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いきすぎた健康は異世界チート。行きつく先は・・・  作者: ぼん@ぼおやっじ


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7-13 家の爺さんが変態な件~緊急事態

今月は30日がないのをうっかりしてた。

というわけで更新です。

7-13 家の爺さんが変態な件~緊急事態



「おおっ、よしよし、腕を上げたな。なかなか手ごわい」


 楽しそうに笑う爺さんをみて俺はあきれるしかない。

 (うち)のジジイ『颯獣王・トゥリア・ナガン』は敏捷性とスピードが売りの獣王だ。『蝶のように舞い、蜂のように刺す』を通り越して瞬間移動みたいに動いて攻撃してくる。


 改めていうまでもないのだが獣人というのはアクロバティックな動きに向いている。

 シッポの所為だ。


 普通の動物とは違うので尻尾をカウンターウエイトにしてかなりありえない姿勢制御をしてのけるのだ。


「おら!」


 俺はじいちゃんの攻撃を杖で受けた。

 ごおぉぉぉぉぉん。というすごい音がする。


 使っている杖が神器でなかったらまず折れてるよね。という圧力だ。


「おら! おら! おらおらおらおらおら!!」


 四方八方からの連続攻撃を杖を回して次々に受け止める。

 昔カンフー映画で見たような、武器が体の表面を動き回って攻撃を受けるような動きに見えるかもしれない。


「くそー、なんて固い防御だ」


「文句言わんでよ、防御抜かれたら痛いじゃん」


 だからしっかりガードしますよ。


 獣人というのは魔法が苦手な分身体能力が高いといわれている。

 だが俺に言わせれば逆で、魔力を身体能力の制御とか強化に全部りしているから普通の魔法が使えないのだ。ということになる。


 なので素の身体能力を比較すると獣人に勝てる人間はない。


 もちろん総合戦闘力という話になると攻撃魔法や強化魔法を使い分け戦う人間も決して負けてはいない。

 普通は。


 そう、総合的に考えると大体互角といえるだろう。勝敗は個人の修練の差ということになる。

 普通は。


 でも獣人の達人レベルになると明らかに人間よりも強くなる。

 攻撃魔法だって当たらないほど速く動くし、ライラさんなんかは飛んでくる魔法を魔力をまとった腕でぶんなぐって打ち返したりする。


 当たらなければどうということもない。を地で行っているわけだ。


 十八羅漢ぐらいになると顕著に差が出て勝てる人族はかなり少ない。

 まして獣王においておや。というところなのだ。


 でも何事にも例外はある。

 まずは俺だな。


 俺がよく使うイデアルヒールは回復をもたらすが、あれは身体機能をベストの状態に持っていく魔法だ。

 なので俺の、ついでにサリアやルトナの身体能力は実現できる理想値に近づいている。


 まして俺の身体はもともとの肉体ではなく魔力を編み上げて肉体を構築する。ということを昔やっているので生物としての雑味がない。なので一歩抜きんでている。


 おまけに魔力をまとってそれで体を支えているので姿勢制御も桁外れに高性能だ。


 何がいいたいかというとルトナは能力的には獣王に負けてないし、サリアもいいとこ行っているのだよ。サリアは飛行魔法グラビットドライブで姿勢制御ができるからこれも大したものなんだよ。


 んでもって俺はさらに一歩抜きんでている。

 英霊の名にふさわしく俺の身体能力は獣王を上回るのだ。


 でもなぜか勝てない。

 それが戦闘センスであり、経験の差である。


 もし寿命で死んだら俺の所に就職してほしいぞマジで。


 そんなことを考えながら、あるいはあきれながら杖をくるくる回して爺さんを攻撃する。

 でもするりと交わされる。いや、のらりくらりという感じか?


 そんで爺さんの攻撃を八割受とめて二割躱す。

 受けるのは躱しきれないから。


 結構肉体も頭もフル稼働しているのだけどそんな感じ。

 限界ぎりぎりを責めているのでいい修業にはなる。


「うーん、なんちゅうか、こう、いい線行っているんだが…いまいち満足感がないというか、攻めきれないのがもどかしいというか…限界に届かないというか…」


 あっ、なんか文句言いだしたぞ。


 何が言いたいかというと、もう少しで自分もレットゾーンに踏み込んでいい修業ができそうなのに、あとちょっと物足りない。といいたいらしい。

 すまみせんね、未熟者で。


「なんかないか? なんかこう、もう少し俺を追い詰めるようなの。どんなんでもいいからさあ」


 ジジイが無茶言い出した。


「・・・よし、じゃあ獄卒起動。集団戦闘。ジジイをたたんじまえ」


 おれが杖を一振りすると六つの魔法陣か発動し、そこから立派な装備をまとったクリスタルの骸骨が現れる。

 メイヤ様の幻獣たちだ。


「ほう、こいつが獄卒か。ふーん、冥のにおい、聖のにおい…話には聞いていたが、面白い」


「いやいや、面白いって…彼らも過去の達人なんだけどね…」


 まあこの物質界では制限がかかっているけど、結構やるよ。

 その後、爺さんは幻獣たちと(たの)しいバトルを繰り広げましたとさ。


「きぃぃぃっ、この脳みそ焼き切れそうな感じがたまんねえ~」


 家の爺さんが変態な件。


■ ■ ■


「おいどうしたんだ?」


 俺たちのキャンプから少し離れた迷宮の入り口。

 そこには冒険者たちがキャンプを張っていて、それは少しずつ大きくなっていて、ちょっとした村みたいになっていた。


 そこに倒れこむように怪我をした冒険者がやってくる。

 結構あとからあとからやってくる。


 ただ事ではない様子にそこでたむろしている冒険者や商人たちが集まってきた。


「ううっ、急に魔物が強くなって…したから強い魔物も…」


「魔物があふれたのか…」


 魔物の溢れ現象。

 迷宮で増える魔物が一度に外界にあふれる現象だ。


 長年抑え込まれ魔力をためた迷宮などで偶に起こる。

 ひとたび起こればあふれる魔物を倒し尽くすまで収まらないというなかなかに恐ろしい現象だったりする。


「おい、すぐにギルドに知らせろ」


「おっ、おう」


 すぐに経験豊富な冒険者が動き出す。


「冒険者を四つに分けるぞ。三チームで交代で魔物を倒すんだ。

 一チームは情報収集と後方への連絡、得意なやつはこっちを優先しろ。

 商人連中は少し下がってバックアップを頼む」


 風雲急を告げる感じで迷宮の入り口が騒がしくなっていく。


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