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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

シラクーザ王国編

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86.積み上げた財産

 数日後、おれ達は目的地に到着した。

 フィオナと街の二人を護衛して進軍する200人の奴隷兵、ナナの訓練のかいあって、一糸乱れぬ行進を見せていた。

 装備が整ってる事もあってか、女ばかりだと言うのに、見た目は威風堂々すら見える。

 それに比べて、到着したシラクーザの陣地はひどいもんだった。

 一言でいえば、敗残兵。

 刀折れ矢尽き、目に生気が見当たらない。

 あっちこっちに散らばって、地べたに座ってる。

 数は奴隷兵の200よりは遙かに多いけど、士気のかけらも感じさせないダメ集団だった。

(典型的な敗残兵だな)

「そうだな」
(まな板にあがったナントカというヤツだな。あとはもう食われるのを待つばかりの単なるエサだ)

 言い得て妙だな。

 人数は多いが、これならこれならナナ一人……いや下手したらイオのパーティーだけでも蹴散らせるだろう。

 それくらいダメに見える。

 陣地の奥にたどりついて、行進が止まる。

 一番でかいテントがあって、その表に将軍っぽい格好をした男が出迎えに出てきた。

 四十台の中年で、こっちはまだちょっとまともな感じだ。

 おれは奴隷兵に向かって合図した。

 第一小隊長のニキが動いて、馬車の幕を上げる。

 フィオナとマリが不安そうな表情のまま馬車から降りてくる。

「お待ちしておりました」

「えっと……」

 戸惑うフィオナ。

「まずはこれを、殿下」

 男は跪き、紋章のアクセサリーを出した。

 まえに見た、あの王家の血筋を確認するための魔法アイテムだ。

 フィオナが受け取る、アクセサリーが光を放つ。

 ――おおおおお!
 敗残兵からまばらな歓声が上がる。

 王家の血筋、担げる神輿がやってきて、それで少し希望を持ったようだ。

「待て!」

 いきなり怒鳴り声がして、一人の兵士が飛び出してきた。

 敗残兵の中でも飛び抜けて格好がひどく、包帯をぐるぐる巻きにしてて、それが赤く染まっている。

 目つきは鋭く、怒りを露わにしてフィオナとマリを睨む。

「お、おれは認めないぞそんなの!」

 震える声で叫んで、武器である槍の先端を二人に向ける。

「なにする! 不敬であるぞ!」

 将軍が怒鳴った。

「うるさい! おれはもう戦うのはこりごりなんだ! 大体なんだよ、今更姫様って! そんなのが一人二人増えたからってどうにかなるわけないだろ! もう終わったんだよこの国は!」

「何をいうか!」

「そんな事のために死にに行くのはまっぴらだ!」

「貴様……」

 将軍がこめかみに青筋を浮かべる。

 ド怒りだ、まあわかる。

 待望の王家の血筋がようやくやってきて、さあこれから反攻だ! ってところでケチをつけられたんだから。

 その将軍の怒りに、普通ならたじろぐ兵はより激高した。

「うるせえ! こうなりゃやけくそだ! こいつら殺しておれも死んでやらあ!」

 兵がフィオナに突撃していった。

 仕方ない――とエレノアに手をかける。

(待て、ここはまかせろ)

 エレノアが言った。

 直後、おれの体から黒いオーラが立ち上った。

 それは今までよりも密度の高いオーラ。

 オーラはまるで触手の様に伸びていき、兵士の体を絡め取った。

「う、動けない」

 オーラにがっちり拘束されて、まったく身動きがとれない。

 おれはエレノアをみた。

「なんだこれは」
(われの力だ)

「今まではこんなのなかったぞ」
(我をつかいこなすのだろう? これも御してみよ、そうなれば100%以上が見えて来るぞ)

