風人、異世界へと発つ…のはまだ先のこと
風人は無重力のような浮遊感覚を感じていた。それを楽しみながら動いてみる。だが、いくら進んでも壁は見えない。いくら降りても床は見えない。いくら登っても天井は見えない。不思議な場所で風人はしばらくうろうろしていると突然ワープしてきたかのように白いローブで全身を覆った人のような何かが現れた。
「御影風人さん、ですよね?」
若い女性の声で何かはそう言った。喋ったこともそうだがその前にいきなり現れたことに驚いて声も出なかったのだ。
「私はキミホ、貴方の世界の女神を勤めています」
「女神…」
風人は話に付いていけず言葉を繰り返す。
「単に神様の女性版だと思って下さい」
「…それで女神様が俺に何の用でしょうか?」
「あ、私のことはキミホと呼んで下さい。話し方ももっと砕けて良いですから」
「はあ、ではキ、キミホ」
戸惑いながら風人はキミホの名前を呼ぶ。キミホは「ふふふ、はい」とどこか風人をからかっているように返事をする。
「何で俺をこんなところに呼んだんだ?」
辺りをキョロキョロと見渡しながら風人は尋ねる。するとキミホは今更何を言っているのか
「え、異世界に行ってもらうって話していませんでしたか?」
「え、今なんて…」
「だから風人さんには異世界に行ってもらいます」
風人はその言葉の意味を理解するのに二週間───ではなく数分かかった。
という訳で次の投稿は二週間後ぐらいになりそうです。