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19.姫様(?)のお忍び汽車旅行(後編)

~前回までのあらすじ~

J-7は本線で列車を走行中、後方から高速列車が迫る危険な状況に陥る。

何とか衝突を避け、無事にオルティガ駅に到着し休憩していると、一人の少女と出会う。

その少女の態度は尊大であった。

いきなり少女に話しかけられしかも命令されたので俺はどうすればよいか困惑した。

その少女は背が小さく、金髪をツインテールに結んでおり、白いYシャツにパステルピンクのフリルのミニスカートを着て、黒い靴に白と水色のストライプ柄のハイソックスを履いている。 スカートの裾とハイソックスの裾の間に見えている白い素肌には、ガーターベルトの黒い紐が見えており、大人びた雰囲気を出している。

その少女はどうすればよいかまだ悩んでいる俺に向かって再び口を開く。


「何をしておる?さっさと準備せぬか。 わらわを待たせるとどうなるか分かっておらぬようじゃな。言っておくがわらわを見た目で判断すると痛い目を見るぞ。既に賊どもや魔物どもを何体もこの手で返り討ちにしておるからの」


少女がそう話していると、その後ろにいた人物ーーー黒いローブのフードを目深に被り、その中に白い髭を蓄えているのが見える老人ーーーが、あわあわとした様子で少女の前に出ると俺に向かって言った。


「も、申し訳ございませぬ!少々お待ちくだされ!」


そういうと老人は俺に背を向け、少女と同じ目線までしゃがみ、そしてコソコソと話し始めた。

だが、話の内容は何故か俺には聞こえていた。


「えっと、その・・・少々口調が乱雑ではございませんか?それに見ず知らずの方にいきなり命令するというのも・・・」

「ええい、何を言い出すかと思えばそんなくだらん事を・・・わらわがどのような言葉で話そうとわらわの自由であろう」


・・・しかし本当に偉そうな喋り方だなこの娘。

オルティガはゲーム内の他の都市に比べ古き良きファンタジー作品の代表のような国だと聞いた事がある

 だからこの子も話し言葉から察するに城か高貴な所に住んでいる、姫様かお嬢様なのだろう。


「わらわももう子供ではないのじゃ、じゃからそんな事を逐一言うて来るでない」

「し、しかし『姫様』! いくら事実とはいえ、姫様の戦闘能力と実績で相手を脅迫なさるのは…!」


・・・おい、言っちゃったよ。 爺思い切り小声で俺しか聞こえてないけど姫様って言っちゃったよ。

そしてさっきの言葉、事実だったのか。


「おい爺、そのような呼び方は止せ。 今のわらわ達は「庶民のジジィと孫」、わらわの実力がバレようとも、その事が発覚しては決してならぬのじゃ」


もう両方ともバレちまってるけどね。 話を聞かないのが正しい選択だけど、俺は嫌でも耳がソバダつからな。 まあ、聞いた上で聞かなかったことにすればいいか。


「ですがいくら変装のためとはいえ、姫様を呼び捨てにするのは・・・」

「ほざけ爺。 とにかくわらわ達は一刻も早くクラウドに行かねばならぬのじゃ、わらわを狙う賊どもに気づかれぬようにな」

「しかし、私たちが乗車する列車の手配が出来ておりませぬ。 いきなりこの方の列車を使うのも…」

「ああ、ギルドが『優秀な運転手』を用意しようとしたがそいつが来なかったからの。でもだからじゃ、変に手配された列車を使うとかえって尾行されるかもしれぬ。故にいきなり適当な列車に乗っておれば逆に安全かもしれぬぞ?」


その自身はどこから出てくるのか・・・

というか俺の列車に乗る気満々なのか。


「で、ではこの方の汽車に乗せてもらうとして・・・ですが護衛の方も十分ではありません。今城にいた中で優秀な人材を選びましたが・・・」

「なにを臆することがある、我がオルティガ国の精兵じゃぞ。実戦不足な新兵が紛れておるとはいえ生半可な相手に遅れは取らぬ」

「ですがやはり、ギルドが派遣した冒険者を入れては・・・」


爺はそう進言するが、それを聞いた姫は怒って・・・


「だれが雇うかあのような不敬者ども!奴らはわらわを見るなり気色悪い笑みを浮かべて仰向けで匍匐前進して来たのじゃぞ!だから木っ端微塵に消し潰してやったわ!あれは魔王がよこした先兵に違いないわ!」

「確かに護衛人物に対して敬意があるようには見えませんでした。ですが、見た所彼らはNPC変装型魔物ではなくプレイヤーだったはずですが・・・」

「とにかく、あんなクズ共を雇う位なら少数精鋭で行った方がマシじゃ!異論はないな?」

「は、はい・・・ございません」


確かにそんなことされたら消し炭にしたくなるのも無理はないな・・・

っていうか現実で幼女にそれやったら犯罪だからな、全くゲームだからって自重しない奴が多いな・・・


「とにかく、クラウドにはこやつの列車を使って行く。よいな爺?」

「はい、了承しました」

「それとさっきの話じゃが、人を力で従わせる暴君では父上の名に傷がつく、今後は控えることにする。賊ども以外にはな」

「はい、それがよろしいでしょう」


爺と姫、いや一般のジジィと孫は話を終えると再び俺に向き直った。


「申し訳ございませんが、クラウド駅まで乗せて行って貰えますかな?とある用事であそこまでいかねばならないのです」

「ええ、構いませんよ。車掌が駅長室に行っているのでしばらくお待ちいただきますが・・・」

「おお、それはありがたい!では準備が出来るまでお待ちしております。ああ、それとごえ・・・いえ知人も何名か同乗致しますのでよろしくお願いいたします」


それからすぐに機関車の水と黒魔昌の補充が終わると、俺はメニューを開いてホームで列車の編成を行う

 ターンテーブルを使う程ではないので、宙に浮かせた列車をそのまま前後反転させて線路に降ろす。

ああ、こんなことになるんだったら食堂車か寝台車でも買っておくんだったな。

役目を終えた無蓋貨車は外してアイテムパックに直接しまう、入れ替え機関車を呼び出して引っ込めてもらうことも出来るが、実質演出で時間がかかるのでこの方法で。

それからすぐに車掌が駅長室から戻ってきて、俺が事情を (さっき耳にした裏事情ではなく臨時の乗客が出来たとだけ)伝えると車掌車に入って出発の準備をする。

車掌が戻ってくるのと同じタイミングで武装した護衛、いやジジィさんの知人たち4名が列車に乗り込む

 出発の準備が出来たのでジジィさんと孫に声をかける。


「準備完了しました」

「ふう、やっと出来たか待たせおって」

「ありがとうございます、では搭乗させていただきますので」

「さっさと列車に乗るのじゃ、ジジィ」

「は、はい、では行きましょうひ・・・ま、孫」

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