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いきすぎた健康は異世界チート。行きつく先は・・・  作者: ぼん@ぼおやっじ


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7-17 迷宮攻略一日目。磯物の逆襲?

7-17 迷宮攻略一日目。磯物の逆襲?



「では予定通りにフォーメーションを組んで進行」


「「「はい」」」


 クレオ、流歌、翔子君が元気に返事をする。

 後ライラさんも第一次攻略組にいるが、この人は何というかパーティーメンバーというより監督? なので特に返事とかはない。


 寧ろ俺たちを見てうんうんと鷹揚に頷いている。


「あー、よう、あんたらパーティー名は?」


 そんな俺たちにほかの冒険者たちが声をかけてきた。

 俺たちの他に二つ冒険者パーティーが参加している。


 一つは『ミスリルの剣』というパーティーだった。


 なんかもうけ話があるらしいからと言ってやってきたらこの仕事を押し付けられたというちょっと薄幸なパーティーだ。

 でも蟹食い放題でうれしいらしい。


 もう一つは『ギルド選抜チーム』というそのまんまのパーティーだ。


 この町のギルドのメンバーからちょっと腕のいいやつを選んで急遽編成したというパーティーで、言い方を踏襲するのならちょっと薄幸な人たちの集まりだ。

 ミスリルの剣のような実績はないけどその分交代要員が沢山控えているというグルーブだったりする。


 疲弊しても入り口に戻ればすぐにメンバーの入れ替えが行われ、探索を続けられるようになるだろう。

 それもまた一つの強みだと思う。


 一応呼び名がないと不便ということで俺たちのパーティーネームを尋ねられたがこちらも急増パーティーだ。

 全員で顔を見合わせる。


「勇者ちゃん頑張る」

「獣王とゆかいな仲間たち」

「むしろゆかいな仲間だけ」

「お笑い王座決定戦」

「ああ栄冠は我らに輝く」


 お前ら真面目に考える気ないだろ。


「あー、そうだねとりあえず…王女の剣…でいいか」


 なぜか全員がネタに走るタイプだった。いかん、これでは俺が突っ込み役になってしまう。

 これだったら他の…いや、同じだな。全員そんなようなものだ。うん。

 俺はこの件に関して早々にあきらめた。


「おっ、おう、じゃあ王女の剣さんよ」


 なんか高倉の健さんみたいな言い方だな。


「とりあえず第一層は下に行く階段が一つだけしか確認されていないそうだからそこまで交代で戦闘を担当するってことでいいか? そんで獲物は倒したものの取り分ってことで」


