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当初の即興小説

未完です。

 明日の会議について一通りの仕切りを任されたにもかかわらず、映子は相も変わらず山下トモエのやること成すことに振り回されていた。


「映子ちゃん、会議はよろしくね」

 何度そう言われただろう。

「まあ、映子ちゃんのことだから私より上手くできると思うけど」

 そんなことないですよ、とすでに棒読みで映子は電話に向かって応える。


 トモエは今期、映子の参加するプロジェクトチームでリーダーを任されることになった。

 ひとえに部長の采配ではあったが、映子はじめ、まわりの連中も首をかしげた。


 今まで映子の一ヶ月先輩として働いていたトモエは、ややエキセントリックな言動が多かったとは言え、いつも口調は控えめで丁寧で、どこか高貴な家柄のひとり娘といった、鷹揚とした空気を醸し出していた。

 それでも、奇矯な言動がまれに表出することがあった。 



 以前、脚を引きずって会社に遅れてきたことがあった。まっ白な包帯でぐるぐる巻きにされた足首は、みるだに痛々しかった。

「どうしたんですか?」

 映子が驚いて訊ねると、トモエは苦笑いしながら

「ちょっとね……家を出る時玄関でひねって。急に犬が足もとに絡みついてね」

 最初は、それはたいへんでしたね、とねぎらっていたのだが、それから数ヶ月いっしょに働くうちに、何となくトモエの怪我が目だって多いような気がしてきた。

 体調不良もちょくちょく訴えるのも気になった。

 頭痛がひどい、持病のぜんそくが良くない、気分が悪い……

 それも、たいがいが外に原因のある不調のようだった。

 

 ある週末、たまたま一緒に帰ることになった時、珍しく食事に誘われた。

「何食べたい?」と訊ねられ、考えることもなく「パスタかなぁ」と映子は答え、それから映子の行きつけのイタリアンレストランに寄った。

 食事中はごく和やかだったし、トモエには

「映子ちゃん、ほんとうに頼りにしてるからね」

 と何度も言われ、ほろ酔いで気分よく帰宅したのだった。


 しかし翌朝、映子は早朝からトモエの電話で起こされた。


「何度も電話したんですけれども」

 敬語で話しかけてくる時は、たいがい相手を攻撃する時だ。映子は「はい」と小さな声で答え、時計をちらりと見上げる。まだ6時前だった。

「昨夜のレストラン、映子さんのお勧めの。あそこで食べたものが何か良くなかったみたい、夜なか中ずっと吐いてしまって」

「えっ」

 確か、同じメニューを頼んだはずだ。そう言ってみたが

「知りません、そんなこと覚えてないし」

 なぜか取りつく島のない言い方だった。よく、他人の伝票の間違いを指摘したり、自分が出したオーダーが正しく通っていなかった時にみせるような、彼女のきつい目つきが見える気がした。

「今日欠勤する、って所長に伝えてください」

 自分ですればいいのに、映子は心の中で突っ込んだが、吐き気の原因がまるで自分にあると言われているようで、それ以上言い争う気にもなれず

「おだいじに」

 と電話を切った。




 その日の電話もくどかった。


 たかが会議ひとつだもの、うまくできるよね? 

 私が前に手配したミーティングよりは、少しは楽かもね。

 それがあなたの作った資料なの? 私が前に渡したものはどう取り入れたんですか?


 また敬語になった。ここからダメ出しが始まるのだろう。


 それから延々と、電話は二時間近く続いた。

 ほとんどが、トモエの指示通りになっていない部分の容赦ない指摘と非難だった。


 トモエはオブザーバーとしてどうしても出席すると言ってきかなかったが、もう映子には止める元気もなかった。



 当日早朝に、また映子のもとに電話があった。


「昨日の帰り、駅の階段から落ちて頭を打ってしまって」

「えっ?」


ここまでは即興小説で出したものでした。後からいろいろと考え直し、最初から書き直すことにしました。

実話をもとにしておりますので、できるだけ現実に傷が残らぬよう配慮しつつ、奥歯にもろもろ挟まったまま構成を考え直している最中です。


ここまでは即興小説に載せた分で、次話からは、冒頭から載せます。何かと書き直して少し続けて完結予定です。すみませんがご了承ください。

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