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いきすぎた健康は異世界チート。行きつく先は・・・  作者: ぼん@ぼおやっじ


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7-19 迷宮攻略二日目。邪妖精の襲撃

7-18 迷宮攻略二日目。邪妖精の襲撃



 ご飯ちゃんともらえました。ありがとう。

 そして浜焼き。おいしかったです。

 魔物って言ってもなんも変わらんね。かえっていろいろ濃厚でよいかもしんない。


 まあ、ウニを生で食べたり、アワビを刺身にしたりは不評だったが…あっ、この世界の人にね。

 俺が平気で食べてたら『勇気スゲー』という評価。

 なんかもうしわけないです。


 でもウニは焼いて食べるのがいいと思う。

 焚き火で焼いて身にちょっと醤油をかけて…おいしかったです。


 さて、マップは無事に完成しました。


 この階層の形は中央に大きな(まる)。六方向に小さな〇でその〇一つ一つにしたに続く道があるようだ。


「こうなるとどれが正解かわかんないよね…」


「虱潰ししかないだろう」


「とりあえず覗いてみないと…」


 合流は今日の昼だからそれまでに一つは覗いておきたい。


「朝ごはんできたよー」


 とりあえず飯だな。


■ ■ ■


 というわけでやってきました第三階層に続く洞窟。


「ここはダメだな」


《ダメでありますな》


 ものすごい邪壊思念だ。


「すごい瘴気ね」


 ライラさんが宣った。

 シッポがぶわって膨らんでいる。


「この感じってあれに似てる。アウシールの迷宮であった変な人たち」


 クレオがあの時のことを思い出したらしい。ハイ正解。おそらくこの下は邪壊思念の渦巻く階層だろう。

 洞窟から漏れてくるぐらいだから…


 ただ重たい空気みたいなものらしく、洞窟の周辺にとどまって広がっていかないのが救いだな。


「わたし、むかーし一度だけこういうの見たことあるんだよね…これって邪神の気配でしょ?」


 はい、皆さん勘がよくっていらっしゃる。


「邪神って何ですか?」


 分からないのは勇者ちゃん達か。


「うーん、こういう瘴気がものすごく溜まったところに、ごくまれに発生するやつでね。瘴気の塊みたいなやつよ。切っても死なないし、魔法も大してきかない。

 しかもいると周りの魔物がどんどん元気になるの~

 私が子供のころに迷宮で見たことあるんだけどね、その時はたくさんの魔法使いがいっぱい魔法を撃ち込んで、獣王が何人もかかってやっと倒してた。

 ものすごく危ないやつよ」


 なるほど昔そういうことがあったんですね。


 俺はライラさんの話を聞いて感心した。

 いやいや人間もやるじゃないか。みたいな感じだ。


「その時にそばにいてくれたのがあのひとなのよね~。一目ぼれでね~。ちょっと早かったけどそのままうへへへへへっ」


 うわー、いい話がいきなり下ネタになったー。


 この後の自慢話で十二才の時からやりまくりだったと…お巡りさんを呼ぶべきかしら。

 いや、ルトナも十五になった早々襲い掛かってきたな。

 獣人は本能で生きている。

 自制しろお前ら。


「しかしこういうときのための勇者です。聖光魔法を使いましょう」


 これも勇者の特殊能力。勇者の勇者たるゆえん。と言われたそうだ。

 つまり邪壊思念を浄化する魔法。


《逆説的ではありますがこれが勇者が大事にされる理由ではあります》


『どういうこと?』


《勇者というのは別に神様が呼んだとかそういうものではないであります。ある日遺跡に降り立つものでありますよ》


 それは知っている。

 逢魔が時に世界の境界が揺らぎ、よそから何かが落ちてくる。それを掬い止めるのがあちこちにある『遺跡』というやつ。

 一番大きいのが『聖国』のものだという話は知っている。


 つまり完全な事故だ。


 でもそうやってやってきた勇者は世界のハザマを超える時になんの影響を受けたのかやたら魔力が多くなったり、空間属性のスキルを身につけたり、やたらスキルがとりやすくなったりと優れた能力を獲得する。


 固有スキルに目覚めたりもする。


 だからその時その時の権力者たちが持て囃したり、おだてたりでいいように使おうとするわけだ。

 特に帝国とか帝国とか帝国とか。


 そういった勇者の能力に『聖光魔法』とか言うのもあるらしい。


 勇者ちゃん二人が構えを取り、そして『聖光魔法、発動』と声を合わせる。

 それによって光が瘴気にぶつかり、対消滅を起こす…ような?