「ああ、妥当だと思いますよ」


 というかミスリルの剣以外は獲物はあまり求めてないと思う。

 みんな蟹を見るのも嫌、見たいな感じだし。


 それにギルド選抜は故郷を守ろう、みたいな気分で参加しているようだしね。

 いや、もちろん彼らにも生活があるから報酬の問題もあるんだろうけどね。


 俺? 俺は報酬を出す側だよ。

 そのために年金をもらっているわけだよ。いざというときはただ働き。それが貴族。

 お国のためならえんやこら。


 一応そういうことはしなくていいという決まりにはなっているんだけど、まあ、こういうことがあると期待されるのは仕方がないことだ。


 そんなわけで自分たちが先頭でいいか? と聞くミスリルの剣に、俺たちは快く先頭を譲った。


 さて、ミスリルの剣はリーダーが重戦士らしい。

 全身鎧の大きな盾と片手剣の人。


 他は槌戦士がいて、剣士がいる。剣士さんは盾なしで大剣を使っている。

 あと探索士と呼ばれる人。短剣で武装し、弓を持ち、警戒や探索を得意とする。

 魔法使いがいて回復師もいる。こちらは二人とも女のひと。


 魔法使いも回復師も大きな杖を持っていて、接近戦ならぶんなぐるスタイルになる。


 まあ、ある意味理想的なパーティー構成といえるだろう。


 さてそれでは、この迷宮の様子を説明しよう。

 ここの地形は磯なんだよね。全体が海で陸というか磯が迷路のように伸びているのだ。


 浅瀬なんかもあってそこは水の中をバシャバシャと進むわけだ。


 水辺にはでっかいイソギンチャクが半分水に浸かったような感じで張り付いていて、人間が近づくと触手を伸ばしたり、なんかよくわからない粘液質な何かを吐いたりしてくる。


 でもこれはまばらだし避ければ戦闘にはならない。

 だいいちイソギンチャクは食べられない。


 水の中にはでっかい二枚貝がいた。

 多分ハマグリ。

 大きさは30cmもある。


 最初に出くわしたのはこいつだった。


 浅瀬で地面のフリをしていて人間が乗るとベロのような足てドカンと姿勢を変えて乗ったやつを転ばせて噛みついてくる。いや、噛んでるんじゃないか。挟もうとする。

 ハマグリが地面に偽装できるのか? とか砂地でなくていいのか? と思うがフジツボとか海藻とかが引っ付いていてふつうにみると地面と見分けがつかない。

 そう言う生態なのだと思うしかない。まあ、迷宮だしね。

 だもんだから。


「うおっ、あぶねえ」


 剣士さん危うく回避。


 そしたら今度は出水管から水を噴き出して推進し体当たり。


「うぎゃー」


「あっ、まともに入った」


 30cmの巨貝の体当たり。

 魔物としては低レベルなせいか攻撃力はそれほどじゃないようだがそれでも数キロはあるかな。結構痛そう。


 剣士が水の中にバチャンと落ちたら今度は蟹が上がってきた。

 まずはズワイガニの大群だ。


「すごい…なんておいしそう」


 回復士さん怪我人そっちのけでつぶやいた。

 でも目の色を変えたのはミスリルの剣だけだ。

 他のパーティーは蟹には興味がない。


 人間の贅沢さを見た気がする。


「よーし、取りまくるぞ、そして今日は食うぞ」


 リーダーさんの号令でミスリルの剣のみんなは蟹に襲い掛かった。

 蟹の大きさは胴体部分が50cmぐらいのやつが多いだろうか。

 かなり大きいが剣がちゃんと通るので問題なし。


 槌戦士の人はいつの間にかつるはしに装備を変えていた。

 まあ、槌で殴ったらつぶれるもんな。


 魔法使いの人は動きを疎外する補助魔法。

 回復師の人はちまちま発生する怪我の治療に専念。

 なかなかいいパーティーだ。


 蟹本体の傷を最小限にしつつ蟹をしとめていくミスリルの剣。実に嬉しそうだ。

 でもなんで深海域のカニが磯に上がってくるんだ? 辺だろ?


「蟹よりハマグリがおいしそう」


 翔子君がぼそりといった。


「あー、そうね、最近蟹ばかりだったけど…ハマグリもいたんだね…おいしそう」


 勇者ちゃんたちの意見がそろった。


「そうだね。存在変異前は蟹ばかりだったみたいだけど、今は完全に海辺の磯だよね」


 ちょっと変ではあるけど。


「でもそれならアワビとかサザエとかもいたりして…」


「「「!!」」」


 俺の仲間…と選抜チームに緊張が走った。

 壺焼きとか網焼きとかが彼らの頭をよぎっているのだろう。

 気持ちはわかる。


 この世界は流通がそれほど発達していないからほとんどのものが地産地消でよその地域の作物などというのはなかなかに手に入らない。

 王都とか大都市とかに住んでないと食べる機会などはないだろう。

 だが噂には聞いたことがある。そんな感じだ。


 そして地球人の二人はハマグリも壺焼きも大好きだったりする。


「…でもそれって他にも蛸とかガンガゼとかオコゼとか危ない魔物もいるってことじゃない?」


 流歌がポツリとつぶやいた。


「なんか攻撃力在りそうだね…」


 オコゼとか危ないかもしれない。

 歩いていたらぶすっとか…


「ぎゃーっ、いてえー何か刺さったー」


 探索士の兄ちゃんが足を振り上げでひっくり返っている。

 その拍子に空を飛んだのは…


「オニダルマオコゼ」


 翔子君は海生生物にも詳しいようだ。


「毒もち、神経毒。地球のでも結構危ない」


「いかん、解毒だ!」


 俺は指示を出すが回復師はそれどころじゃないらしい。


「ぎゃーいてえ」

「挟むなバカ」

「そこは挟んじゃダメ」


 大量の蟹と一進一退の攻防。

 全身挟まれまくって怪我だらけ。


「それでも毒が優先だと思うけど…」


「まあ、本人が一番挟まれてるから」


 軽装だしね回復士。

 スカート抑えてじたばたしている。


 仕方ないと援護に向かう。


 とりあえず俺が毒対応か…




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