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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

くじ引きの異世界編

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8.もふもふ

「出しておいてこんなことを言うのもなんですが」

 サラマスが言う。

「本当によろしいのですか。その――」
「いい! この子がいい!」

 おれははっきり言い放った。

「いくらだ? 必要手続きは?? いつからうちに来てくれるんだ???」
「はあ、いえ、ユウキ様がこれで良いとおっしゃるのであればそれで」

 サラマスは咳払いして、表情を作り直した。

「この瞬間より、ユウキ様の持ち物となります。どうぞお連れ帰り下さい。委細、こちらで処理いたします。請求書は後日お届けしますので、支払いは都合のいいときに」
「そうか! ありがとう!」

 おれは大喜びで、彼女を連れて帰った。
 後になって知ったことだけど、この時のサラマスはかなりおれに便宜を図ってくれていた。
 恩を売ろうとしたんだ。姫と繋がってるおれに。
 だけど、この時のおれはすっかり舞い上がって、それに気づくことはなかった。

     ☆

 自宅に戻って、リビングに入るおれと獣人の女の子。
 改めて彼女を見る。
 まず可愛い、ものすごく可愛い。アイドルをやってたら共演者を次から次へと公開処刑してしまうくらい可愛い。
 かわいいのはもちろんだけど、何よりその頭と尻についてるものがイイ(、、)

 耳と、しっぽ。
 ふかふかの耳としっぽ。
 もふもふしたい、もふもふもふもふしたい。
 もふもふもふもふもふも――。

「あ、あの……」
「はっ! 雪の日の空き地に飛んでた!」

 女の子に声を駆けられて、おれはぎりぎりの所で戻ってきた。
 改めて、彼女を見る。
 女の子はちょっと怯えた感じでおれを見ている。
 これはヤバイ、もしかしたら怖がらせてしまったかも知れない。
 微笑みを作って、彼女に言う。

「まずは自己紹介からしよう。おれは結城カケル、お前は」
「ミウ・ミ・ミューっていいます」
「ミウか、うん、いい名前だ。おれはミウって呼ぶ、お前はご主人様って呼べ」
「わ、わかりました」

 おずおず頷くミウ。

「それでご主人様。わたしは何をすればいいんですか」
「うん? 何をすればってのは?」
「お仕事……」

 やっぱりちょっと怯えた感じで、おれの機嫌を伺うように聞いてきた。

「うん、そうだな……」

 おれは考えた。
 メイドさんにやってもらいたいことは色々ある、昔から夢だったことが、いくつ。
 耳かきとかマッサージとかおいしくなーれ☆とか。
 色々ある、色々あったけど――それがまとめて吹っ飛んだ。

「もふもふだ」
「も、もふもふですか!?」
「そう、もふもふだ」

 おれが言った。拳を握って力説した。
 ミウは耳を押さえた――獣耳を伏せて、その上に手を添える様にして。
 か・わ・い・い!

 かわいい、かわいすぎる、なんてかわいい生き物なんだ。
 もふもふしたい! めちゃくちゃもふもふしたい!

「よし、ベッド行こう!」
「え――ひゃあ!」

 おれはミウの手を引いて歩き出した。ちょっと強引に、連れ回す様にして。
 目指すはもちろん寝室、あのおっきなベッドがある部屋だ。

「ご、ご主人様、ちょっと待ってください」
「うん?」
「どうしてベッドなんですか。も、もふもふならさっきの部屋でも」
「何を言う」

 おれは大声でいった。

「もふもふの後ついでに添い寝するに決まってるだろ」
「そ、添い寝ですか?」
「そうだ、添い寝。もふもふで添い寝。基本で、奥義で、最強だ!」
「そんなの聞いたことないです……」

 そうこうしているうちに寝室についた。
 ミウの手を引いたまま、一緒にベッドにダイブする。

「もふもふー」
「くぅーん」

 ベッドの上でおれにもふもふされたミウは悩ましげな声を出した。
 そんな事は構わず、徹底的にもふもふした。

     ☆

 目が覚めると夕方になっていた。
 大きな窓から射しこまれる夕日がまぶしくて、手でひさしを作った。
 それでまぶしくなくなると、ミウの姿が見えた。
 ほとんど大の字になって寝てるおれのそばで、ミウが小さく丸まって寝てる。
 人間の体ってこんなに小さくなれるんだ! ってくらい小さく丸まって寝てる。

「猫鍋……」

 もちろんそうじゃないけど、何となくそれを連想した。
 それくらいかわいかったからだ。

「むにゃ……」

 寝言が聞こえて、しっぽがぱさっ、とシーツの上で揺れた。
 かわいくて、耳をツンツンしてやった。
 ちょっと身をよじらせて、ますます体を丸めて。
 もふもふの後、ツンツンして楽しんだ。

     ☆

 夜の食堂。

「うん! 美味い!」

 おれはミウが作った料理を食べていた。
 ちなみミウはメイド服に着替えている。
 この家にあったものじゃなくて、彼女が持参してきたメイド服。しっぽ穴を通した専用のメイド服だ。
 そのメイド姿で作った料理はすごく美味しかった。

「本当ですか?」
「ああ、すごく美味いぞ」
「よかった……わたし、お料理を教わりましたけど、いつも味付けが濃いって怒られてましたから、大丈夫かなって。わたしの舌じゃこれが普通だから……」
「ああ、言われて見ると濃いめかもな、でも平気平気」

 昔のおれの食事、醤油・ケチャップ・マヨネーズの調味料三本柱に比べれば、こんなの濃い内に入らない。むしろ濃いめで好みにジャストミートなくらいだ。

「うん、やっぱり美味しい。これくらいの味で全然大丈夫だから、料理はミウに全部任せる。ああ、後で金を渡しとく。買い物とかも全部ミウがやっていい」
「分かりました! いっぱい、美味しいものを作りますね」

 ミウが嬉しそうに言った。
 しっぽが右に左にパタパタしている。
 ……かわいい。

「ああ、あと家事もとりあえずやってみて。手が回らなかったら言って。何か考えるから」
「はい! わかりました」
「それともふもふもな」
「はぅ」
「とりあえず……そうだな」

 おれが考えた。

「朝もふもふと行ってらっしゃいのもふもふ、それとお帰りのもふもふ。この三つは義務だから、いいね」
「わ、わかりました……」

 料理や家事の話の時と違って、ミウはちょっとだけ涙目になった。
 それがかわいくて、もうちょっともふもふした。

     ☆

 次の日、山ウシの草原。
 山ウシを探し回りながら、おれはあることを考えていた。
 山ウシ狩り、そしてアルモッソとその部下を倒した時。
 全部楽勝と言えば楽勝だったけど、なんというか、勝ち方がスマートじゃない。
 力に任せて無理矢理勝っただけ。

 なんというか、アクションRPGとかで、最高レベルだから楽勝は楽勝だけど操作はド下手。
 そんな感じだ。

「力のうまい使い方を覚えないとな」

 おれはそう思って、色々、やれそうな事を頭の中で思い浮かべる。
 歩いてる内に、山ウシと出くわした。

「さて……やるか」

 指をボキボキ鳴らして、山ウシに向かって行く。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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