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魔法の使い道

 風人が目を覚ますといつもなら見馴れた家の天井か学校の机が最初に視界に入る筈が今回ばかりは違った。


 「…あれ、青い…何で空が見えてるん…そうだった」


 そう、そこには晴れ渡る青い空が広がっていた。風人は夢のようにも感じる先程の出来事を朧気に思い出しながら上半身を起こし辺りを確認する。風人がいるのは草原らしく地平線が見えるくらい何もない場所だった。そこでふとあることを思い出す。


 「あ、シエル!!」


 風人の最愛の彼女───人ではなく猫───も一緒にいるはずだと思い出し辺りをキョロキョロ見渡す。すると拍子抜けなことに風人のすぐ横でぐっすり寝ていた。


 「…にしても異世界の治安良くしろ言われても何すれば良いんだろ?んま、後で聞いて見れば良いか。それより…」


 近くに置いてあったリュックサック───キミホが言っていた生活用品一式が入っている───の中を探りある物を見つけて顔を緩める。手には本が握られていた。


 「魔法かぁ、しかも自由に何でも作れるとか最高じゃん。どうしよっかなー」


 その本の表紙にははっきりと『魔法創造入門』と書かれていた。それを見てまるで子供のようにはしゃぎ想像を膨らませる。


 「うーん、やっぱり王道は炎魔法だけど名前的には風魔法とかも良いな!!まーよーうー!!」


 悩み悶えて誰もいないのを良いことにゴロゴロしているとその目には寝ているシエルが目に入った。


 「…異世界で旅するってなるとシエル大変かもしれないな」


 某女神がこの台詞を聞いたら「だから言わんこっちゃない!!」とツッコミそうだが生憎今はその状況になかった。


 「…あ、そうだ!!シエルを人の体にして話せるようにする魔法を作れば良いんだ!!よーし、そうと決まったら早速…」


 『魔法創造入門』を勢い良く開き魔法の創造の手法を調べる。


 「イラスト付きで分かりやすい!!って仮にも魔導書的な物なのにこんなイマドキの説明書みたいで良いのか?」

 『大丈夫だ、問題無い』

 「うわっ、何だ?…ほ、本が喋った!?」

 『そう、俺は『魔法創造入門』のオプション特別機能、音声解説ボイストレーナーだ!!』


 表紙の『魔法創造入門』の文字が紫色に光り暑苦しい男の声が発せられる。


 「しかも話し方までイマドキだ。普通『我は』とかって言って古めかしい口調じゃないのか?しかも何だよ、音声解説ボイストレーナーって。厨二くさいしそもそもあってそうで間違ってるから、その英語。ボイストレーナーじゃ歌手とかが雇う奴だろ?」


 風人のツッコミを聞きしばらくの間無言の時間ができた。


 『…さて、本題に入ろう』

 「う、うん。誤魔化したね」


 「何かもう良いや」と思い風人はひとまず話を進めることにした。


 『お前は魔法を作りたいのだろう?なら、俺が教えてやる。だが、俺の指導は厳しいぞ?着いて来れるか?』

 「話し方がビ〇ーズブート〇ャンプみたいになってる。暑苦しいな、つーかうぜぇ」

 『まずはSTEP1』


 包み隠さず嫌悪感を出してくる風人にも構わず説明を始める。


 『作りたい魔法を具体的に考えろ』


 命令口調なのが微妙に気にいらないが風人はとりあえず言うことを聞いた。


 (シエルが人の姿になれる魔法。言葉も話せたら良いな。それに猫耳と尻尾は残して欲しいな。あと猫の姿にも戻れるようになれば完璧だな)


 『よーし、そろそろできたな?ならこれで最終STEP終了だ、良く着いて来たな。これでお前も魔法使いだ!!』

 「おいっ!!これだけ!!」

 『これにて音声解説ボイストレーナーシステムを終了する。お買い上げありがとうございました』

 「マジでこれだけかよ!?つーか何故に最後だけ商業口調!?」


 その後、表紙の文字が再び光ることはなかった。風人は短すぎる説明を不信がり『魔法創造入門』を開いて見る。先程見た1ページ目に音声解説ボイストレーナーが説明した内容がまとめてありその先は、


 「何これ!?魔法の説明一切なしでどこだか分からない店の広告やクーポンばっかじゃねぇか!!」


 呼吸を荒くして『魔法創造入門』を地面に投げつける。しかし、どういう仕組みなのか『魔法創造入門』は地面に当たるとボールのように跳ね返り風人の手に戻って来た。その現象に更に苛立ちを感じたが深呼吸をして落ち着きシエルの方を見る。ツッコミで風人は何度も叫んでいるがシエルは未だに寝ていた。


 「…じゃあ、つ、使ってみるか」


 そう思うと風人の頭に使い方が自然と浮かぶ。シエルの毛を一本取り、シエルを見つめ、風人に意味は分からないが不思議な呪文を唱える。

 すると、


 「光った!?」


 シエルの体が浮かび光───以前風人が受けた強い光ではなくどこか優しい光───を放つ。その光の中でシエルの体は人のような形に姿を変えてゆき、


 「……ご、ご主人…様?」


 光が収まると元の姿のようなサラサラの短い黒髪、それが覆う頭から出る同じ色の大きな耳、そして風人より年下ぐらいの少女に変わっていた。

次回予告

風「ってほとんど出てこないじゃねぇか!?」

シ「これが予告詐欺って言うんですかねー」

風「じ、次回には…ちゃんと出てくるよな?」

シ「作者のサボり癖が発動しなければすぐですねー」


次回 猫あるある

風「よく詐欺なんて言葉知ってるな」

シ「ここは基本、本編とは切り離されたところなので私の話し方やキャラも少し変わる可能性を秘めているので難しい言葉も扱いましたー」

風「…そうか、なら良かった。(こんなちゃんと話すキャラは嫌だ)」

ボ『それじゃあ、次回も見てくれよ』

風「お前は引っ込んでろ!!」

シ「だから、言ったでしょー何でもありの世界なんですよー」

風「これからも大変そうだな…」

(題名はあくまで予定ですので悪しからず。感想を頂けたらありがたいです)


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