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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

シラクーザ王国編

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92.鎧袖一触

 野営陣地の一角、南側にあるそこは混乱を極めていた。

 兵の一人が戻ってきて、隊長の男に報告した。

「隊長!」

「どうだ!」

「敵兵がすぐそこまで押し寄せてます」

「馬鹿な! おれ達の前にいるコスマス隊はどうした!」

「コスマス隊はほぼ全滅です! 敵はすぐそこまで迫ってます!」

「司令部からの指示は!」

「ありません! 指示を聞きに行ったヤツも戻ってきません!
「馬鹿な……」

「おいどうするんだよ!」

 別の男が隊長に食いついた。

「聞いてないぞこんなの、勝てる戦だって言うからついてきたんだぞおれは」

「そうだそうだ。どうしてくれるんだ」

 兵士が持ち帰ってきた報告で混乱が加速した。

 ため息が出そうになる。

 それをこらえて、隊長に男に近づく。

「おい」

「なんだ! お、お前は――」

 隊長はおれをみてはっとした。

 おれの顔を知ってるんだろう。

「迎え撃つ、おれに続け」

「だが、既に囲まれて――」

 最後まで言わさず、エレノアとひかりを構えた。

 いつものように漆黒のオーラを纏う。

 コントロールできるようになってから形を少しずつ変えてきた。

 今のオーラは鎧か、さもなくばマントに見えるだろう。

 兵達がざわつく。無視して歩き出す。

「おれが正面に立つ、ついてこい」

「わ、わかった」

 隊長の男が頷き、兵をまとめてついてきた。

 向こうから敵兵がやってきた。

 勢いに乗った、士気が上がってる連中だ。

「行くぞ」

(うむ)

(うん!)

 エレノアとひかり、母娘が応じた。

 武器の槍を砕き、鎧ごと体を両断する。

 敵兵を次々と斬っていく、おれのまわりに血しぶきが舞い踊る。

「うおおおお! 魔剣使いに続けえええええ」

 それまで葬式ムードだった味方の士気が上がった。

 襲ってきた部隊は100人ちょっと。それをあっという間に蹴散らした。

「助かった、感謝する」

 隊長がいう、見るからに気が大きくなってる。

「ここは任せる」

「あんたは?」

「次のところに行ってくる」

 返事を待つことなく、ワープの羽根で西側に飛んだ。

 そこは戦闘の真っ最中だった。

 敵兵に押し込まれて、大半の兵が既に斃れている。

「うおおおおお!」

 敵兵が槍で突いてきた。

 槍をはじき、首をはねた。

 それでまわりの兵がわらわら集まってきた。

 向かってきた兵を斬る。

 斬って斬って斬り続けた。

「な、なんだこいつは」

「化け物か」

 敵兵に動揺が走る。

 そこに味方の兵が襲いかかる。

 押されていたが、おれが敵を引き受けているうちに体勢を立て直して、戦線に復帰した。

 それの指揮をとる隊長らしき男を見つけた。

「ここは任せる。おれは次に行く」

「わか――」

 返事を待つことなく、今度は北側に飛んだ。

 そして東側にも飛んだ。

 どこも同じで、夜襲にあってぼろぼろになってた。

 そこでおれが無双して、戦線を立て直す。

 それを繰り返して、一周して南側にもどった。

「なっ」

 言葉を失った。

 さっき助けた連中が捕虜になっていた。

 敵兵に囲まれて、必死に命乞いをしてる。

(無様だな)

「た、助けてくれ」

 隊長の男がおれを見つけて、必死に叫んだ。

 敵兵もおれを見つけた。わらわらと向かってくる。

 魔剣たちを握り直した。

(やるのか)

