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クルミサイズあるのかな?

ご無沙汰になってしまいすみません。その分気持ち長めにしました。これからもお願いします。

 「人間がこの地に何の用だ。そもそもどうやってこの村を見つけ…はっ、我が娘よ。無事だったのか!?」


  シエルを見た犬の耳を持つ老人の台詞はその場にいた全員を驚かせた。いや、例外も一部いた。


 「…ん?」


 能天気に小首を傾げているシエルと、


 「はぁ、またですか」


 眉間に指を当てて悩ましそうにしている猫の耳の女性だ。腰が悪いのか背丈が低い老人にわざわざ視線を合わせて、

 

 「…あの、お父様。人違いではないですか?お父様の娘は私一人ですよね?」


 しかし、老人は風人とシエルの方を向いていた。


 「お主、娘を連れ去っておいてよくものこのこと戻ってこれたものよ。者共、そのならず者を捕らえよ!!」


 老人の態度に混乱しながら二人を取り囲んでいる男達が槍を向ける。日本で生まれ育った風人としてはこういう状況に馴れておらず、すぐに降参するように手を上げた。


 「お止めください、お父様!!」

 「誰に物を言っている。そもそも、お主は誰だ?この村では見かけぬ顔だのぅ」


 女性が止めに入ったが老人はふざけている風でもなくとぼけた。それを聞くと女性はため息を吐き、「失礼します」と一言入れてから老人の首に手刀を当て、倒れそうになる老人を支える。


 「皆さん、お勤めご苦労様です。持ち場に戻って頂いて構いません。いつものことですがありがとうございます」


 微笑みながら男達に言うと槍をしまいそれぞれ離れて行った。その後、風人達に近付き、


 「戦意もお持ちでいらっしゃらないとお見受けしました。私達としても事を荒らげたくはないので、お詫びと言っては足りないかと思われますが歓迎をさせていただきたいのですが」

 「い、良いんですか?」


 女性が近付いて来たのでそういう事に耐性がない風人は動揺して答える。


 「はい、構いません。後よろしければお名前を伺ってもよろしいですか?私はプラシアと言います」

 「あ、はい。み、御影と言います。この子はシエル」

 (あ、名字で言っちゃった。こういう異世界だと名前を言うのがセオリーなのに。くそ、経験の無さが恨めしい)

 「ミカゲさんとシエルさんですね。では立ち話も良くないのでお父様のお屋敷にご案内致します」


 風人が内心後悔していることも知らずプラシアは二人を村の中で一番大きな建物へと案内していった。



 プラシアに案内された屋敷の一室は木材を使用した作りで現代日本にもありそうなふかふかのクッションがあるソファーが大きい物が小さい物二つに対するように置いてあった。


 「わーい、ソファーだー」


 シエルがすぐにソファーを見つけて大きい方に寝る。


 「…」

 「…なんか、すみません。しつけがなってなくて」


 プラシアが黙りこんだので風人は申し訳なく思い謝った。


 「い、いえ。気にしないで、ミカゲさんもお座りになってください」


 プラシアは風人に椅子に座るように促す。風人は言われるままに椅子に座る。


 (少し前屈みになっただけでこの迫力…すごいボリュームだな。思えば顔も綺麗だし、容姿端麗でモテるんだろうな)


 男の性故に仕方ないことではあるが風人の視線は気が付くとプラシアの豊満な双丘に注がれていた。


 「さて、いくつかお聞きしたいことがあります」

 「その前に、良いですか?」

 「はい、何ですか?」

 「椅子に座らないんですか?」

 「…」


 座らずに話し始めるプラシアに驚き尋ねるとプラシアは俯いて黙ってしまった。


 「…お隣にお座りしてもよろしいのですか?」

 「え、ええ。そうじゃないと話しにくいですし」

 (すごいピュアなのか?異性の隣に座りにくいって。まあ、族長?みたいな人の一人娘らしいし箱入りとかか?)


