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5.機関車運転手になるための試験

俺は今、クラウドの街の駅に来ている。 このゲーム世界で機関車を運転したり走らせたりするのに必要な試験という名のクエストを受けるためだ。 俺は駅員NPCの案内に従い、駅に入って右奥の6番ホームの端にいる女性NPCに話しかけた。


「やあ! あんたが新しい運転手かい? あたしの名前は|『レイニー』、この駅の駅長だけじゃなくて、機関車の修理・整備、輸送クエストの管理、そして今回の試験の試験官もしているよ」

整備士らしき格好をしたブロンド髪の女性が自己紹介をした。 俺も彼女に自分の|(本名言いそうになったけど)名前を名乗ると、彼女は試験の前に、この世界の鉄道についていろんなことを教えてくれた。

この世界の鉄道はゲームの追加要素で最近出来たように思えるが、実はこの世界では数十年前から存在しているのだという。 最初は人力から始まって、蒸気機関から空気中の魔力を吸い込み動力に変える|『魔導機関』というエンジンを搭載した車両が生まれていたらしい。 各都市間を線路で繋ぎ、人類と都市の繁栄に大きく貢献してきたのだという。

ではなぜ最近まで鉄道がなかったのか。 その理由は魔王にあるという。

今から約3年前、|(このゲームのβ版が開始される少し前)魔王の軍勢が各都市を襲撃した際に当時張り廻られていた鉄道網にも深刻なダメージを与えられたという。 そのため路線の復旧にかなり時間がかかったが、最近になってようやく全線での運行再開に目途がたったようで、そして現在へといたるらしい。


俺は彼女ーーーレイニーの話をとても興味深く聞いていた。 だが、その視線は男の性というものに操られ別の所を見ていた・・・


レイニーの胸である。


かなりの大きさで、少しの動きで大きく揺れている、何より彼女自身がかなりの薄着でその大きな胸のほとんど上半分を外気にさらしていたのである。

「・・・どこ見てるんだい?」

そう目の前のダイナマイトボディの持ち主が俺の熱い視線に気づき声をかけた。

俺はハッとした。 いくらNPCとはいえ|(しかも人間と同じように振る舞う)、女性の身体の一部分を凝視するのは礼儀が良いとは言えない行為だ。

「あ・・・す、すまない!」

と、謝罪した。 レイニーは、

「ふふ、いいよ、こういうのは慣れてるしね」

と笑いながら言った。 そのあと小声で「身体は機械で出来ても、性欲はあるんだねぇ」と、悪戯っぽく笑った。

むう・・・この女性、強いな。 彼女だけは怒らせないようにしよう。


俺とレイニーは話を元に戻した。 いよいよ試験を開始するようだ。

「試験の前にあんたが乗り込む機関車を選ばないとね、といっても2種類しかないけど。 他の車種は運転手としての実績を重ねたら、あたしの方で売ってあげるよ。 選んだ機関車は今回は特別に無料であげるよ、試験が終わったらそのままあんたの機関車になるから、大事に使っておくれよ。 それじゃあ、どっちにするか選んでくれるかい?」

と、レイニーが言い終わると、俺の前にショップ画面が現れた。 そこには二つ、選択する機関車の名前が表示されていた。 俺はその詳細を読みながら、これから長らく世話になるであろう|『相棒』を選んだ。


機関車名:アーム・ストロンガー

種類:手漕ぎ式トロッコ


速度:1

馬力:1

安定性:10

耐久:∞

黒魔晶積載量:なし

水積載量:なし

特殊能力:

「手漕ぎ式」

レバーを漕ぐ速さでスピードが上がる

説明:

平台の貨車に上下に動かすことで進むレバーを取り付けただけの簡素な車両。動力が人力のため燃料を入れる必要がないが、肉体を持った種族には重労働になるだろう。原始的ではあるが、ブレーキと倒す方向によって前進・後退が出来るレバーを搭載している。名前の由来はこの車両を漕ぎ続けることで、腕が強くなることから。


まず上の車両だが、これは完全にネタ扱いだろう。 いくら燃料代を浮かせるといっても、スピードは落ちるし、第一貨物を繋引出来るかも怪しい。 これはパスだな。

では下の車両はどんな感じか・・・


機関車名:アンクル・パフ

種類:蒸気機関車


速度:3

馬力:3

安定性:5

耐久:5

黒魔晶積載量:50回分

水積載量:400

特殊能力:

「蒸気機関の祖父」

旅客運送時に報酬が少し上がる

説明:

世界初の蒸気機関車であり、全ての蒸気機関車の祖と言える蒸気機関車。当時は|『スピードスター』という名前だった。時代が移り変わり、性能が上の車両が走り始め、スピードスターの名を他の車両に譲って第一線を退いている。パーツの生産が既に終了しているので新規に作成したり、他の車両などのパーツを使って修理・整備している。名前の由来は|「蒸気機関の祖父」という意味。


ふむ、性能は低いが|(手漕ぎトロッコに比べれば)そこまで気になる範囲ではない。 他の車両のパーツを流用している点は気になるが、大した問題はないだろう。

よし決めた、最初の機関車はこれにしよう。


車両を選択すると、レイニーは「ちょっと待ってて」と言って、横の従業員用の出入り口から出て行った。 

そして数秒後、現実世界で聞き慣れた、シュッシュッ、という蒸気音と共に蒸気機関車が駅のホームの中へ入ってきた。

作中に出て来たワードの補足

魔王;言わずと知れた人間達と敵対している悪の魔族。そのために多数のモンスターを野に放っている。

ちなみにプレイヤーの種族として選択できる魔族は、その魔王に反旗を翻して人間側についた多数の魔族達の一人である。そのため部下からの信頼は水で薄めたワインのように薄く、四天王どころか下っ端まで彼の愚痴や悪口を言っている

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