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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

シラクーザ王国編

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88.人類最強

 ギホンの街を占拠したあと、テオ率いるシラクーザ残党軍が街に入ってきた。

 そいつらは街の人間に歓迎された。

 年寄りから子供まで総出での歓迎だ。

 残党軍とおれは呼んでるけど、そいつらが掲げてるのはシラクーザ王国の旗。

 街の人からすれば正規軍が蛮族を追い払った、と言う図式になる。

 歓迎されて当然、か。

     ☆

 執政府の建物の中、おれはテオに会いに来た。

「男爵閣下」

 椅子に座って部下に何か指示を出してたテオが立ち上がった。

 部下が外に出るのを待ってから、テオに話しかけた。

「どうだ、上手くいってるか?」

「もともと我が王国の街ですから。占拠されたと言っても十日足らず、略奪で多少の被害は出したようですが、逆にそれがよかったですな」

 相手が略奪したから奪還が歓迎されたか、なるほど。

「そうか。これで最低条件はクリアって訳だな」

「はい。これから各地に散らばっているものたちに檄文を出す予定です」

「そういうのは任せる。次にどこを攻める?」

「各地の呼応次第で決めようかと」

「わかった、決まったら教えてくれ」

「はい」

 テオに見送られて、おれはそこを後にした。

     ☆

 ギホンの街外れにやってきた。

 十数個のテントが張られてる。

 ギホンの兵舎は早速正規軍の兵士達が占拠から、おれの配下の奴隷兵たちはここにいる。

「お疲れ様であります!」

 丁度外にいたニキがおれに敬礼した。

 前に抱いた女だが、昼間ってこともあって今は兵士として振る舞っている。

「ああご苦労。負傷者の様子はどうだ?」

「テントの中で休養中であります。重傷者はご命令通り負傷したそばから魔法の玉を使っております。一週間以内で治る軽傷のもののみ自然治癒に任せているであります」

「ああ、それでいい。魔法の玉のストックは?」

「我が第一小隊の消耗率は一割であります。全体だと三割であります」

「あと二・三回は大丈夫か」

 頭の中でざっとシミュレートした。

「話はわかった。前も言ったが危ないと思ったらどんどん使え」

 エリクサーもったいない病だと良くないから、これは話す度に念押ししてる。

「はっ」

「特にお前ら。おれの女なんだから、つまらない死に方をするな」

「……はい」

 兵士として最後まで振る舞うことはできなかった。

 ニキは頬を染めてうつむいてしまった。今度また可愛がってやろう。

 彼女と別れ、奥に進み、小さめのテントの前に立つ。

「いるか?」

 話しかけると、テントが開かれた。

 ナナがテントを中から開けた。

「入っていいか?」

「はっ」

 半身になるナナの横をすり抜けて、中に入る。

 ナナを改めて見る。

 鎧は着けてない。

 すらりとした長身、瀧のように流れるような黒髪。

 凜然とした空気は変わらないが、その姿は女らしさ強調される。

「何をしてた」

「すこし休みを頂いておりました」

「そうか。お前は大丈夫だったか? 敵が一番集まるところ、しかもお前を先頭に立たせて突っ込ませたんだ。ケガとかは?」

「心配ご無用だ主。それがわたしの仕事なのだからな」

「そうか」

「主にはいつも感謝している」

「うん?」

「信頼して、もっとも危険なところに向かわせてくれることが、わたしのようなものにとって一番ありがたい事」

「それならいいが」

 まあ、ナナならそれでいいだろう。

 そんな彼女をみて、おれはちょっとむらっときた。

「ナナ、剣を持って表にでろ」

「……? はっ」

 疑問に思ったが、それでもナナは素直に従った。

 愛用の長剣を持って、テントの外に出た。

 おれはエレノアを抜いて、ナナと向き合う。

「カケルさん? どうしたんですか?」

 イオがやってきた。

 おれとナナ、剣を抜いて向き合う二人の姿を見て不思議そうな顔をする。

「これから手合わせだ」

「え? なんで?」

「やりたくなったからだ」

「えー」

 イオは訳わからないって顔をした。

 ま、そりゃそうだ。おれだってなんでやりたくなるのかはわからない。

 たまにナナと話してると、妙に彼女とやりあいたくなる。

 むらむらするけど、その前に剣を交えたいって気分になる。

 向き合うおれとナナ。

「来い」

