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いきすぎた健康は異世界チート。行きつく先は・・・  作者: ぼん@ぼおやっじ


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6-04 シダさんとの再会、ドワーフって…

 6-04 シダさんとの再会、ドワーフって…



「お知合いですか?」


 ルトナがひょこっと顔をだして聞いてくる。

 うんかわいいかわいい、そしてこっちは懐かしい顔だ。


「前に来た時にあった…江戸なにがしさんだよね。シダさんのお弟子の。まあー、なんか貫禄が付いて、すでに独り立ちとかしたの?」


 江戸さんは以前に迷宮でソウルイーターと戦ったときに迷宮の抜け穴に案内してくれたドワーフだ。

 なんか頼りない若造という印象のドワーフだったが――といってもドワーフは髭もじゃで帽子かぶっててゴーグルしているからどれも似たようなものではある――少し貫禄というかたくましさが増したように見える。


「いんや、まだまだ親方の所で見習いさやってるだよ、ドワーフの道は厳しいだ」


 気のせいだったらしい。


「それよりもおらはエドミリアム・ローゼンクラフトだよ、覚えてくれろ、それに短くするのはいいだが江戸は発音が全然違うだよ」


「ごめん全然わかんないや」


 やっぱり妖精族だからな、発声器官が全く違うのかもしれない。うん、きっとそうだ。


「にしても久しぶりだね。元気でした? シダさんの活躍は聞いてますよ」


「そうだ。こんなことしている場合じゃねえだ。ちょちちよちよよっと一緒にきてくれろ、親方が会いたがってるんだ」


 暢気に再会を喜んでいた俺だったが江戸さんはいきなり慌てだした。かなりの慌てようだ。何があったのだろう。

 だけどどうしようかなあ…今はせっかくの休暇中だしなあ…偉い人の所に行って巻き込まれるのはまっぴらなんだけど…


 とお思っていたら。


「えー、シダさんと会えるの?」

「わっわっ、時の人じゃないですかドワーフだけど」

「あーもしよかったら私らも同行してサインなど頂きたいでござる」


 うちの連中も帝国の勇者どももすっかりその気だ。

 アイドルが出たぞーって感じかな。


 ◆・◆・◆


 というわけでやってきました控室。

 今回のイベントの参加者たちがうごめいている場所だ。とはいってもそこは貴族様のやることだ。どこかの公民館のようなシンプルな場所ではない。


「おおーっ! やっと見つかったかーっ! マチルダ殿。このボウズじゃ、このぼうずが今回の蒸気機関開発の最大の功労者じゃ」


 部屋にいたのはマチルダ・キハール女伯爵とマディオン王太子。あとは帝国のテレーザ嬢とあとは王国のお役人、シダさんの弟子。

 結構多いな。


 そのうちマチルダさんが変な顔をして俺を見ていた。

 ついでにテレーザ嬢などは変な顔をして後ろの勇者を見ていた。


「おっ、なんじゃなんじゃ」


 その勇者たちはシダさんを囲んできゃいきゃいしている。ミーハーだ。


「ディアちゃん?」


「いえいえ私関係ありませんよ」


 いや、ほんと、数年前にちょっと話をしただけだもの、功労とか全くないでしょ。


「うーん話だけ聞くとたしかにねえ。でもあの御仁。自分の功績じゃないって言って譲らないのよ」


 マチルダさんは分かっているね。


 で、その〝御仁〟は勇者たちに撫でまわされている。

 本人はしかつめらしい顔をしているつもりなのかもしれないが、なんといっても体長が50cm。割とずんぐりむっくりな体系だ。

 愛玩動物にちょうどいい。


 この間に話を進めてしまおう。

 俺は分かっているのだ。


「マチルダさん、単に褒美とか爵位とか面倒くさいから人に押し付けようとしているだけですよ」


 妖精族って自分の欲望に素直だからね。


「こうしたらどうでしょう、三位爵というのはもともとこれといった義務などありません。あれは過去の功績に褒章を出すといった意味合いの物です。

 本当にやるべきことなんてないですよね、三位爵をやってた私が断言します」


 シダさんがこちらの声に耳を傾けている。


「そしてドワーフですから金貨なんかもらったところでうれしくもないでしょう。だったらいっそのこと褒賞を現物支給にしたらどうです? 例えばお酒とか、ヒーコの実とか。王国が用意するものですから普段はなかなか手に入らないものも…」


