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中々転移しない主人公

 風人の朝は顔の痛みから始まる。


 「…痛っ、相変わらすシエルの噛みは容赦ないな」


 シエルは毎朝眠っていて起きない風人の鼻を噛む。それは風人の寝坊を阻止する。等と言う優しい理由ではなく朝食の催促である。しかし、それが分かっていても風人が優しく起こしてもらっていると感じているのは風人がMではなくシエルにメロメロだからだ。

 風人はシエルを抱っこしてリビングに下りると風人の母親が朝食を作り、父親が椅子に座り新聞を読むという絵に描いたような家庭的な朝の風景が広がっていた。


 「はやく食べちゃいなさい。お母さん、今日も仕事なんだから」


 ちょっと冷たい母親の台詞も馴れているので今更どうということもない。よくある『家族になった最初の頃は家族も暖かく楽しいが家族での生活が当たり前になってくる子供が高校生ぐらいになる頃には冷たくなる、熱が冷める。』というやつだと風人は半ば諦めている。と言うかはなから家族からの愛を両親に求めてはいない。風人はシエルさえ居てくれれば満ち足りているのだ。

 シエルにご飯を与え、食卓に付き、用意された朝食を食べる。家族との会話も特になく早々に食べ終え、自室に戻り学校に行く為に身支度を整える。

 風人にとっても学校に行く事は憂鬱である。 その理由は他の生徒の、例えばゲームをやりたいだの、勉強が嫌いだのというありきたりなものではなくシエルと少しでも長く一緒にいたいという風人らしいものだった。

 それでも結局、風人は学校に行く、いや無意識・・・の内に学校に行っている(・・・・・)と言った方が正しい。そこまで気付いて風人は自分に失望してため息をつく。

 その時、何もないところから白く眩い光が放たれ風人は咄嗟に腕で目を隠すも時すでに遅し。風人はしばらく視界を奪われてしまった。そして、やっと辺りが見えるようになると、


 「一体…何が…」


 風人は一人、真っ白な虚無空間にいた。

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