「では……失礼!」

 ナナがしかけてきた。

 猛然とした踏み込み、低いポジションからの鋭い三連撃。

 エレノアで受け止める。六回の剣戟音。

 手のひらに微かなしびれが走った。

「やるな」

「恐悦」

 流麗な円を描いて、今度は上からの連撃。

 縦横無尽の斬撃、剣の光がまるで網のようにおれの上半身を包む。

 数えると縦に九本、横に九本ずつ。

「ふっ!」

 気合を入れて同数の斬撃を打ち返した。

 三十六回の剣戟音が爆竹の様に打ち鳴らされる。

「今度はこっちの番だ、受け止めてみろ」

 オーラを出して、大上段から振り下ろす。

 ナナは受け止める――でのはなく真っ向から撃ち合ってきた。

 守るのではない、攻める女。

 おれの一撃に対して、電光のような五連撃で真っ向から撃ち合う。

 手数とパワー、両方とも限界を突破する五連撃。

 追加攻撃100%の特殊能力と相まって、おれの攻撃を完全に受け止め、真っ向から押し返した。

 昂ぶってきた。

 そうだ、これだ。

 ナナにはこれがある。

 高い基本能力と対応力、そして乾坤一擲を効果的な場面で活かす決断力。

 異世界にやってきて、一番強いと思った人間がナナだ。

 そのナナも進化してる。

 だから楽しい、やり合ってて楽しい。

 これがあるからナナを誘いたくなる。

 剣戟音が間断なく鳴り続く。

「それっ!」

「はあああああああ!」

 互いに気合を込めて、剣と剣が撃ち合う。

 ドォーン! と巨大な爆発音がした。

 反動力をうまく利用して、ナナは鳥のように大きく飛び下がった。

 おれはぐっと力を込めて、ナナからの衝撃を全部受けきって、その場から一歩も動かなかった。

 手合わせが終わる。

 気づけば奴隷兵が全員テントから出てきて、何事かとザワザワしている。

 一瞬目に入ったが、すぐに視界から消した。

 いや消えた。

 おれの目にはナナしか見えない。手合わせ昂ぶった胸の中にあるものが、ナナしか見えないようにさせた。

 つかつかと向かっていって、ナナの膝裏に手を回して抱き上げた。

「やるぞ」

「はっ!」

 ナナはおれにしがみついてきた。

 強く。抱きつかれて痛いくらいの力でしがみついてきた。

 荒い息、火照った肌、鼻をくすぐる汗のにおい。

 それらがおれをより興奮させた。

 おれはナナをテントに連れ込んで、寝床の上に押し倒した。

     ☆

 終わった後、ナナを寝かせて外に出ると、どこかから帰って来たイオ達三人と遭遇した。

 アグネとジュリアはおれを避けて近寄ってこなくて、イオだけがやってきた。

「お疲れ様ですカケルさん」

「ああ」

「もう、さっきはビックリしましたよ。急にああなっちゃうんですもん」

「急に? いやはじめるって言ってはじめただろ?」

「そうじゃないですよ。途中から急に二人とも本気になったじゃないですか。すごく怖かったですよ? 二人とも笑いながら斬り合ってたし」

「笑いながら?」

 イオははっきりと頷いた。

「うん。ふははははは、とか。ふふふ、とか。二人とも声に出して笑うもんだから、怖くて怖くて」

「声なんかに出してたのか」

 全然自覚がなかった。

「ほら、そのせいであの子たち怖がっちゃってます」

 といってアグネとジュリアをさした。

 確かにめちゃくちゃ怯えてる、前はおれのことを単に嫌ってたけど、今はそこに怯えの色が上乗せされた。

 なるほど、よってこなくなったのはそのせいか。

「でもでも、カケルさんがあそこまで本気を出したのははじめてみました。普段はそんなに本気じゃないんだね」

「必要がないからな。……レッドドラゴン以来か? ここまで本気をだしたの」

「あれ? サンドロスは?」

「あれは瞬殺してただろ? そっか、ナナはサンドロスを越えてるな」

 ナナとの手合わせを思い出して、比較する。

 越えてるな。

(うむ、越えているだろうな)

 サンドロスの元支配者、エレノアのお墨付きをえた。

「ナナさんすごいなあ」

「ああ、あいつはすごい。人類最強なんじゃないのか? もう」

「ねえねえ。それじゃあカケルさんはどれだけすごいの? ナナさんよりは全然上だよね」

「そうだな……」

 おれは比較した。

「10倍くらいだな」

(うむ、妥当なところだろう)

 またエレノアのお墨付きを得た。

「あれの十倍かあ、すごいなあ」

 イオは素直に感心したのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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