表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/43

12.増える被害

俺が輸送者プレイを始めてから数週間が経っていた。 俺の周囲では少し変化があった。 以前は駅で待機している時や路線を走っている時にすれ違う列車は大体アンクル・パフやアーム・ストロンガーがほとんどだった、しかし今では他のプレイヤーがある程度腕を上げたり、資金が貯まったりしたのか、アンクル・パフとは別の新しいタイプの機関車をよく見かけることが多くなった。

以前アーサーというプレイヤーが所有していた『シルバーサラブレット』と同型のタンク機関車『アイアンホース』や、スピードはイマイチだが高い馬力で沢山の貨物を運べる大型のテンダー機関車『グランドタートル』、ほぼ全ての性能が高水準の旅客用高速魔導機関車『ブルーコメット』等々、沢山の種類の機関車をクラウド駅やラッシュ駅で見かける事が多くなった。

一方俺は、今だにアンクル・パフに乗り続けていた。 この機関車に愛着がある、というより普段の輸送で性能不足を感じていないからだ。 長距離に乗客や荷物を運ぶことがあれば新しい型の機関車を購入を検討するが、俺はまだラッシュ駅から先には行くことは出来なかった。 先の都市に行くにはその地域の特定のクエストをクリアする必要がある。

とはいえ俺も輸送終わりに森で戦闘してレベル・スキルを上げているので、機会があれば行動範囲を広げるためにクリアしておこうと思っている。


周りがどんどん新型を導入していく中でも、俺はいつも通りに列車を運行している。

だが、最近非常に厄介なトラブルと遭遇することが多くなってきた。 野生のモンスターや動物ではない、それらは汽笛を鳴らせば大体森に逃げていくし、モンスターの場合向かってくることもあるが、車両で轢くか機銃で応戦して倒せるからだ。


その厄介なトラブルとは、西部劇でもお馴染みの『列車強盗』である。


俺の周りで新しい車両が見え始めた時から路線に現れ始め、最近ではほぼ毎回見かけるようになってしまった。 貨車に荷物を積んでいると、種類を問わず強奪してくる。 客車を襲撃することはほとんどないが、列車を襲撃することそのものはかなり不快だ。 それに貨車に積まれている物資が奪われるとその分報酬も減ってしまうので尚更だ。

ある日、俺はクラウド駅でレイニーと二人のプレイヤーと問題になっている強盗について話していた。

男のプレイヤーと女のプレイヤーは俺と同時期にSoFOを初め、列車での輸送をしながら冒険をしているそうで、俺ともフレンド登録していた。 どうやら二人とも強盗の被害に悩ませているようだ。

緑色に塗装したグランドタートルを所有している人間の男性プレイヤーは、よく長い貨物列車を引っ張って遠くの都市まで運んでいるそうだが、その道中度々強盗に襲われ、積んでいた貨物が被害にあうことが多いそうだ。


屋根が付いた家の床下に機関車の動輪をくっつけたような見た目が特徴的な旅客用家型蒸気機関車『レールスネイル』を所有している緑のロングヘアーが特徴のエルフの女性プレイヤーは、暖炉が付いた家型の客車を連結して運行しているらしいが、彼女も被害に合い、窓ガラスを割られ、ドアを壊され客室の中に侵入されたという。 幸いにも他のプレイヤーが同乗していたため、力を合わせて強盗を追い出す事に成功し乗客に怪我はなかったが、強盗を捕らえることは出来なかったそうだ。


俺も被害を話し、そしてレイニーが俺達や他のプレイヤー達の話を統合した結果、事件はサニーヒルズとラッシュの間の区間で頻発している事が分かった。


「このことは、もう冒険者ギルドと衛兵に話しておいたよ、あとは討伐されるのを待つだけだけど・・・」

「それ位の実力者はなかなかこっちに来れないか?」

俺がそう言うとレイニーは頷いた。

クラウドにいるまだ新人の冒険者達では実力も低いし、対人戦が不慣れな者が多い。 とはいえ、実力のある中級冒険者は、この街から遠くのダンジョンなどを攻略しているので、都合が悪かったりしているらしい。


と、俺達が話をしていると、ホームに別の機関車(アンクル・パフ)が入ってきた。 だが、明らかに様子が違った。 その機関車は3両の客車を牽いていたが、その全てが窓ガラスを割られ、乗っていた乗客数名が怪我をしているのが分かった。 そして運転手はホームに列車を止めると、そのまま後ろの黒魔晶の山に倒れた。 よく見ると、その運転手は全身に切り傷があり血が流れ重傷を負っていた。 俺と一緒にいた女性プレイヤーはそれに気づき、すぐその運転手に駆け寄り、回復魔法をかけた。 俺と男性プレイヤーも負傷を負った乗客を担架に乗せ、レイニーも乗客達を医務室に誘導すると、損傷した列車を整備場まで運ぶため、入れ替え用の機関車を取りに行った。


他の駅員たちとも協力し、乗客達を医務室まで誘導し終えると、俺はある決意を固めた。


これ以上被害が大きくなる前に自分の力で列車強盗を討伐することを。

この回で初登場した車両は後でまとめて紹介します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