挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

シラクーザ王国編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

95/288

94.念願かなって……

「三国って?」

「メルクーリ、カランバ、コモトリア」

 数え上げるようにいうオルティア。

「あなたの女になってる国よ」

 その言い方はおかしい――が、話はわかる。

 メルクーリは王女のヘレネー、カランバは女王のリカ、コモトリアも王女のアウラ。

 各国の首脳におれの女がいる、オルティアはそいつらを使えって言うのだ。

「そこから兵を借りればよろしい」

「他国が介入するのは良くない事なんじゃないのか?」

「普通は。戦後処理が大変な事になるからよ。勝った後兵を貸した者が相応の見返りを求めてるのが普通だから」

 だよな。

「だからあなたが兵を借りればいい。シラクーザ王国軍でも落とし胤の二人でもない。あなたが借りればよろしい。そうなれば見返りの請求はあなたに行く」

「おれに?」

「ヘレネー王女、リカ女王、アウラ王女。彼女達はあなたに何を求めるのかしらね」

 オルティアは薄く笑った。

 ちょっとだけ意地悪な微笑みだ。

 なるほど、シラクーザじゃなくておれか。

 三人の事を考えた。

 ヘレネーは下手したら見返りなんていらないって言うだろう。

 リカは彼女がおれのために作ったハーレムに何日か滞在してくれって頼んでくるだろう。

 アウラは遠慮するけど実はほしがるからおれから押しつけないといけないだろう。

 どっちにしても、おれが可愛がってやれば済むと言う話だ。

 おれの女を、おれが可愛がる。

「……なんだ、ものすごく簡単な話じゃないか」

「ようやくわかったのね」

「ああ。難しく考えすぎた」

「いいえ、その考え方は間違っていない、そして処置も。政治的に考えれば先手を打って三カ国にせめて中立を約束させるのは間違ってない。それができた時点で外交的にはほぼ満点――普通の人ならね」

「そうだな」

 おれは笑った。

「じゃあ、普通じゃないことをはじめようか」

 今までも充分に普通じゃなかった、というエレノアの無粋な突っ込みはデコピンで黙殺した。

     ☆

 レイウース近郊、草原と隣接してる湖のほとり。

 そこに魔法コテージをだした。

 外見は相変わらずこじんまりしたコテージだけど、あれから地道に無料くじ引きを引いてきたから、内装はかなりのものになってる。

 玄関に続くところをリビングにして、部屋四つ取り付けて、うち三つが寝室で、一つはキッチンにした。

 今や魔法コテージは3LDKの立派な家になってる。

 そのリビングで、デルフィナと向かってソファーに座る。

「チグリスが落ちました」

「まあ落ちるだろうな」

 おれがいったん手を引いたし。

「そこで蛮族軍が躍起になってらっしゃいますわ。目撃情報で王女の二人が最後に目撃されたのはあそこで、あそこから脱出した者もいない。ですからきっとチグリスのどこかにいる――」

