挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

シラクーザ王国編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

84/288

83.プリンセスメーカー

「なにとぞ! 我らの盟主に!」

 男はフィオナとマリに土下座した。二人は慌てた。

 男は必死な様子で、嘘をついてるようには見えない、が。

「証拠はあるのか?」

「ああ!」

 男は懐から何かを取り出した。

 パッと見高貴そうな紋章に、宝石がついたアクセサリーだ。

 それをもって力説する。

「これは王家代々に伝わる証。王家の血を引くものが触れれば持てば反応する一品」

「フィオナ、マリ。とりあえずそれを持ってみてくれ」

「え? でもカケルさん……」

 フィオナは困り顔をした、マリは困りすぎて何を言っていいのかさえわからない様子だ。

「人間違いかもしれない、それならそれでいい。――人違いだったら帰ってくれるよな」

 男に聞く。

「もちろんだ!」

 男は頷く。そんな事はあり得ないが、って確信に満ちた表情をする。

「ってことだ。さっ」

 フィオナとマリを促す。

 姉妹は互いを見る、困った顔のままだ。

 やがておずおずとうなずき合って、姉のフィオナからそれを受け取る。

 受け取った瞬間、それが光った。

 紋章だけじゃない、フィオナの体までもが光った。

「そんな……」

「マリは? 持ってみて」

 マリを促す。マリもおっかなびっくりって感じで紋章を受け取る。

 同じように光った、その結果に呆然とするマリ。

 彼女の手から紋章をとりあげる――光がおさまった。

 おれじゃ光らないのか、男の言うとおり王家の血に反応するアイテムっぽいな。

 それを男に返してやった。

「フィオナ様! マリ様! なにとぞ!」

 男はそれをもったまま、土下座で頭を床にこすりつける。

 まわりがざわざわしだした。

 元々店の中にいた客と、外から騒ぎを聞きつけてのぞき込んでくる町の人。

 それらがこの状況をみて、ザワザワしている。

「お姉ちゃん……どうしよう」

「どうしようって言われても……」

 二人はますます困った、どうしたら良いのかわからない様子になった。

 見かねて、おれは男にいう。

「今日のところはとりあえず帰ってくれ」

「しかし――」

「じっくり考えさせる時間、そして覚悟を決める時間くらいくれてやれ。それとも戦いが佳境になった時に『やっぱりおりる』ってやられたいのか?」

「むっ」

 男は顔をあげておれを見つめる。

 おれが話した光景を想像したんだろう。

 戦いが順調に進み、あとちょっとで王国が復興されるところまできたが、そこで二人が迷いだした。

 それを想像して、納得しただろう。

 男おれをみて、フィオナ姉妹を見て。

 やがて頷き、立ち上がった。

「わかりました。また来ます」

 と言って、店から立ち去った。

     ☆

 臨時閉店したプロス亭の中。

 困り果てて向き合ってるフィオナとマリ、そしておれの三人だけになった。

 長い沈黙が続いたから、おれの方から話を切り出した。

「フィオナ、今の話に心当たりは?」

「ううん、まったく。マリもそうよね」

「う、うん」

「母親からは?」

 国王の隠し子って話なら母親が当事者だ。

「ううん、お母さんはそんなことまったく言ってなかった。死んだときも『二人で仲良くね』ってしか」

「そうか」

(この店は誰のものだ?)

 エレノアが頭の中で言った。

「この店の持ち主は?」

「わたしです。お母さんの遺産で、一応わたしのものって事に」

 フィオナが答えた。

「なるほど、つまりフィオナ達はまったく何も知らないわけだ」

(おそらくこの店も、国王からもらった金で開いたものだろうな)

 可能性は大だな。

「で、お前達はどうした?」

「ど、どうしたいって」

「ああいう手合いはしつこいぞ」

 おれはわざと、二人を脅かすように言った。

「祖国の復興が悲願って話だ、ちゃんとした理由で納得させてやらない限りいつまでもせがんでくるぞ」

「そんな、それは困ります。わたし達には生活が、この店があります。ね、マリ」

「……」

「マリ?」

 答えないマリ、フィオナは不思議がって妹を見た。

 そのマリは姉じゃなくて、おれの方をじっと見つめてる。

「どうした」

「カケルさんは……お姫様の方が好きですか?」

「うん?」

 いきなりどうした。

「カケルさんのまわりにお姫様いっぱいいますよね」

「おれのまわり?」

 どういうくくりで言ってるんだろう。

(貴様のハーレムの事に決まってるだろうに)

 それか。そういうことなら結構いるな。

 メルクーリはヘレネー。

 コモトリアはアウラ。

 カランバは姫じゃなくて女王だけどリカ。

 それとナナも蛮族の姫って言われてたっけ。

 うん、確かにお姫様はいっぱいいる。

「も、もしですけど。カケルさんがお姫様の方が好きなら、わ、わたしは」

「マリ? 何を言い出すの?」

「わたし、カケルさんのために頑張りたい」

「それは……わかるけど、でも危険すぎるわ。戦争なんだよ」

「それでもいい」

 息を飲むフィオナ、おれをまっすぐ見つめてくるマリ。

(健気な娘だ、そして罪な男だな。どうやら貴様のために進んで神輿になりに行くようだぞ)

 そうみたいだな。

 その健気さが可愛らしかった、今までで一番かわいらしくみえた。

「いいんだな、マリ」

「はい!」

「わかった」

 覚悟はわかった。

「ならおれが力を貸してやる」

「カケルさんが?」

「滅亡直前の連中に大した兵力が残ってるとは思えない。マリを死にに行かせる訳にもいかないだろ。おれが力を貸してやる」

 ナナと奴隷兵、イオのパーティー、メイド幽霊たち。

 それから――俺自身。

 これだけあれば何とかなるだろ。

(まあ、ざっと数千の兵に匹敵する武力だな)

「カケルさん……」

 マリはうるうるした目でおれを見つめる。

 おれは見つめ返した。

「……なら、わたしも行くわ」

 フィオナが言ってきた。

 彼女を見ると、マリとは違ったタイプの決意した表情をしている。

「お姉ちゃんも?」

「ええ、わたしも。……わたしが先なのに」

 宣言した後ぶつぶつと何かつぶやいた。

 何が先なんだ?

 まあ、そんなのどうでもいいか。

「フィオナ、マリ」

 二人を見つめて、エレノアの柄に手をかけながら、宣言する。

「おれが、お前達をお姫様にしてやる」

 宣言すると、二人の顔はゆでたタコのように赤くなった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