13.VS列車強盗
~あらすじ~
J-7は鉄道輸送をしていたが、最近サニーヒルズ~ラッシュ間で列車強盗が相次いで発生するようになった。 対策を立てていたその時、遂に鉄道の運転手や利用客に大きな被害が発生してしまう。 そしてJ-7は、これ以上の被害拡大を防ぐため、強盗討伐を開始する。
※残酷な描写あり
俺は列車強盗討伐に向かう前に輸送クエストを受注した。
それは、「金塊」の輸送であった。 強盗を討伐に行くという危険な仕事をしようとしている時に何故そのような依頼を受けたかというと、これは強盗を釣るためのエサを用意するためである。
運ぶ金塊の量は5個と少ないがそれでも価値が高い物で、それに、金塊等の貴重品を運ぶときには専用の貨車を使うため、見た目的にも分かり安いので、簡単に寄ってくるだろう。
とはいえ、運ぶ金塊をひとまとめにしていては簡単に持ち去られてしまうだろう。 そこで俺は、まず用意した5つの空の樽の底に金塊をそれぞれ一つずつ入れその中に大量の砂利を入れる。 次にそれを貨車の四隅に一つずつ、真ん中に一つ置き、その上に砂利だけを入れた樽を大量に詰め込む。 そうすることで、仮に貨車が襲撃されても、全ての金塊を持ち出されることを防ぎ、時間稼ぎにもなる。
次に俺の列車の状態だ。 機関車は当然万全の状態にしている。
そして後ろに車両を2両連結している。
車両名:古い護送貨車
種類:貨物(特殊)
重量:1
説明:
貴重品を輸送するために、有蓋貨車を改造した貨物車。 しかし、旧式のため現在使われているものより頼りない。
積載可能貨物;
金塊、宝石など貴重品全般
車両名:車掌車
種類:ブレーキ・車掌車
重量:1
説明:
車掌が乗り込むための車両。 列車に何らかの問題が発生した際に対応してくれる。 ブレーキが付いているため、緊急停車等にも役立つ。 内部は居住性が高く数人程度なら収容できる。
護送貨車は金塊を運ぶために依頼者からレンタルしたもの、旧式と表記されている通り、ドアに錠前はあるが車体は木製なので頼りないが、ないよりかはマシだろう。
車掌車を繋いだのは、強盗と戦闘になった際にやはり一人では心細いので、一人でも増援が欲しいと思ったからだ。
作戦前に一応フレンドに|(無理強いさせないように内容は詳しく伝えていないが)手が空いていないか訪ねたが、同期の二人は森の方へ、中堅プレイヤーのバロン、ジル、ロンメルもここから遠く離れたダンジョンを攻略中だそうだ。 中堅プレイヤー達は攻略が一段落したら出来る限りこちらに合流すると言ったが、その時間まで待っていたら辺りが暗くなってしまいこちらが不利なので日が出ている内に勝負をつけようと思う。
そうして俺は自分の機関車に乗り込み、長い汽笛を鳴らして駅を出発して、作戦を開始した。
ポォーーッ!
