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加熱調理はお得意です

シエルの一人称変えました。もうちょっとよく考えるべきでしたすみません。

 他に何もない草原で御影風人は日本で市販されていそうなレトルトカレーを前に二つの事象に頭を悩ませていた。

 一つはこれをどう調理するか。炎どころか水さえもない状況ではレトルトカレーを作るのも難しい。


 「猫にレトルトカレー食べさせて良いのか?人間の姿してるけど…」


 もう一つは猫にカレーを上げて良いのかと言う風人のシエルへの優しさ故の問題だった。


 「お腹すいたーお腹すいたー」


 腕なり脛なり服から出ている生身の部分を狙って噛み抗議する。


 「それどころじゃないな。異世界で何が起きるか分かんないしあまり傷を負わない方が良いからな」


 かといって良い方法が思いつかなかった。普段あまり使わない頭を捻らせて悩んでいると、


 「だーお腹すいたー!!」


 いつも足にじゃれ付く勢いでシエルは風人に飛び付いた。いつもなら適当にあしらうことができるものだが今のシエルは人の姿をしていて風人より小さいぐらいの大きさで来られては帰宅部だった彼にとっては少しも耐えることもできずに倒れた。


 「ちょ、シエル!?」


 シエルの年相応で丸みをおびた胸が風人の体で潰れ、その弾力感が風人にダイレクトで伝わり顔を赤くした。それでもシエルは気にせずご飯をせがみ続ける。打開する術もなく風人はその攻撃の中、火を噴きそうなぐらい顔を赤くしながら堪える。


 「…火か。そうだ、炎の魔法を創れば良いんだ!!」


 なんとかシエルを離し魔法の創造に挑む。


 (何でもちょうど良く、それでいてすぐに温められる魔法。それ以外は特に指定はないかな)


 すると先程と同じように使い方が頭に入ってきた。リュックに入っていた皿にレトルトカレーを袋のまま乗せ地面に置き少し離れて呪文のような言葉を唱える。三度秒針のような音が鳴り次に甲高いベルの音が鳴り響く。すると皿の周りに白い煙が漂いそれが晴れると綺麗にカレーが盛り付けられていた。


 「…変なところでクオリティ高いな。まあ三秒ぐらいでできたから良いけど。でも流石に米無しでカレーは「あー食べ物だー!!」普通に食ってるし」


 風人が自分の猫ながらその食欲に呆れて目を反らした瞬間、


 「あ、熱いー!!」

 「猫舌か。お決まりだよな。大丈、夫か」


 振り返った風人が言い終わる前に何故かカレーが宙を飛び頭の上に落ちた。どうやら皿も熱くなっていてそれに触れたシエルがおもいっきり投げたらしい。茶色い物で視界の半分が見えなくなっていたが残りで万歳をしているシエルを捉えた。その後すぐにシエルが駆け寄って来て風人は拭いてくれるのだろうと思ったら、


 「ご飯ー!!」


 なんと懲りずに風人にかかったカレーを舐め始めた。


 「お、おい。な、舐めるな。くすぐったい。や、止めてくれ」


 黄色くなっているところは耳や首筋までシエルは舐めるので風人はくすぐったくて仕方なかった。しばらく経ち、風人は匂いはするものの多少綺麗になり、シエルはお腹いっぱいになったのか風人の膝を枕にすやすやの寝息をたて始めた。

 

 「姿は変わっても振り回されてばっかりだな。寝る時は無邪気な顔で寝るくせに」


 皮肉っぽく言うが風人はまるで天使の寝顔のようなシエルのかわいさに癒され笑顔になっている。

 少しして風人も腹が鳴り、我に返りシエルを起こさないようにリュックを手繰り寄せ中を漁って同じレトルトカレーとレンジで調理するタイプの白米を出して再度魔法を使う。


 「うおぁ!?…びっくりした。これは馴れないかもな」

 「むにゃむにゃ…」


 やはり先程と同じ音が出て風人は肩をびくつかせたがシエルは起きそうになかった。皿にはバランス良くカレーライスが盛り付けられていた。


 「変なところで精度が良いな。微妙なチート系の主人公か」


 妙なところで感心しつつカレーライスを頬張るのだった。


 「ん、結構うまい」



 宙に浮いた透明な球体を覗きこむ白いローブに全身を包んだ者がいた。


 「むうぅ…ずーるーいー」


 その者は球体の中の膝枕をする少女とされる少年を人知れず見てハンカチがあれば噛み締めたい程ものすごく悔しそうな顔をしたとかしなかったとか。

シ「幼女にペロペロさせるとか不健全ですねー」

風「設定では中学生くらいの小柄な娘だから幼女ではないぞ」

シ「でも不健全ですよねー?」

風「その不健全の大元からできたのが俺達だから文句は言えないんだよ」

次回 話を進m…村を探そう

シ「職権濫用ですねー」

風「敢えて言うなら作者特権だろ」

シ「ろくな人間じゃないのに特権とかどの口が言うんでしょうねー」

風「こっちのシエルは辛辣で怖い」

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