 頭の中であれこれ考えている間にプラシアは「し、失礼しますっ!!」と緊張が伝わる声色を発してようやく椅子に座る。プラシアの顔は今までとは違い赤く火照っていた。


 「お会いしてまだ間もないのに、そのように積極的にアプローチしてくださるのでしたら…不束者ですが、よろしくお願いします」

 「…ど、どういうこと?」


 予想外な言葉がプラシアから飛び出し、風人も動揺する。


 「ん?『隣に座れ』とおっしゃったのはミカゲさんではないですか」

 「それが?」


 お互いの頭にハテナマークが浮かぶのが見える程、お互いに混乱していた。


 「それがこっ、婚約のしきたりですよね?」


 さも当然のように言ってのける。


 「あーそうなんですかー婚や───ええっ!!婚約!?」


 風人が驚いて叫ぶとその叫びにシルバーで猫っぽい耳まで赤くした顔をこくっと動かし返事をする。地球ではまだ結婚できる年齢にも達していなかった風人はますます混乱していたがプラシアは話を進めた。


 「と、とりあえず!!この村にしばらくいらっしゃるご予定でしたらいくつかお尋ねしたいことがあります」

 「は、はい」

 「では、ミカゲさんがこの村にお越しくださったのは何故ですか?あまり人を疑いたくはないのですがこちらにも事情がありまして…」


 プラシアは切り替えが早く言葉にも重みが感じられた。


 「実は───」


 風人は特に隠すこともせずにここまでの経緯を語った。他人の家だというのに緊張感もなくぐっすり眠っているシエルを横目に。



  白いローブで全身を隠している女神、キミホは自らの管理する世界に送りこんだ人間、風人を監視しようとしていた。


 「何よコレ!?神器の癖に対象が建物の中だと監視しにくいって!!スマホか!?」


 他にも仕事があり常に風人を見ている訳にもいかず、しばらく時間を空けてからのことで、水晶のような神器を使って様子を見ようとしたら中々叶わなかった。


 「って、また周りに女性が増えてる!!しかも、結構な美人でネコミミ!?」


 やっと映ったと思うと全く望んでいない方向に話が進んでいた。


 「こうなったら…こうだ!!」


 キミホは怒りに身を任せてタブレットのようなものを操作して満足そうにしていた。


 「ふん、恋と戦は手段を選ばずなんだから。恨まないでよ?恨むなら女たらしの風人君を恨んでね」


 ローブの間から覗かせる口元はニヤリとしていた。



 「───と言う訳でして」


 事情を説明し終えると自分でもとんでもない言い訳だなと思ってしまう程、不思議な内容だった。しかし、


 「ま、まさか…」

 「まあ、こんな話信じる訳───」

 「女神様の転生勇者様なのですね!!ミカゲさんは!!」

 「信じたぁ!!」


 あっさりと説明が終わり思わず風人は叫んでしまう。それでもぐっすり眠っていたシエルは目を覚まさない。いつもの光景に呆れつつ安心してプラシアの方に視線を戻すと綺麗な土下座をしていた。


 「先程のご無礼をお許しください」

 「ああ、族長さんのことですか?いえいえ、お年でしょうし、仕方ないことかと──って土下座!!や、止めてください」

 「ミカゲさんはご存知ではないかと思いますが我々、獣人族は頭が弱く知性の低い者も多いのです。なぜなら獣人族は脳が年を取るに連れて退化──具体的には大きさが小さくなってしまう性質があるのです」

 

 プラシアは親指と人差し指で小さな輪を作った。日本で言うところのクルミ程であった。逆にプラシアの説明に風人が悩ませられることとなった。プラシアは悲しそうな顔をして、


 「お父様の年ですと…これくらいの木の実程の大きさがあるかないかぐらいと思われます」

 「だから、娘のことも…」

 「はい…」


 暗い話になり会話が途切れ、その場にいづらくなっていると、


 「ぷ、プラシア様!!盗賊が、盗賊が攻めて来ましぐほぁ…」


 突然部屋の扉が開き村人が入って来たと思うとすぐにその男も倒れ、後ろにいた男───獣人ではない人が気味悪い笑みを浮かべ赤く染まったサーベルを持っていた。それだけで風人は動けなくなってしまった。その内に風人は腹に蹴りを喰らいそのまま踞る。意識が遠退く前にプラシアの悲鳴が直接脳に刻み付けるかのように響いて。

プ「と言う訳で今回初めて名前が出たプラシアです。よろしくお願いします」

シ「あなたがどうしてここにー?今回の最後に大変なことになってたでしょー」

プ「それを言うならシエルさんこそ」

シ「えーそれ言っちゃうー」

次回 焼き加減とは!?

プ「言及されていなかったので伝えておかないと思いまして」

シ「だからってー次回とか後で言っておけば良いでしょー」

プ「…次回とかいつになるかも分かったものでもないでしょう?」

シ「新キャラなのにこの話の裏事情を理解してるー」

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