14.5 ラッシュ駅占領事件 (後編)
※残酷な描写あり
換気パイプを伝い人質が囚われている部屋まで来たキャット☆アイは、獣化を解除して人型に戻り、格子状の網を音を出さずに静かに外し、そこから下に見える室内の様子を観察して飛び降りるタイミングを見計らった。 すぐには降りない、騒ぎに気付いた外の監視が中に入ってくる可能性があるし、その分人質たちに危険が迫るからだ。
そしてその時はすぐに来た。 外にいた監視が慌てて部屋に入ってくると、リーダー格の男にホームで戦闘が始まったことを伝えた。 彼女にも自分が今いる場所のパイプの奥から剣劇や喧噪の戦闘の音が聞こえていた。 リーダー格は監視に指示を出すと、監視は部屋から出ていった。 そして、リーダー格は扉の鍵を締めるため扉に近づいた。 駅の待合室の扉の鍵は、外からは鍵を使う必要があるが、内側からは簡単に開閉出来る。 彼女はそれを知っていたため、リーダー格が鍵を締めると同時にパイプから室内に飛び降り、即座に数人の見張り役を片端から手刀で気絶させる。 そしてすぐ間もなくリーダー格の背中に回り込み、拘束した。
「くっ!?」
リーダーはあっという間に部下を全滅させられ、自分も拘束されたことに驚愕しながらも、すぐに振りほどこうともがくが、女性の華奢な腕からは想像出来ない強い力で押さえつけられて動けなかった。
「動かない方が良いニャ」
猫語のふざけた口調とは裏腹に言葉には強いものを感じ、自身の腕は動くこともかなわず、首元にはナイフを突きつけられ、抵抗は出来なかった。
(こ・・・この女、なんてパワーだ。というより、どこから入って来た、いや、それはどうでもいい。 こいつは何が目的でここまで来たのかそれが重要だ。 間違いなくここの人質を解放するためなのは明確だ、それは分かる。 しかし何故そんな危険を冒してまでこんな行動をするのかそれが疑問だな・・・・
・・・・・それにしてもこの女、胸デカいなぁ。 背中に柔らかい感触があって気持ち良・・・いやいや話が脱線したな、ともかく今重要なのは今の状況でこの女が来たという事は、この強盗計画は失敗に終わったということだ、いや~やっぱ悪いことはそう上手く行かんか~・・・)
リーダーが心の中でそう思っていると、キャット☆アイが口を開いた。
「あんた達の計画は筒抜けニャ、でも何が狙いなのかその口でしっかりと喋ってもらうニャ」
彼女はそういうと喋らせるためにリーダーの首元への力を緩める。 だが。
「フ・・・悪いが、そう言われて喋るほど、俺もお人よしじゃないんでね」
「ホウ・・・なら、これではどうニャ!」
リーダーが口を割らないと見るや、キャット☆アイは素早くナイフを彼の右肩に刺した。 ナイフは肩の深いところまで届き、血が噴き出す。
「グアぁ・・・!」
「さぁ~、次はどこを切りつけてやろうか~?」
リーダーが痛みで呻くと、キャット☆アイは芝居じみたふざけた口調で脅しをかける。
「分かった分かった、言うよ」
「最初からそう素直に話せばいいニャ」
拷問には耐えられない性質の為、リーダーはすぐに口を割った。
彼らの犯行は主犯格となる10人のメンバーが計画した。 彼らは戦力UPのため少量の金で犯罪者達を雇った、この男もその一人。 彼らは標的をラッシュ駅に定め、まず駅から離れた所で列車強盗を行い警戒を引きつけつつプレイヤーの列車の発着数を減らした。 それでも駅にはNPCが運行する旅客列車があり彼らはその利用客を狙う。 そして実行日、早朝に駅に忍び込み、駅員たちを無力化し変装。列車の利用客たちが駅に入り、一定の数が入ると入口のシャッターを閉鎖、乗客達を捕縛し駅員たちと共に部屋に捕らえた。 彼らを人質に近隣の国家から身代金を要求する為だ。 それから駅に列車を来なくするため両隣の駅に対して『ホームで問題が起きたため列車の発着が不可能』と嘘の報告をした。(そんな中でもクラウド行特急が駅に定刻通り到着出来たのは、特急列車はどんな事情があっても、災害や事故などのトラブルが起きない限り運行を停止しないことになっていたのだが本人たちは知る由もない) 途中、異変に気づいた衛兵達の侵攻を追い返し、計画は順調に進んでいた。
「・・・そんな時に主犯格の奴らはある物を見つけた」
「ある物?」
それは列車の運行予定表だった。 普通は駅員のみが見るそれは、NPCもしくはプレイヤーの運転するどんな種類の列車がどこから発車してどこに到着するのか分かるものだった。
そしてそれにはこうかかれていた。
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| 列車運行予定表 |
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|車種 |列車種 |貨物種:(貨物列車のみ記載) |到着時刻 |運転手 |備考 |
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|蒸気 |貨物 | 金塊 × 5 |昼3時頃 |J-7 |クラウド駅発 |
|機関車| | | | | |
|アンク| | | | | |
|ル・パ| | | | | |
|フ | | | | | |
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この書類を見ると、欲が出た主犯格10人はこちらへ向かってくる金塊を強奪するため、駅の制圧を彼に任せて駅を出た。
「そいつらは今どこに?」
「ああ、駅を出たのが数分前で、今2時45分前だろう、もう襲っているかもしれないな」
すっかりおとなしくなった男は淡々と質問に答えた。
「そっかー、いい話聞いたニャ、ありがとニャ☆」
キャット☆アイはそう言うと男の首を絞めて気絶させた。
そして扉から出ずに、自分が降りた通気パイプの中を通って今度はホームに降りる。
駅の構内は列車に乗っていたプレイヤー達とそれを潰そうとする犯罪者達の戦いに、シャッターをこじ開けた衛兵達も加勢し、混沌としていたが、形勢は駅舎解放側に傾いていた。
キャット☆アイは自分に襲い掛かってきた犯罪者達を爪で素早く切り裂き、そして大きく飛び上がり空中からナイフを犯罪者達の頭へ投げ命中させる。 援護もそこそこに空中から線路に降り立つと獣のような俊足でクラウド方面に向けて走りだした。 主犯格を撃破し、貨物列車の運転手を助けるために。
だが結果からいうと、到着した時にはJ-7によって主犯格の内3人は既に撃破され、残る7人もその場で倒した。