「ああ」

 敵兵を斬っていく。

 優勢にして後は任せたが、いっその事全滅させた方がいいと思い始めた。

 それで斬っていくと。

「みんな下がれ」

 男の叫び声がして、敵兵の動きがそれで止った。

 おれを遠巻きにして徐々に離れていく。

 その敵兵を割って、一人の男が前に出てきた。

 背中に大剣を背負った、雰囲気が雑魚と違う男だ。

「お前の名前は?」

「結城カケル」

「やっぱりそうか」

 おれの事を知ってるヤツか。

「魔剣使い――フッ」

 鼻で笑った。

「おれはミルトス。この戦いに魔剣使いがいると聞いてな、一度会いたいって思ってたのだ」

「会いたい? おれにか」

「そうだ」

 ミルトスは頷き、背中の大剣を抜き、両手で構えた。

 構えた瞬間、キーン、って耳鳴りがした。

 おれだけが聞こえたんじゃない、まわりの兵士――敵味方関係なく耳を押さえた。

「どっちが魔剣使いとして上なのか、はっきりさせるためにな」

「魔剣使いだと?」

(ふむ、テレミアか)

「知ってるのか」

 エレノアに聞く。

(まあな)

「いくぞ、はああああ!」

 ミルトスが突進して、大剣を振り下ろしてきた。

 エレノアで受け止めた。

 また耳鳴りがした。

 眉をひそめた。ミルトスがギアを上げて大剣で斬り続けてきた。

「ふはははは、どうしたどうした!」

「……」

「その程度か魔剣使い!」

 テンションが高まるミルトス。

「うざい」

 横一文字に薙いできた大剣をエレノアで両断し、ひかりでミルトスをきった。

 ザシュッ!
 ミルトスは後ずさった。

「な、なんだと……」

「魔剣にしてはたいしたことなかったな」

(あれが魔剣? 笑わせるな。テレミアなどせいせいが魔法剣レベルの代物だ。我の足元に及びもつかん)

「なるほど」

 エレノアのそれは本気で見下しているニュアンスだ。

「うおおおお!」

 ミルトスが雄叫びを上げた。

 再び構えたテレミアからオーラが立ちこめ、それが刀身になった。

「再生するのか」

(そういうものだ)

「残念だったな魔剣使い、このテレミアをいくら砕こうと無駄だ!」

「そうか」

「うおおおお!」

 テレミアで再突進してくるミルトス。

 耳鳴りを引き起こす斬撃をまたエレノアで受けとめ、同じようにひかりで斬りつける。

「むだだ、いくら折られようとこのテレミアは――」

「だったらまとめて斬るだけ」

 静かに宣言して、剣を使い手ごと真っ二つにする。

 敵兵が動揺し、次々と逃げ出した。

「これで今度こそ大丈夫か」

(ダメだったらもう一周したときになんとかすればよかろう)

「そうだな」

 頷き、ワープする。

 一周目と同じように、南から東へ、北を通って最後は西へ。

 あっちこっちでまた劣勢になってたが、救援に入ってそれを覆した。

 戦いながらエレノアがぼやいた。

(まったく、これほど烏合の衆だったとはな。貴様がいなかったらとうに壊滅していたぞ)

「そうだな」

(ここまでひどいと何もかも投げ出したくなる。いっそのこと敵の手を借りて一度全滅してもらった方がいいかもしれん)

「それもどうなんだろうな」

 実は言うとエレノアの言葉はすごく魅力的で、それに従いたくなる。

 何とかしたが、それくらいひどい戦いだった。

 やがてドラがなる。

 敵側がならす撤退の合図だ。

 敵兵が潮を引いたように引き上げていく。

 おれはエレノアとひかりを下ろした。

(おとーさん、追いかけないの?)

「ああ」

(中途半端にやめるのだな。今追撃すれば鎧袖一触だというに)

「追いかけないといったが、追撃しないとは言ってないぞ」

(うむ? どういう事だ?)

「こういうことだ――イオに雷の魔力を貸し出し」

『イオ・アコスに雷の魔力を貸し出します。残り29秒』

 くじ引きで引き当てた能力をつかった。

 おれの力を指定する相手に貸し出す能力。

 それをスタンバってるイオに使った。

 これが合図。

 直後、逃げていった敵兵の集団に百の雷が空から落とされた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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