18. 新たな出会い ~チームへの勧誘~(中編)
歩き初めてから数分後、俺とキャット☆アイは目的地に到着した。
そこは何の変哲もない一軒家だった。 が、その一階の地下へと続く階段を下ると広い地下室へと出た。
俺はその地下室の一角にある応接間のような部屋で先に来ていたキャット☆アイの『仲間』と話を始めた
話が終わって、俺は言った。
「話は分かった、が。何故俺なんだ?」
俺は柔らかいソファに座ってそしてテーブルを挟んで向かい合わせに、キャット☆アイともう一人プレイヤーと並んで座っている機械人のプレイヤー、その背丈は立っている時は俺よりも大きい3メートルはある巨体、その背に背負った巨大な大剣、漆黒の黒いボディに血のように赤いカメラアイをしている。
名前を『ブラッド』と名乗る男性プレイヤーに問いかけた。
ブラッドが答えた。
「それはな、発端は新しいバージョンが公開されて我々以外の多くのチームに新人を取り入れる動きがあってな。我々も新人を入れようと言う話になったんだ」
俺が彼らと話した内容はこうだ。
簡単に言えば俺に彼らのチームへ参入して欲しいそうだ。
新人プレイヤーを自分達のチームへ勧誘する理由は上でブラッドが言った通り、彼ら以外にも多くのチームで新バージョン突入で増加した初心者・新米を引き入れようとする流れに乗ってのことだ。
実際、俺以外にも勧誘して承諾してくれたプレイヤーがいるからだ。
勧誘の対象に俺自身を選んだ理由は、戦闘能力にあるらしい。
俺の実力はあの例の占拠事件で分かっており、キャット☆アイ曰く「ゲームを始めて数日のプレイヤーが初めての対人戦しかも複数人相手に生き延びるのはなかなかない」らしい。
うぬぼれではないが、そこに関しては俺は自身があるつもりだ。 このゲームを始める前に別のゲームで対人同士の仮想の討ち合いを行っていたからだ。
そんなわけでブラッド達は俺に対して自分達のチーム『バウンティ・バスター』への参加を許諾して欲しいそうだ。
ここで少し解説を挟む。
SoFOでは様々な目標を元に、同じ考えのプレイヤー達と共にチームを組むことが出来る。
ブラッドがリーダーを務めるチーム『バウンティ・バスター(通称B・B)』の活動目的は、早い話が賞金稼ぎである。
賞金首モンスターと呼ばれる市民やプレイヤーに危害を加えたり、町や施設に損害を与えてギルドから懸賞金を付けられたモンスターの討伐や、重大事件を起こして指名手配されている犯罪者の逮捕を積極的に行っている。
俺はこのゲームでは簡易的な実戦訓練をしながらのんびり輸送業務をして行くと決めていたので、答えは
「チーム参入は保留にしておいてくれ、急な話だからな」
・・・といいつつ、俺は内心ではそれもアリだと思っていた。
前のゲームでも他のプレイヤーとチームを組んで面白可笑しく戦闘を繰り広げていたからだ。
そんな風に過ごすのも悪くはないと俺は思っていた。
俺が言い終わると、ブラッドがそれに答える。
「そうか分かった。考えがまとまったら、連絡をよこしてくれ」
「それから。最後に言っておきたいことがある」
帰る直前、ブラッドが俺に言った。
「なんだ、まだあるのか」
「ああ、とても重要なことだ。ラッシュ駅襲撃事件の事は覚えているな?実は昨日の夜、その解決に貢献したプレイヤーの一人が襲撃を受けたそうだ」
「なんだって!?本当か?」
「ああ、襲撃犯は複数人でまだ捕まっていないらしい」
「どうしてそれが分かる」
「にゃフフフ、秘密です(キリッ」
キャット☆アイが猫の様に笑った後真面目なトーンで言った。
「だが信用出来る情報筋だ。そしてその情報提供者によると今日の朝と昼にも襲撃があったらしい。昼のは返り討ちにしたらしいがな」
「あたしはまだ会ったことないけどニャ~」
「お前は姿くらましながら行動してるから撒くのは得意だろ。話を戻すが、襲撃は全部クラウドの周辺で起きている。ここを拠点にしているあんたは特に危険だ。狙われる可能性が高い。町を歩く時は十分注意してくれ」
「そうだったのか・・・、忠告感謝する。それではまた会おう」
俺は忠告してくれたブラッド達に別れを告げて建物から街道に出た。
町を歩いていると、何やら影から視線を受けているような気配を背中に感じた。
危険を感じた俺は、足早に駅へと帰って行った。
そして俺がこの時感じ取った危険は、その少し後にはっきりした形で現れることになる。
次回に続きます。
余談:
鉄夫は前のゲーム「バレットストーム」でもチームに参加していた。
「バレットストーム」にもチーム機能はあったが、その大半はいじめや詐欺行為、初心者狩り目的などろくでもない連中に利用されており、鉄夫が所属していたようなまともなチームは少なかった。




