猫あるある
「…ご、ご主人…様?」
光が収まると元の姿のようなサラサラの短い黒髪、それが覆う頭から出る同じ色の大きな耳、そして風人より年下ぐらいの少女に変わっていた。
「シ、シエルなのか?」
「うん、シエルここにいるよ!!ご主人様!!」
猫あるある①名前を聞くだけでとにかく反応する。
シエルは正座を崩した格好で座っている風人の膝に手を付き顔を近付けた。二人の顔はすれすれまで近付き風人も不意なことでドキッとしてしまい目を反らす。
「…通じてるようで通じてないような…まあでも猫が普段言ってる事なんてこんなもんか」
「むー、なにかやな気分ー」
猫あるある②自分に言われてる悪口は分かる。
シエルは頬を膨らませてあからさまに機嫌が悪くなった。
「ごめんごめん、何でも無いよ」
それは不味いと思いいつも猫のシエルを撫でる感覚で大きくなった頭を撫でる。すると気持ち良さそうに目を細める。
猫あるある③撫でてやると前にあったことを忘れる。
そこで風人は大事なことに気がつく。
「…そこまで考えてなかった」
今、目の前にいるシエルは人の姿をしていてそれも女子である、全裸の。女子特有の丸みを帯びた体、透明ともとれる白い肌、そして年相応の膨らみのある双丘。それらを隠す様子もなく風人に撫でられてご機嫌である。
(そうだった!!シエルは服来てないんだった!!魔法にそういう条件とか付けてなかったしどうすれば…)
「そうだ」
風人は急いで置きっぱなしにしていた荷物のところに行き中をまさぐる。すると案外簡単に目的の物が出てきた。
「し、シエル!!早く服着てくれ!!」
なるべく直視しないようにしてキミホからもらった荷物に入っていたこの世界の女性用の質素な服を差し出す。しかし、猫であるシエルには理解できず首を傾げる。仕方ないので極力大事なところは見ずに服を着せる。風人は終わった後もしばらく真っ赤になって悶絶していたがシエルは風人の行動がよく分からずずっと首を傾げていた。と、シエルは何を思ったか不意に風人の腕───ご丁寧に服のないむき出しのところ───を噛む。
「ん、ご飯か?」
「お腹へったーお腹へったーお腹へったー」
猫あるある④ご飯の催促が激しい。
姿が変わっても───自分で変えたのだが───性格は変わらないな、と風人は笑いシエルを撫でる。それでも今度は機嫌がよくならず風人は荷物をまさぐると何故か日本のレトルトカレー(未調理)が出てきた。
「これ出てきて良いのか、世界観的に…」
そう呟いてレトルトカレーのパックを見つめるのだった。腕に噛み付いたシエルを放置したまま。
風「何だこの寒いオチは」
シ「しょうがないですよー作者的にはこれが本当に面白いと思ってるんですしー」
風「…本当は?」
シ「オチが見つからずなんとなく締めたってー」
次回 加熱調理はお得意です(未定)
風「何でこんなぞんざいな扱いなんだ!?」
シ「所詮筆休め作品ってことですねーメインは『トライアング「ステマになるかは分からんがやめとこう」