「おおーっ、キハール殿。急に気が変わりました。三位爵の叙勲を受けてもいい」


「あら」


 ドワーフってこういう人たち。


 その後の話はトントンと進んだ。

 シダさんは王国の三位爵としての身分を手に入れた。もちろん王国に対する義務などはない。一応敵対的な行動をとらないというような期待値はあるのだが、その程度だ。

 そして詳しい褒賞の取り決めのために王都に向かうことになった。


「まあ、試験運転で整備はばっちりしたつもりだがの、今回は長距離だし、作った儂がいた方がいいじゃろ」


 王都に行くと面倒くさくなりそうなので敬遠していたそうだ。

 王都で待っているのはクラリス様だから、そう面倒なことはないさ。


 そして蒸気機関車は出発の時を迎えた。


 俺は甲板で見送りの人たちに手を振ったりして。


 ルトナ達はプラットホームで手をふっている。


 いや、乗ってみたかったんだよこれ。

 名目はサリアがマディオン王子につかまったのでそのサリアの護衛だね。


 マディオン王子はできればサリアも王都に連れていきたいらしい。

 学業のために断念したがサリアが乗った状況で機関車が動き出してしまった以上は仕方がない。

 という流れでいくようだ。


 そんなんでおとなしくなるような娘じゃないよ。あれ。


 甲板でお茶を飲みながらにこやかにやり合う兄妹をしり目に俺もマチルダさんとお茶を飲む。

 この機関車には甲板のようなものがあり、乗客は自由に出入りできるようになっている。少し背の高い手すりはネットが張られ風よけの役割もし、甲板は中央部が一段高くなっていて見晴らしもいい。


 構造がなんとなく『船』に似ているのはこの世界の大きな乗り物の代表が船だからだろう。

 そのせいかこの機関車の武装も戦列艦のように並んでいる。


 半端な魔物ならその巨体で踏みつぶし、追いすがる魔物は時速60キロという速度でぶっちぎり、空を飛ぶ魔物があれば車体に並んだ砲門が火をふいて迎え撃つ。


 それが、そんなものが巨体に見合った乗客を乗せ、荷物を満載し、爆走するのだ。

 これはとんでもない発明品だと思う。


「ほんとうね。これは流通における革命だわ。ディアちゃんのおかげで正当な報酬を渡せてよかった」


「ええ、その通りですね。こんなものを俺の功績とか言われたらどうしていいやら」


 確かに俺は蒸気機関の理屈を教えた。だがそれだけだ。

 真空を利用するエンジンシステムを構築したのはシダさんだし、それはたぶん地球のそれとは違うのだろう。


 そもそもこれは石炭を使わない。

 火と水の魔法で動く魔導機械だ。

 ひょっとしたらこれがこの世界の文明開化になるのかもしれない。


 環境を汚染しない機械。地球人が夢見てかなわなかった理想の機械。

 それは世界に何をもたらすのか。

 調和の未来をもたらすのか。それとも…


 ひょっとしてとんでもないものが生まれたのかもしれない。

 だがこの世界の人間の選んだ道だ。これに関しては俺は俺たちは何も言わない。


 それ自体は邪壊思念とは全く無関係なものだから。


 この世界はどこに行くのかねえ…


『ディアストラさま?』


 いやーいい景色だ。


『ディアストラさま…』


 …ん? 誰かなんか言ったか?


 振り向くとそこにはテレーゼ嬢が立っていた。


 ん?


 ディアストラ?


 だれ?



※ 新作始めました。

 とはいっても一作目のリメイクです。かなりエロい話にするつもりでほかの所でやってたんですけどあまりエロくならなかったので帰ってきました。

 リンクとかわからないので作者ページから移動して、良ければ読んでみてください。

 タイトルは『異世界でシッポのかわいい嫁を貰いました』です。暫定。

 よろしくお願いします。

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