《属性のない純粋な魔力でありますな。この世界に染まっていない魔力。勇者が強いのは狭間の世界でこの魔力を取り込んだからなのだと推測するであります》


 つまり反応消滅する性質の魔力をぶつけることで瘴気を消滅させていくと…

 でも…


『俺のショットより効率悪いよね』


《いえいえ、消せるだけで大したものでありますよ》


 うん、それもそうか。

 それに効率も悪くない。

 ゆっくりと降りてくる柔らかな魔力と目に見えないが歪んだ瘴気がぶつかってキラキラと光りながら対消滅をしていく。


《しかも結構持続力があるであります》


 そうだね。


 キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ…


 うん、あまり無理に力を出すような感じじゃない。軽く力を入れているような、そんな負担でキラキラと邪壊思念が分解されていく。


「勇者というより聖者とか聖女の方がいいのでは?」


《これはメイヤ様が施した歪みを解消する術式が効率を上げているのかもであります》


 ああ、メイヤ様が歪みを解消するために勇者ちゃんたちに打ち込んだあれな。属性になにかプラス効果があったのかもしれないな。要検証だ。


 オォオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ


「あっ、なんか出てきた」


 しばらく眺めていたら洞窟から不気味な声が響いてきた。


《どうやら邪壊思念が分解されているのを感じ取ってやってきたみたいであります》


「うーん、出てきてほしくないのが来てしまった…」


 ずるずる。

 ずちゃっ。

 ずるずる。

 ずちゃっ。


 と奇怪な足音を響かせて洞窟からはい出してきたのは邪妖精だった。


 フジツボとかイソギンチャクとかそこら辺の海洋生物が生息する磯、そのものといったあれやこれやを集めて無理やり人型にしたようなそんな生き物だ。

 ただその存在を支えているのは邪壊思念、世界の歪み。


「これがシークリーチャーですかね」


「えっと、話に聞いた通りですから多分」


 ああ、そうか、これがシークリーチャーか。

 だけどあれは冒険者たちで倒せていたはず…


 だがこれは穢れの塊のようなものだ。

 倒せるようなものではないはず…


「いっきまーす♡」


 飛び込もうとするクレオの襟首を捕まえて止める。

 その間に勇者ちゃんたちが攻撃魔法を発動させる。


 火や氷の魔法が次々に打ち込まれて邪妖精を削っていく。


《変でありますな》


『そうだね、邪妖精は思念体だから普通の魔法で削れるはずはないんだけどね』


《なのに魔法が効いているであります。実体があるでありますか?》


『あっ、でも再生はしているね』


「でも、まあ、危ないことをこのまま続けさせるわけにもいかないから」


 俺は領域神杖・無限獄を取りだした。


「えっ? 何それ? 神器?」


 ラウラさんが一発で見抜いた。大当たりです。


 俺はグラビットドライブの魔法を起動させる。

 これで格闘戦での機動力も上がるのだ。


 そしてツイッと近づいて一閃。

 とりあえず腕を切り落としてみた。


 ギョエェエェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!


 声というよりは何か音のようなものが響いた。

 そして邪妖精が再生を…しないか…


 邪壊思念が渦を巻いて腕を再構築しようとするが途中でかなわずに崩れてしまう。

 邪妖精はどんなダメージを受けても形がかけるということはない。

 ただ薄まって最後は消えるだけだ。


 腕が無くなる以上こいつは邪妖精じゃない。

 いや、完全な邪妖精じゃないというべきか。

 では何かというと切り落とされた腕が教えてくれた。


 切り落とされた腕は周辺を包んでいた邪壊思念を失ってただの人間の腕になり果てていた。


「どこの馬鹿か知らないが、人間に邪神を取りつかせたな!」


 そう、こいつは無理やり人間に邪壊思念を押し込んで作られた邪妖精、この世界で邪神と呼ばれる存在(もの)のなりそこないだ。



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