった。


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