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初見の村では嫌われもの

 「ちっ、あのチンピラどもめ!!いつになったら戻ってくるんだ!?」


 上等な酒の入った杯を地面に叩きつけ、関係のない部下を怒りの矛先にする。それでも収まらず、大それた自らの椅子の周りをうろうろ歩き回る。彼が考えているのは他ならぬ運命の人のことであった。


 「あの神官を連れて来い。神託とやらが本当に正しいのか、今一度問う」


 横暴な君主に付き従う家臣達はなるべく君主の機嫌をそぐわぬよう速やかに従うしかなかった。その神官が何をされるのかも容易に予想できるが、自分より他人を優先できる者もそういない。


 「俺はこの国の王になる男だ!!俺の思い通りにならないことがあってたまるか!!」



 およそ1ヶ月程、何もない草原を歩いてやっと村らしき物が見えた。

 風人一行は喜び、早速村の門をくぐると、


 「お前ら!!そこに直れ!!」


 村に入った瞬間、衛兵に包囲された。(2回目)


 「え!?俺達は初めてこの村に来たばっかりなんですけど!?」

 「ぬかせ!!お館様に献上する女を着服しようとは!!この不届き者め!!」


 視線はシエルとプラシアに集まる。咄嗟に風人はその間に入り両腕を広げ守ろうとする。


 「その女と共にいるのが何よりの証拠だ!!大人しくその女を差し出せ!!」


 衛兵の中で最も偉そうな一人がプラシアを指差す。訳も分からず混乱していると、衛兵と風人達の集団の中に丸い何かが放り込まれ、それがたちまち濃い煙を撒き散らした。視界が効かない中、シエルとプラシアを探したが見当たらない。何かに手を引かれ、されるがままに進むと煙から抜けることができた。隣に二人も付いて来ていた。


 「お兄さん達、危なかったね」


 風人の手を握っていたのは小さな少年だった。振り返り笑う少年は三人を見渡し、


 「さ、ここじゃまだ危ないから。もうちょっと付いて来て。キレイなお嬢さん達も」

 「ちょ、待てよ!!お前誰なんだ?」


 強引に引かれる手を振りほどく。


 「僕?僕はテシナ。よろしく」

 「じゃねぇよ!!なんで俺達を助けようとしてくれんだよ?」

 「別に、お兄さん達の為じゃないよ。僕の恩人の為、そして」


 急に止まったかと思うと、他の家より立派な建物へと入り、手招きする。恐る恐る入ると中は寂れた教会で、


 「この村の皆の為だよ」


 振り返ったテシナの後ろには多くの人が身を寄せ合って風人達を見ていた。

シ「1ヶ月の旅は数行で終わっちゃったけど良いのー?」

プ「1年もすぐ経つのでそんなもんですよ」

シ「それはホントに笑い事じゃないけどねー」

次回 人の実情

シ「でも1ヶ月がすぐならプラシアの出番も数行にしてもらおー」

プ「それはやめてください!!」

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