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パートナー

 「で、何で俺が異世界に行かなきゃいけないんだ?」


 風人も比較的ボッチな年頃の男子なので当然異世界転移系のラノベを読んでいるので多少早く理解できた。そこで風人は落ち着いて最もな質問をする。


 「それは色々な事情がありまして…」


 風人からはキミホの目は見えないが目を反らすように顔を動かすので察した。風人は厳しい目で見続けていると観念したのかキミホが話し出す。


 「実は私、異世界に転勤になってしまい───」

 「え!?神様でも転勤あんの!?」

 「最後まで聞いて下さい!!」


 珍しく声を荒らげたキミホに驚き風人は黙りこむ。それを確認するとコホンとわざとらしく咳払いをして続ける。


 「今回は行く世界の治安がかなり悪いのと転勤の話が急にでしたので特別に元いた世界から人間を一人連れて行き力を与えて解決してもらっても良い、ということになりました」


 ツッコミどころ満載だが今度は首をかしげるだけで口は開かなかった。すると、キミホは両手の掌を上にして前に出すとかなり大きく装飾の施されたアンティークのような方位磁針が現れ二人と同じように浮く。その針は風人の方を指していた。


 「そこで私は連れて行く勇者なる人物を選ぶためにこの神器《者を選びし羅針盤(プリファーコンパス)》を使うと針は貴方を選びました。という訳でよろしくお願いします」

 「いやいや、「よろしくお願いします」じゃねぇから!!俺の意思は考慮されないの!?」


 さらっと重要なことを勝手に決めたキミホに慌てて風人は思わず叫ぶ。


 「神器が選んだ、それは神が選んだことと等しいのです。貴方は神の決断に逆らうのですか?」

 「理不尽にも程があるだろ!?お前は鬼か!!」

 「優しい優しい女神様ですよー」


 棒読みの台詞に風人は「どこがだ」と言いたげな目で抗議する。


 「風人さんは猫と呼ばれる小動物がお好きなのですよね?」


 猫という言葉に風人は思わず反応しキミホを見る。


 「風人さんが飼っていた猫───シエルさんでしたっけ?貴方とシエルさんとの出会いも私のおかげなのですよ」


 得意げにキミホは話す。風人はその話を聞くとシエルと出会った日の事を思い出した。と、そこで風人は我に帰り、


 「って、恩着せがましいこと言うな!!体の良いことばっか言いやがって、神なんだからそんなの簡単だろうが!!絶対嫌だからな。地球でしたいこともまだあるし、それこそシエルもいるし」

 「そこを何とか!!お願いします!!」


 風人が頑なな姿勢を崩さないので遂にキミホは頭を下げる。神という存在のイメージとのギャップがあり驚いて後ずさる。さらに風人が驚くことが起きてしまう。それは、


 「え、も、もしかして…泣いてます?」


 下げている頭から光がいくつか落ちていくのを風人は見つけてしまい、訳が分からず、困ったなと思いながら後ろ頭を掻く。


 「はぁ、女性の涙に弱いのに、ズルいですよ。ちゃんとチート能力とか勇者補正くださいよ?」

 「…は、はいっ!!勿論です!!」


 風人の言葉を聞いて顔を上げて元気な声で答える。風人はその動きに見覚えがありそうでいまいちぴんとこないので特に言わなかった。


 「まあ、地球での風人さんに関する記憶、記録はもう残さず消してありますけどね」

 「え、今なん」


 聞き捨てならないことをさらっと言われ聞き返そうとするもすぐに遮られた。この強引さ的にちゃんと教えてくれそうにもなかったので風人は諦めて話を聞くことにした。


 「風人さんにはほぼ全ての魔法を使える能力と身体能力等の勇者補正に向こうの初期装備アンド生活用品一式を用意しております。是非お使い下さい」

 「ん?ほぼ全てって使えない魔法もあるのか?」


 いきなりのテレビ通販のように喋りだすキミホに再度驚きながらも最もな疑問点に気付く。


 「異世界転移系の魔法等は戻られては困るので使用できません。ですがそれ以外であればどのような魔法でも使用することができます」

 「それじゃあ何か制限は?」

 「流石、良く分かっていらっしゃっる。1週間に1回のみ魔法を創造する能力です。ですが初回特典として最初の1週間は3回まで創造可能にしてあります。この能力は創造の権利のストックも可能なので貯めることもできるのです」

 「なるほど…」


 早口にペラペラ喋るので圧倒されて一言二言ぐらいしか話せない状況で風人は何とか説明を聞き取る。ようやく終わったと思いキミホの方を見てみると何故か少しもじもじしていた。


 「あ、あと、ですね。一人では心細いかと思い特別に元の世界の人を一人までなら一緒に連れて行っても良いということになりまして…例えば、大事な方とか?」

 「シエルで!!」


 即答過ぎて一瞬風人が何を言っているかキミホには分からなかったのか口ごもる。ようやく理解できるとため息をつき、


 「…猫ですけど良いんですか?人間じゃなくて。もっと大切な人とか、ご家族やご友人とか」


 呆れた声で尋ねる。それでも風人は「シエルが良い!!」と言い張ったのでキミホも渋々納得した。


 「…では、行きますよ?」

 「…はい」

 「私に尋ねたいことがあれば荷物に入っている日記帳に書いてくれれば返答しますので頑張って下さい」


 そこまで言うとキミホは詠唱を始め青い光が上に走る。それに見とれているうちに風人は意識が遠退き草原に倒れる。キミホはそれを確認すると頭のローブを取り安堵からため息をして、


 「もう、風人()のバカ。よりによって何で猫なのよ!!」


 本人が聞いていないところで怒りを露にしてストレスを解消しようとする。しかし、それでは収まらず、


 「絶対に風人()を私の物にして見せるんだから!!猫になんて負けないからね!!」


 そう言う彼女の顔は聡明な女神ではなく恋敵ライバルに宣戦布告する時の少女のものだった。

風「よっしゃ、次回からやっと異世界編スタートだ!!」

シ「楽しみですねーご主人様」

風「ん、お前誰だ?」

シ「もーシって書いてある時点で気付いて下さいよー」

風「でも、人語を話す訳ないし…あー続きが気になる!!」

シ「でもすぐにはできないでしょうけどねー」

風「ですよねー」


次回 魔法の使い道

風「更新スピード上がらないかな?」

シ「魔法でもない限り無理ですねー」

(マジで切実に無理です。勘弁して下さい)

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