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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

シラクーザ王国編

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96.最高の想い出

(具体的にはどうするのだ?)

「本人が一番望んでる形にしてやる」

(ふむ、では我を持たせるのだな)

 ふざけた事をいうエレノアに即デコピンした。

「バカいえ、あれはどう聞いても仕方ないからやるって話だろ。そんなのに付き合ってどうする」

(望んでる形に変わりはあるまい)

「とにかくそれはなしだ」

(ならどうする)

「……」

 こういう時は――彼女に相談だな。

 おれはコテージの寝室から直接ワープで自分の屋敷にとんだ。

 寝室に飛んだ後、歩いてリビングに向かう。

 リビングでオルティアがミウの給仕を受けて茶をすすってる。

「お帰りなさいご主人様」

「どうしたの? いきなり戻ってきて」

 しわがれた老婆の声だったから、無言で手をつかんで精気を送った。

 しわしわの手がみるみる張りと艶を取り戻して、オルティアを絶世の美女に戻す。

「教えて欲しい事がある」

「おっしゃいなさいな」

 一瞬で先生口調になるオルティア。ちなみにミウは気を利かせて外にでた。

 回りくどい事はしない、おれは現状の全てと、フィオナとマリの会話を丸ごと伝えた。

「どうすればいい」

「本人に直接聞くという選択肢は? あるいは妹の方から聞き出すのは」

「サプライズありとなし、どっちの方が想い出になる?」

 聞くのは問題ない、そこにこだわりはない。

 今回はいい想い出を作ってやる、と言うのが目的だ。

「それならサプライズ込みね」

「だったら本人には聞かない」

 オルティアは静かにうなずき、真顔で続けた。

「フィオナ、食堂プロス亭の看板娘。ついこの間まで自分の出自も知らなかった一般人」

「そうだ」

「一般の女の子であるのなら、おおよそに三つ」

「一つ目は?」

「テクニックある男がリードする」

「普通過ぎる。そんなのでいいのなら聞きに来てない。二つ目は?」

「誕生日とか、記念日に合わせてしてあげる」

「タイミングが合わない。いつになるのかわからない。すぐにできる方法がいい、出来れば今晩。最後のは?」

「結婚式」

「結婚式?」

「結婚するまでに守ってきた純潔を初夜に一番大事な男に捧げる、というのは大半の子が憧れるもの。普通の女の子ならなおさら」

「そういうものなのか?」

 念の為に確認した。

「普通は。王侯貴族であれば結婚は手段になるけど、一般の女の子ならばそれは憧れでしかない」

「わかった。ありがとう」

 オルティアに別れを告げて、次の目的地にワープで移動した。

     ☆

「結婚式?」

 デルフィナの商館。おれの話を聞いた彼女が目を丸くした。

「そうだ。もしやるとしたら準備にどれくらいかかる。今夜に間に合うか」

「式自体は半日もあれば用意できますわ。カケル様、結婚をなさいますの?」

「違う、式だけだ」

 フィオナの事と、オルティアのアドバイスをまとめてデルフィナに話した。

「そういうことですのね」

「結婚式って憧れるものなのか?」

 こっちにも念の為に聞いた。

「わたくしはまったく」

 デルフィナは「は」にアクセントをつけた。

 それが聞ければ十分だ。

「準備は全部頼む」

「念の為、本当によろしいのですか?」

「うん?」

「カケル様が結婚するとなると、黙っていない方々もいると思われますが」

「希望者がいたら全員してやる」

 ワープの羽根を手に取った。

「してもしなくても、おれの女はずっとおれの女だ」

 穏やかに微笑むデルフィナをおいて、おれは再びワープした。

     ☆

「あっ! カケルさんどこに行ってたんですか?」

 魔法コテージの寝室に戻ってきた。

 おれを見つけたフィオナがほっとした顔で前にやってきた。

「ちょっと野暮用でな」

「そうだったんですか」

 頷くフィオナ、おれがいなくなったことは大して気にしてない様子。

 なぜなら。

(我をじっとみつめてるな。ククク、獲物を狙う肉食獣のようだ)

 エレノアが楽しげに言った。

 そう、フィオナはエレノアの事をじっと見つめてる。

 これ以上ないくらい決意した顔で。

(これほどの熱視線を浴びたのは何百年ぶりだろうか。こうまでされると身をゆだねたくなる)

 からかい混じりにエレノアがいう。

 やらせないからな。

「フィオナ」

「はい!」

 呼ばれたフィオナははっとして顔を上げて、おれをみる。

「今夜時間あるか?」

「今夜ですか……ありますけど……」

「その時間をおれにくれ」

「いいですけど、何をするんですかカケルさん」

「結婚式だ」

「え?」

「結婚式をしよう」

「……え」

 あっけにとられるフィオナ。

 エレノアはおれの頭の中で大爆笑したのだった。

     ☆

「いきなり過ぎるよカケルさん」

 新郎控え室の中、イオがおれに言ってきた。

 彼女はいつもの魔法使いの姿じゃなくてドレス姿だ。

 結婚式の招待客役、ってことでデルフィナに用意してもらったドレスだ。

 髪型もきっちりセットしてあって、普段の雰囲気とちがって結構大人びてる。

 ちなみにおれは白いタキシード姿で、腰にはもちろんエレノアがある。

「そうか?」

「そうですよ。急に結婚式をするなんて普通ないよ」

「ちなみにイオは結婚式には憧れるか?」

「そりゃ……憧れるけど」

「お前もやるか?」

「うーん」

 イオは少し考えて、首を振った。

「わたしはいいかな」

「憧れてるんじゃないのか?」

「そりゃ憧れるけど、でもカケルさんとそういうのをするのはちょっと違う気がするんだ。ほら、わたしはカケルさんのパーティーに入りたくて来たじゃない。カケルさんと結婚したいかって聞かれると……ちょっと違う気がするの」