 さらっと100%以上って言ったなこいつ。

 まあいい、それもこっちが言い出したことだ。

 お望み通り……使いこなしてみせるよ。

 深呼吸して、エレノアの黒いオーラを意識した。

 それを纏うイメージ……ジャケットに袖を通す感覚。

 通して、動かす。

「が……は……」

 オーラが男を締め上げる。

 首を絞められる男は苦しそうにもがく。

 それをやったまま、男に近づく。

 そいつが持ってる槍の先端を摘まんで、バキッと折って、ポイ捨てする。

 一連の出来事に、まわりがざわめきだす。

「なんだあれは……」

「人間じゃないのか?」

「おれ知ってるぞ、あれは魔剣エレノアだ」

「魔剣使いだと?」

「レッドドラゴン殺し……」

 いろんな声に混ざって、畏怖の感情が伝わってくる。

 男をオーラで拘束したまま、将軍に話しかけた。

「おれは結城カケル。フィオナとマリ、二人を女王にするためにやってきた。

「て、テオ・コストマスです。感謝いたします、ユウキ男爵閣下」

 向こうはそう呼んできた。シラクーザだと確かに男爵だから、向こうはおれの事を知ってるのか。

 ならば話はいろいろと早い。

「提案だ。こいつみたいのがいるとこの先いちいち始末が面倒になる。穴はうめてやるから、戦いたくないヤツはここで解放してやれ」

「しかし、それでは兵の数が……」

「穴は埋めると言った」

 そういって、意識して黒いオーラを出す。

 オーラが広がる、範囲が倍増した。

「おれならここにいる全員を皆殺しにするのに五分もかからん。この程度の数ならいてもいなくてもさほど変わらん」

「……わかりました、言うとおりにいたします」

 テオがそう言い、命令を下す。

     ☆

 テオのテントの中に入り、フィオナとマリが上座に通された。

 テオは二人の前に進み出て、跪く。

「あ、あの――」

 いきなりの事でフィオナは慌ててしまい、立ち上がりかける。

 おれは手をかざして、目で合図する。

 フィオナは引き下がった。

 テオはひざまついたまま、コモトリアの作法に則って礼をしてから、またたちあがった。

「王女殿下をお迎えできたことは誠に喜ばしく思います。このテオ・コストマス、一命を賭して王国再興に努める所存でございます」

「う、うん。おねがい」

「はっ」

 話が一段落ついたのを見計らって、割って入った。

「いまの戦況は?」

「お恥ずかしながら、ここにいるのがシラクーザ軍の全てでございます。今やシラクーザ全土は蛮王チオザに征服されている状況。噂では四カ国に使者を送ったとも」

 使者? なんのために。

(シラクーザの全土を征服した、国としてこれからよろしく。というところだろうな)

 なるほど。

「四カ国の承認、いや黙認でもいい。国として認められてしまうと、いよいよシラクーザの再興が絶望的になります。まずはそれを撤回させるために、シラクーザ正規軍が残っていると知らせるために、どこかに反攻せねばなりません」

「そんな事するよりももっと良い方法がある」

「それはどのような?」

「待ってろ」

 そこにいる全員を待たせて、おれはワープした。

 シラクーザの辺境にある小さなテントから、カランバ王国首都・メテオラの宮殿にとんだ。

 顔見知りのメイドをつかめてリカの場所を聞き、そこから更に女王の自室に飛んだ。

 そこにリカがいた。

「カケル!」

 おれを見たリカが大喜びで立ち上がって、小走りで駆け寄ってきた。

「遊びに来たの? そうだ! カケルのためにまた女の子達を選別したから、会っていってくれるかな?」

「それは後だ……夜にまた来る。それよりも今日は別の頼みで来た」

「頼み?」

「シラクーザの事はどこまで知ってる?」

 聞くなり、リカの表情が変わった。

 それまで飼い主が帰宅したワンコのような表情から、女王らしく威厳に満ちた顔に変わる。

「チオザがほぼ全土を統一し、近いうちに我が国にも使者が来るでしょう」

「なるほど、そこまでわかってるのなら話が早い」

「というと?」

「シラクーザ残党につくことにした。向こうに王家の生き残りがいたから、それをたてての話になった。だから――」

「わかった」

 途中でリカが言った。

「時間稼ぎするわ。そうね。王家の生き残りがいるのなら、根絶やしにしてから話をしよう、とでも」

 リカの理解が早かった、そして提案してきたのはおれに一番都合が良くて、おれを信じ切ったものだった。

 おれはリカにキスをした。

「やっぱりおまえはいい女だな」

「そ、そんな……」

 リカはうつむき、頬を染めてしまう。

「それでいったん話を進める――夜にまた来る」

「はい!」

 リカは大喜びした。

 同じ話を、ヘレネーとアウラのところにも持っていった。

 二人とも同じ感じで快諾してくれた。

 とりあえず、時間稼ぎはこれで充分だな。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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