クラウド駅を出発してサニーヒルズ駅に着くまでは何も起きなかった。
そしてサニーヒルズを出発して、少し進んだ所で、それに遭遇した。
前方の線路に3人の人が立っているのが見えた。
その内の一人は全身に棘が付いた鎧を着ていた。 以前、列車強盗に襲われた際に襲撃してきたのが全身に棘が付いた鎧を着た者だったので、ヤツが例の列車強盗だろう。 だが奴の周りには初めて見る者が2人いた。 一人は比較的軽装で口にバンダナを巻いている細身の男、もう一人はその3人の中で一番重装備をした巨漢の男だ。
その3人は明らかに強盗のグループだと分かった。 だが、俺は怯まなかった。 例え3人に増えたとしても、必ず討伐して見せる覚悟だ。 機関車の屋根には既に固定銃座を設置しているし、アイテムも不足はない。 戦闘準備は万全だ。
そしてその時は来た。 俺は機関車のスピードを落として前方の3人に近づく、そして後数メートルといった所でレバーを最高速に合わせ、窯に黒魔晶を投入して|(蒸気機関車は走行中に黒魔晶を窯に入れると数分ほど最高速度が上がる)急加速した。
線路の両脇にいた、棘付きのリーダーと細身のバンダナはとっさに避け、真ん中に立っていた重装備は列車を止める気だったのかそのまま構えていたが、力及ばずそのまま列車の下へ引きずり込まれた。 列車はガタガタと揺れ、車体の下から、鉄板が割れる音と果物が潰れたような音が聞こえた。
・・・あとで掃除が大変そうだな、と思いながら、俺は機関車の屋根に上がり、戦闘が始まった。
固定銃座を構えると俺は敵の姿を探した。 購入したゴーグルのおかげで煙が来ていても周りの景色はしっかり見えていた。 その時、左側の森からナイフが飛んできた、俺はその方向を索敵する。 ナイフは森の中からまるで銃弾のような数と速度で飛んでくる、が、俺からしてみれば、それは敵に自分の居場所を教えているようなものだった。 俺はナイフが集中して飛んでくる方向に照準を合わせて射撃した。
すると、森の中から銃弾が命中した音と痛みを受けた男の声が聞こえた。 俺は銃撃を止めず撃ち続けると、今度は森の中からバンダナ男が血を流しながら飛んできた。 男はそのまま木の幹を蹴って、ナイフを構えて俺に向かって飛んできた。
「死ねェーッ!」と叫びながら俺の身体にナイフを突き刺す、が、モンスターの攻撃を受け続けて鍛えられた「鋼鉄の身体」のスキルと増加装甲の前にはそんな物は通用しない。
俺は即座に突っ込んで来たバンダナ男の首根っこをしっかり掴む。 バンダナ男は苦しそうに抵抗するが、俺は小石を数個取り出すと男の無防備な腹部に投げつける。
ドチュチュドチュ!
と、まるで銃弾のように小石がバンダナ男の腹に突き刺さり、男は痛みで悶絶する。
そこに間髪入れずに俺が棘の付いた足で負傷した腹部を蹴りつけ、そして機関車の進行方向に向かって男を投げる、そして地面に着く前に固定銃座で狙いを定め、あの時のウルフと同じように空中でハチの巣にする。
撃破にはいたらなかったが、線路の上に叩きつけられたバンダナ男はそのまま列車に轢かれ、先程の重装備と同じ運命をたどった。
あとは一人、主犯格を倒せば終わりだ。 俺は周囲を索敵して奴の姿を探す。
すると車掌車から車掌の悲鳴が上がった。 どうやら俺が戦っている間、車掌は奴と戦っていて、負傷してしまったようだ。 そして車両の間から主犯格が屋根に上がってきて俺はすかさずそれを射撃した。
ズドドドドドドド!
2つの銃身から交互に発射される銃弾は主犯格の装甲や棘をたやすく貫き砕いた。 主犯格はたまらず屋根から降りる。
今回の任務は討伐が目的、逃がしてはならない。 俺は主犯格にトドメをさすため、機関砲を台座から外し、両手で持った。 主犯格が降りた貨車と車掌車の間にすぐ向かったが、そこには奴の姿はなかった。
列車から飛び降りた形跡もない。
と思ったその時! 貨車の側面から、バリバリバキバキ!という木材が割れる音と、ガチャン!という金属の部品が壊れる音が聞こえた。 主犯格が貨車の扉を壊し、中の砂利が入った樽を次々と貨車の外へ投げ捨てていく。 俺はそれに気づくと車両の屋根の上から中にいる主犯格がいる所めがけて銃弾を放つ。
木製の貨車の屋根はたちまち穴だらけになり、貨車の内部が見えてきて、主犯格に銃弾を浴びせるが、まだ抵抗を続けるようだ。 俺は機関砲を同時発射モードに切り替え、貨車に開いた穴から中に入り、そのまま主犯格に0距離射撃を行った。
ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン!
0距離から発射された銃弾は主犯格の身体に突き刺さり、貫通し鈍い音を上げ、肉も骨も砕かれて身体にポッカリとトンネルのような空洞が広がっていく。
至近距離からの銃弾に耐え切れず、主犯格はただ声もなく、苦痛と恐怖の入り混じった叫ぶような顔をして、俺に身体の残った部分を蹴り飛ばされ、地面に叩きつけられると上と下に身体がバラバラになり、死亡した。
こうして、俺の、俺自身が思考して行った、一大作戦は終了した。




