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14.5  ラッシュ駅占領事件 (前編)

解説回ばかりが続いて申し訳なかったですが、本編です。

主人公以外が活躍します。

※残酷な描写あり

~J-7がクラウド駅から強盗討伐に出発する数刻前~ (バロン&ジル)


バロンとジルはとあるダンジョンの攻略に向かう為、近くのエス・マール国の城下町に来ていた。

そこに、つい先日フレンド登録した初心者プレイヤーJ-7からチャット通信が届いた。


「・・・クエストの手伝い?」

『そうだ。とあるクエストを受けようと思うんだが、少々難易度が高くて俺の実力では少し厳しい。二人が協力してくれれば助かるんだが、どうか?』

「悪いけど、あたし達もあんたが今いる所から遠いところのダンジョンに行くところでね」

『そうか。いやいい、そちらにも事情があるだろうし、俺も無理強いはしない。ダンジョン攻略、頑張ってくれ』

「済まないね、でも僕たちも探索がひと段落したらそちらに合流するよ。・・・それで、どんなクエストなんだい?」

『・・・悪いがそれは詳しくは教えられん。とにかく難易度が高いとしか言えん。すまんな、ではまたな』

「あ、ああ・・・またね」


J-7はそう言ってチャットを切った。

だが二人の中堅プレイヤーはその脳裏に疑問と不安を浮かべていた。 (J-7)は何をするんだろう、どんな行動を起こすのだろう、と。

それからの二人の行動は速かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


~エス・マール駅・構内~


《まもなく、1番ホームからクラウド行特急列車が発車いたします。 この列車は途中、運河の町駅・オルティガ駅・ラッシュ駅・終点のクラウド駅に停車します。 途中通過する各駅をご利用のお客様は3番ホームから発車する各駅停車・クラウド行をご利用ください。 なお、3番ホームの列車は・・・》


「ほらバロン!速く速く!もう来てるわよ!」

「そんなに急かすなよジル、出発まであと3分もあるんだから」


バロンとジルは、予定を変更し急遽クラウドまで行くことにした。

何故かといえば、J-7の言っていたことが気になるし、それに初心者は自分の実力やプレイヤーとしての立場が分からない者も多く、無茶や危険なことなど何をやらかすのか全く想像できないことを、二人はこれまでの経験で知っていたからだ。

二人が列車に乗り、それから少しの間があって発車アナウンスが流れた。


《1番ホームより、クラウド行特急列車が発車いたします。危険ですので、ホームの内側にお下がりください》


ピィーーーーーーーー!


プァーーーーーーーン!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


列車は順調に走り、ラッシュ駅に到着した。

だが、そのラッシュ駅では異変が起こっていた。


最初に気づいたのはバロンとジルだ。

彼らは駅の中が妙に静まり返っていたのに気づいた。

ラッシュ駅に限らず駅の中は到着する列車や駅員、利用客で昼も夜も賑わっている。 でも今は照明は点いたままだが、まるで終電を送ったあとのように静かで、窓の外からも駅員や他の乗客、列車の姿がいなかったのである。 現在の時刻が昼だったのもそれに拍車をかけていた。


「やけに静かね・・・外に出て何があったのか調べてみましょ」

「そうだね、でも慎重に行こう。何が出てくるか分からないからね」


伊達に中堅ではなく他のプレイヤーやNPCが犯罪を起こすこともあるSoFO(このゲーム)に慣れている二人は、この列車に乗っている他のプレイヤー達よりも率先してこの異変の解決に乗り出した。


二人は列車を下り、ホームに立った。 周りを見渡してもやはり人の姿はない。 と思ったその時、二人の前に数人の人が現れた。 だがそれは駅員や乗客ではなかった、が、確実にこの異変の原因であることは理解できた。 その人影は見た目も人相も態度も明らかに悪党のチンピラだったからだ。

そのチンピラ達は二人の前まで行くと口を開いた。

「よぉ、ニィちゃんにネェちゃん。命が惜しかったら金目のモン全部出しな」

だが二人はそんな定型文には動じなかった。

「君たちは誰だ?これは君たちの仕業なのか?」

バロンが訪ねたが、チンピラ達はただ不快な声でゲラゲラ笑った。

「あアン?ガタガタぬかしてねェでさっさと金をよこしな」

「はあ?あんた達バカじゃないの?今時そんな脅し、通用すると思ってるの?」

ジルがかなりいらついた様子で言うが、チンピラ達はまだ不快に笑うだけだ。

「ケケケ!まァ金を出さねェンならそれでいいぜェ?どっちにしろテメェらをぶっ殺しゃあ・・・」

と言い終わる前にバロンはそのチンピラがナイフを掴もうとした手を素早く片手剣で居合切りする。

ナイフを持った手が手首から離れ飛んでいく。

「すむんだからよ・・・って、え?あ?・・・ギャアアアアアア!!手がァ!俺の手がァァア!!」

一瞬の出来事にチンピラは理解できず痛みが遅れてやってきた。

「どうやら君たちに話は通じないようだ。悪いが力づくでも喋らせてもらうよ」

バロンは剣を抜き盾を構えて戦いの構えをとった。

「ク、クソッ!テメェら構うこたァねェ!ヤッ・・・!」

「うおおぉぉぉりゃあああ!!」

チンピラが仲間に号令を出す前に更にジルが突進、大盾でチンピラの仲間を殴り飛ばした。

殴り飛ばしたチンピラ達が駅の壁にぶつかり、めり込むと、それを合図にしたかのように悪党たちが四方から出てきた。

ラッシュ駅を舞台にした戦いが始まった。

次回に続きます。

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