重度のキャットコンとその愛猫
風人が家に着き扉を開くとそこには、
「にゃ~ん」
彼の愛猫───シエルが今までずっと待っていたようにそこに立っていた。しかし、風人はそれが真実ではないと知っている。
「全くお前は。本当は俺がいない間、涼しい部屋でぐっすり眠ってんの知ってんだぞ?」
風人はそうは言っているものの口は緩んでシエルの黒い小さな体を持ち上げて頬ずりをする。そのまま自室を運び風人はシエルと遊ぶ。猫じゃらしを目の前で振ったり、鼠の玩具を投げたり。毎日、やっているが風人は全く飽きない、いや心の底から楽しんでいる。
シエルと遊ぶ事が風人の人生で一番の至福の時だった。そんな時間が経つのはやはりあっという間に過ぎ外が暗くなった。すると、シエルは何を思ったかガプッと風人の腕に噛み付いた。
「痛っ!!」
突然の事に風人は驚いてシエルを引き剥がし、時計を見る。短針は7を指していた。
「あ、そうか。もうこんな時間か。ごめんごめん」
風人はシエルに謝りながら一緒にリビングに降りて行きご飯───ペット好きなら餌ではなくご飯と言う───を与え、自分も夕飯を食べる。
風人の両親は夜遅くまで帰って来ないので一人で───風人はシエルと一緒に食べているので一人とは思っていない───食べることが多い。
シエルは乾燥してるタイプの猫のご飯───通称カリカリ───を貰い嬉しそうにがっついて食べる。
「一匹しかいないから盗られることも無いのにがっつくんだよなー、いつもいつも」
「それでも可愛いんだよなー」と風人は顔を緩め、夕飯を食べる。一応手作りだが冷えた物を温め直した料理なので正直美味しいとは言えないが、慣れてしまった風人は何も思わない。
シエルは食べ終わり取り替えられた新鮮な水を飲み、片付けられた綺麗なトイレで用をたすとまだ食事中の風人の膝に乗る。そのまま紅箱座りで満足そうに寛いでいる。風人はそんなシエルに苦笑いをして空いている左手でシエルの顎の下を撫でるとシエルは喉を鳴らして喜んだ。しかし、風人が食べ終わる頃にはシエルはうとうと眠りかけていたので風人はそっと小さい体を抱き上げ、再び部屋に運びベッドに寝かせる。そして風人は手早く着替えてシエルの横で寝る。これが風人の日常であった。
これからは他の作品の筆休め気味で更新しようと思っているので亀更新になると思いますがよろしくお願いします。