挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

シラクーザ王国編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

96/288

95.姉の覚悟

 朝、マリはふらふらとベッドから起き上がった。

 おれがしてやった腕枕から起き上がって、散らかってる服を拾い集めて、身につける。

「――っ!」

 着てく最中に声を漏らした。

 引きつった、痛みを訴えるような声。

 おれをちらっと見た。振り向き気配がしたから目を閉じた。

「起こしてませんよね……よかった」

 起きてるな、とあえて言うほど無粋ではない。

 マリが何かしたがってるのは気配で感じた。

 何がしたいのかわからないが好きな様にさせようと思う。

 マリは歩き出して、部屋からでていった。

 そのまま耳を澄ませて、マリの気配を探る。

『カケルさんが起きてくるまでに……朝ご飯を作らないと』

 そんな事をつぶやいた後、キッチンの物音がし始めた。

 包丁の音、食器の音、食材に手を加えていく音。

 マリはつぶやいたとおり料理を作ってるみたいだ。

 おれは体をおこして、ベッドの上であぐらをくんだ。

 マリがしてることを音で拾って、それを見守った。

 しばらくして、いい香りが部屋の中にも届いてきた。

 温かいなにか、スープ系の香りだ。

 楽しみになってきた。

 そこにエレノアが話しかけてきた。

(いじらしい娘だな)

「そうだな」

(いつになく貴様もやさしかったしな)

「昨日の事か。まあそうだな」

(もっとガンガン行くのかと思ったぞ。今までの女のように。何故そうしなかったのだ?)

「そういう気分だったんだ。優しくしてやろうってな」

(優しい事だ)

「お前も優しくしてほしいのか?」

(貴様にか?)

「そうだ」

(虫酸が走るな)

 エレノアは楽しげな声で言った。

「優しくされるのはいやなのか?」

(今更してみろ。まず貴様の正気を疑ってやる)

「ひどいな」

(今までやってきた事を思い起こすがいい。自業自得だ)

「ふっ」

 そうかもしれないな。

 まあ、だからと言ってエレノアの扱い、接し方を変えるつもりはないがな。

 こいつは魔剣、世界で唯一おれの全力を受け止められる魔剣。

 こんなこいつに、いわゆる優しさは必要ない。

(望んでもいないからな)

「だから人の心を読むな」

 適当な雑談をしてるうちに、部屋の外から別の声が聞こえた。

『おはよう。あらマリ、どうしたのそれ』

『おはようお姉ちゃん。カケルさんに朝ご飯を作ってるの』

『朝ご飯……あっ』

 フィオナが息を飲んだ。

『そっか。カケルさんにしてもらったんだ』

「うん?」

 フィオナの言葉に引っかかった。

 マリは何を作ったんだ? フィオナが一目でそれを悟るなんて。

『しっ、お姉ちゃん声が大きい』

『あっ、ごめんごめん』

 叱責する妹、謝る姉。

 二人は声を抑えた――まあ777倍の聴力で丸聞こえのままだが。

『でも、おめでとうマリ』

『ありがとうお姉ちゃん。お姉ちゃんはまだなの?』

『わたしは……うん』

『どうして? カケルさんの事きらい?』

『そうじゃないけど、カケルさんの事は好きだけど……』

 口籠もるフィオナ。

 だけど、なんなんだ?

 しばらくの沈黙をへて先を話す。

『わたしじゃカケルさんにふさわしくないし、理由がないから』

『そんなのわたしも一緒だよ。カケルさんみたいな英雄、本当なら話しかけるのも難しいくらいの人なんだし』

『それでもマリは命を助けてもらったから、お返しに、って理由があるじゃないの。わたし、そう言うのもないからなあ』

 なんだ、それで遠慮してたのか。

『……ねえお姉ちゃん、わたしにいい考えがある』

『いい考え?』

 マリは更に声を押し殺した。

 もはや耳元でささやく、くらいの小声だ。

『魔剣を持てばいいと思うよ』

『魔剣? エレノアさんの事?』

『うん、そうしたらカケルさんに助けてもらえるじゃない?』

 いやいや、それはないだろ。

『その手が――!』

 大声が出た。普通の聴力でも聞こえるくらいの大声だ。

 慌てて声を殺すフィオナ。

『その手があったか。やるじゃんマリ』

『でも、お姉ちゃん。一つだけ言うけど。それすっごく苦しいからね』

『どれくらい苦しいの?』

『えっと……首を絞められたままお腹を殴られて、関節が全部逆方向に曲がりそうな状況で火に焼かれてるような感じ』

 だいぶつらいなそれ!

(まあその程度だろ)

 平然と言い放つエレノアにデコピンした。

『そっか……うん、あのときのマリつらそうだったもんね』

『うん』

『わかった。じゃあ今夜、それをやってみる。スキを盗んでエレノアさんに触ってみる』

『うん、頑張ってお姉ちゃん』

 姉妹が励まし合って、料理を作る音がし始めた。

 なんというか……なんというかだな。

(そこまでしても貴様のものになりたいのか。いじらしいな)

「そうだな」

 フィオナの気持ち、悪い気はしなかったが。

 そういう悲壮な決意をされると、全力で逆のことをしたくなる。

 全力で、いい想い出になる初体験にしてやりたいと思ったのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