「で、くまなく捜査してるってわけか」

 無言で頷くデルフィナ。

「わたくしのところにも依頼がきていますわ。王女の消息、その情報を求めて」

「情報屋もやってるのかお前」

「副業ですわ。儲けになることなら」

「で、売ったのか?」

「ええ、売りましたとも。王女たち――フィオナとマリが住んでいた屋敷、泊まった部屋、最後に目撃された場所、滞在中に取り替えた下着の枚数――」

 数え上げる様に言って、ニヤリとわらった。

「儲けになりそうな情報は全て、売らせていただきましたわ」

「抜け目がないなお前。ここにいることは売ってないんだろうな」

 そう、フィオナとマリはここにいる。

 三カ国の兵が集まるまで、彼女達を待避させた。

 シラクーザの領土内にいると危険だから、連れ出してメルクーリの領土に、更におれの屋敷でもないこの湖の畔に連れてきた。

 ワープで連れてきたから、何も手がかりは残ってない。

 おれの目の前にいるデルフィナが知ってる以外は。

「それを売るなどとんでもない」

 デルフィナは口元を押さえて、クスクスと笑った。

 意地悪な笑みだ、こういう笑顔をする時の彼女は綺麗だ。

「多少のもうけにはなりますが、損が大きすぎますわ。あなたを敵に回すのは、ね」

「それはどっちとしてだ?」

 商人としてか、それとも女としてか。

「どっちなのでしょうね」

 婉然と微笑んで、はぐらかすデルフィナ。

 おれの女の中で、デルフィナはちょっと他とは違うポジションだ。

 おれは彼女を「おれの女」ってカウントしてる。

 が、実際はまだそうじゃない、少なくとも形の上はそうなってない。

 デルフィナ・ホメーロス・ラマンリ。

 国に匹敵する富を持つこの女は、自分を財産ごと買い上げる男の元に嫁ぎたいと言ってる。

 おれはまだ彼女を買えてない、形の上では「試用期間」か「貸し出し」だ。

 まあ、そんなの言葉遊びに過ぎないんだけど。

 デルフィナはおれの女だ。

「商売の話はわからん」

 おれはわざとらしく肩をすくめて、手のひらを上にした。

「お前が思うように儲けるといい」

「ええ、儲けさせていただきますわ。実をいいますと」

 またニヤリと笑った。

「すでに皆さんのところにものを売りつけてきたあとなのです。

「皆さん?」

「女王陛下に両殿下、お三方に装備や消耗品などを。ヘレネー殿下は政治的な意味で、残ったお二方は個人的な理由で求めてらっしゃいました」

「へえ」

「理由はご本人様にお聞き下さいな」

「そうする」

 ヘレネーのも、リカのもアウラのも何となく察しがつく。

 つくが、後でちゃんと聞こう。

     ☆

 デルフィナを送り返したあと、おれは自分の部屋にいた。

 三つあるうちの、おれがいつも使ってる部屋だ。

 夜の魔法コテージの中は静まりかえってて、屋敷とは違う趣がある。

 ベッドの上に倒れて、ワープの羽をまじまじと見つめた。

 くじ引きで引き当てた魔法アイテム。これがある限りつかまる事はまずない。

(見つかったとしてもさしたる問題はないがな)

「人の心を読むなよ」

(何となく流れてくるのだ、仕方がなかろう)

「反応しなきゃいいだろうが。そういう時は空気は――ああいや、なんでもない」

(なんだその納得は、腹立つな)

「だってお前、空気なんか読めないだろ?」

(空気くらい読めるわ馬鹿にするな)

「お前が読めるのは『気』の方だろ? 霊気とか妖気とかそういうの」

(むかっ)

 エレノアとどうでもいい世間話をする。

 こうして彼女をいじるのはそれなりに楽しい。

(むっ?)

 どうした。

(ドアの向こうに小娘がいるぞ)

 エレノアがそう言ってきた。

 ドアの向こう?

 おれも集中して探った。

 確かにいる。聞き慣れた息づかいだ。

 この息づかいは――マリか?

(迷っているようだな)

 そうみたいだな。

 少し待ったが、マリの気配は消えない。

 エレノアが言ったように「迷ってる」気配のままずっとドアの向こうにいた。

(らちがあかないな)

「そうだな」

 頷き、ベッドから立ち上がる。ドアの方に向かっていって、おもむろに開けた。

「きゃあ」

 そこにマリがいた。

 夜のリビング、暗い中パジャマ姿で佇むマリの姿が。

「か、カケルさん……」

「どうした。眠れないのか?」

「いえ……ううん、そうかも、しれません」

「……?」

 どういう事だ?

「立ち話もなんだから――」

 おれはリビングのソファーをちらっと見た。

 そこで話そうか、と思ったら。

「あの! 中に入っても……いいですか?」

 最初は大声出してきた、だけど勢いが急激にしぼんで、最後は尻すぼみに消えていった。

 うつむいて、顔を赤く染め上げる。

 これって。

そういうこと(、、、、、、)だな)

 ああ、そういうことみたいだ。

 夜這い――って言い方があってるのかどうかわからんが、そういう事なんだろう。

 おれに抱かれに来たんだ。

 流石にわかる、そこまで鈍くない。

 それはいい、そういうのはやぶさかじゃない。

 一度決めてしまったことが足かせになってる。

 フィオナとマリ、二人を女王にしてやるという約束。

 俺の中じゃ、それをやりきった後に、って事になってる。

 だから今も、どうやってこの場をやり過ごそうかと考えた。

 ――が。

「わたしじゃ……ダメですか」

 マリがそう言ってきた。

 上目遣いで、今にも泣き出しそうな表情だ。

 拒まれると思って、それに絶望しそうな顔。

「……いいや」

 首を横に振った。

 おれは反省した。

 女に……マリにこんな顔をさせたことに。

(男失格だな)

「……」

 言い返せなかった、珍しくエレノアの言うとおりだと思った。

 マリの方を引き寄せて、唇にキスをした。

「あっ……」

 顔が赤くなった、口を両手で押さえて、涙があふれた。

 こっちはきらいじゃない、うれし涙はきらいじゃない。

 膝の裏に手を回して、マリの小さな体を抱き上げる。

 ドアを閉めて、ベッドの上に優しくよこたわせた。

 もう一回キスした。

「やっと……」

「うん?」

「やっと、カケルさんのものになれます」

「そうか」

「ずっと……夢見てました」

 そんなにか。

 ますます悪いって思った。

 だから、おれは。

「優しくする」

「はい……」

 マリは目を閉じた。

 俺は宣言通り、今までで一番優しくしてマリをだいた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