「そうか」

「あっ、でもずっとカケルさんと一緒に冒険はしたいかな」

「ずっとか」

「うん、ずっと! だからカケルさん、どこかに行く時は絶対わたしをつれてってね」

「わかった」

 応じると、イオは満面の笑顔で頷いた。

 イオは控え室から立ち去った、代わりにマリが入ってきた。

 マリもドレス姿だ。ちょっと前までの子供っぽさが抜け、色気を放つようになった。

「カケルさん」

 だがどこか浮かない顔だ。

「どうした」

「あの……お姉ちゃんがすごく……えっと、困ってる、じゃなくて、迷ってる……でもなくて」

 歯切れが悪いマリ。

(とても複雑な心境のようだな)

「フィオナはどうしたんだ?」

「その……どうしていきなり結婚式をするんですか?」

「そうだな」

 おれは少し考えて、答えた。

「今朝、マリとフィオナの会話を聞いた」

「え?」

「マリがフィオナに昨日の事を話して、フィオナがエレノアをこっそり手にするってのをきいた」

「あっ……」

 マリは赤面した、二重の意味で。

「確かにエレノアを手にすればおれが助ける、助けたあとそれをダシにできる」

 デルフィナのケースもあるが、それは言わないでおいた。

「悪いがそれはなしだ。おれに抱かれるのにそんな苦痛を味わう必要はない」

「でも!」

 大声を出したマリ。

 だがそれは一瞬で、すぐにしぼんだ。

「それじゃあお姉ちゃんに理由がない、カケルさんにしてもらう理由が」

 そして、意気消沈した。

 まるで、我が事のように。

(自分と重ねてるのだな)

 ……。

「マリ」

「なに?」

「理由なんかいらない」

「え?」

「おれの女になるのに理由なんかいらない。おれが気に入って、そうしたいって思った相手だけが条件だ」

「でも、それじゃわたしは――」

「もう一度言う」

 マリの言葉を遮る。

「おれが気に入って、そうしたいって思った相手だけが条件だ」

「あっ……」

 言葉を失う、赤面してうつむく。

 おれの言葉が理解したようだ。

「わたし、でも?」

「ずっとしたいとおもってた。こいつに怯えるといけないと思って待ってたがな」

 おどけて言って、エレノアにデコピンした。

「本当に、わたしでも……?」

 それでもまだ不安そうな顔をする。

「おれはしたいことしかしない」

 そういって、マリにキスをする。

「お前たち姉妹二人とも女王にして、二人ともおれの女にする。したいことしかしない」

 同じ言葉をくり返した。

「おれの女になるからにはいい思いをしてもらわにゃならん。マリは昨日してやった。フィオナは今日、結婚式をやって、一生忘れられない想い出にしてやる」

「そう、なんだ」

「だが、そうだな。それは説明不足だった。フィオナが不安がるのも無理はない。今から説明してくるとしよう」

 立ち上がって、ドアに向かうおれ。

「あっ」

 マリが声を漏らす。どうしたのかと思いつつもドアを開ける。

 そこにフィオナがいた。

 ウェイディングドレス姿の、美しいフィオナがいた。

「フィオナ!? どういう事だ、気配しなかったぞ」

「ごめんなさい! デルフィナさんがこれをくれて……その、気配と音を完全に消す道具らしいです」

「あいつめ……」

(くくく、盗み聞きをやられ返したな)

 楽しげなエレノア。

「ごめんなさい! あの――」

「いい」

 フィオナの唇を指で押さえて、言葉を止めた。

「聞いてたのなら話は早い――」

 おれは言いかけ、思いとどまった。

 説明不足――言葉足らずを改めようと思ったばかりだ。

 改めてフィオナをまっすぐ見つめて、言った。

「お前が欲しい。最高の想い出を持たせたい。結婚式、やってくれるか」

「――はい」

 フィオナは満面の笑顔で……うれし涙混じりの笑顔で頷いたのだった。

     ☆

 半日で準備した結婚式はそうとは思えないすばらしい物だった。

 素晴しい教会、ナナをはじめとする参加客。

 ソロン教の聖女であるメリッサの牧師役。

 ひかりとチビドラゴンの花束贈呈。

 その他、もろもろ。

 式は最高のものになった。

 フィオナは何度か泣き崩れそうになったが、うれし涙なので好きにさせた。

 式が終わったのと同時に、今までに見たことのない金色のくじ引き券が出たが。

 それには構わず、フィオナをつれて、宣言通り彼女に最高の想い出になる初夜をプレゼントしたのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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