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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

シラクーザ王国編

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82.”元”お姫様

 昼下がりの屋敷の庭、ぽかぽか陽気で遊んでるひかりとチビドラゴンを眺める。

 一緒にいるのはオルティア。今もおれの精気で若返って、絶世の美女姿だ。

「全盛期の何割くらいだ?」

「肉体は十割よ」

「そうか」

 戦った後じゃないから精気を持ってかれた後はやる気が起きないけど、綺麗だしそれでいいと思う。

「そういえば、シラクーザ王国で戦いが起きてるらしいわ」

「へえ」

「国内で長年活動していた魔族が静かになって、それで後腐れなく完全に討伐して兵を動かしたら、その隙を蛮族に突かれたらしいわ」

「大変そうだな」

「大変よ。何しろシラクーザ王国軍は連戦連敗、王族もどんどん殺されて、盛り返すにも担げるみこしがない、戦う大義名分がない状態。まわりの四国も手出ししないで静観してるし、新しい国ができるともっぱらの噂ね」

「本当に大変な事になってるんだな……デルフィナは?」

 聞くと、オルティアはにこりと笑った。

「大はしゃぎよ」

「だろうな。前に大樹は倒れる直前が一番美味しいとかどうとか言ってたし」

 きっと今回の件で大もうけするんだろうな、と思った。

「どうするの? 介入する」

「おれが?」

「ええ、漁夫の利。今のあなたなら介入すればそこに新しい国を建てて、自分が王になることもできるわよ」

「できるのか?」

「あなたなら」

 オルティアは微笑んだままいう。

 目は真剣そのものだ、おれがうんと言ったら、全力で何かをするき満々という感じの目だ。

「うーん、パス。王ってのに興味はない」

「そう」

 オルティアはあっさり引き下がった。真剣な目つきも和らぐ。

 そのまま体を寄せてきた。

 何もしないで、体をそっと寄せるだけ。

 そのままふたりでひかりたちをみまもった。

 ひかりは花冠を作って、チビドラゴンの頭に乗せてやった。

「どうかな、おーちゃん」

「みゅー、みゅー」

 チビドラゴンは自分の頭に乗った花冠を見あげようと首をかしげ、触ろうと短い前足をじたばたさせた。

 それで花冠がズルッ、とずれたから、ひかりが支えて、直してやった。

「あれが破壊と殺戮をまき散らしたレッドドラゴンだったとはとても思えないな」

「なごみと愛らしさをまき散らしてるわね、あなたの娘と一緒に」

「九割くらいひかりだがな」

(親ばかめ)

 エレノアの定番の突っ込みが入った、気にしない。

 ふと、空が暗くなってくることにきづいた。

 遠くから雷雲が急速にやってきて、瞬く間に空をおおってしまう。

 そして――ピカッ! ゴロゴロゴロ!
 イオの魔法よりも若干控えめな雷がおちた。

 おれはもちろん、エレノアもオルティアも、ひかりまでもがけろっとしてる。

 そんな中。

「みゅー! みゅみゅー!」

 チビドラゴンが身長と同じ位高さに飛び上がって、ひかりの足にひっついた。

 顔を埋め、ガタガタ震えている。

「おーちゃん? 大丈夫だよおーちゃん」

「みゅ……」

「ひかりがいっしょにいるから、大丈夫」

「みゅー、みゅー」

 目をきつく閉じて、ひかりにしがみついたまま、いやいやをする。

「……破壊と、殺戮をまき散らしてたんだよなあ」

「もはや愛らしさしか残ってないわ」

「ひかりのかわいさが八割まで落ちてしまったな、こりゃ」

(総量が増えただけで九割はかわらんわ!)

 ……エレノアもかなりの親ばかだった。

     ☆

 雨の中、プロス亭にやってきた。

 看板娘のフィオナは満面の笑顔でおれを出迎えた。

「いらっしゃいませ。今日はカケルさん一人で」

「ああ」

「ご注文は?」

「山ウシのフルコース」

「もう! カケルさんがやらなくなってから山ウシがまた高くなったの知ってるくせに。うちのような小さな店じゃとても扱えません」

 フィオナは笑顔で拗ねた。

 明るい笑顔、プロス亭がはやってる理由の五割以上は看板娘の笑顔だとおれは思ってる。

「じゃあ適当に」

「はい、じゃあいつもの席にどうぞ」

 案内されて、いつもの席にやってきた。

 他の席に比べて一段とピカピカに磨かれてる席に座る。

「こ、こんにちは、カケルさん」

 入れ替わりに、今度はマリがやってきた。

 フィオナの妹で顔の作りはそっくりだが、こっちはちょっと控えめな性格だ。

「おう。調子はどうだ」

「おかげさまで」

 マリはそう言いながら、ちらっとおれの腰をみた。

 おれはエレノアを反対側に移した。マリはかつてエレノアに取り憑かれた事があって、いまでもちょっとトラウマっぽい。

 それでマリはちょっとほっとして、同時にちょっと申し訳なさそうにした。

「カケルさん、最近よく来てくれますよね」

「ああ」

「どこかにお出かけする予定とかはないんですか」

「遠出のことか? うーんないかな」

 天井を見あげて考える。

 最近の遠出はカランバに行ってリカを助けた時と、コモトリアでアウラを助けた時だ。

 一度いったところにはワープでいけるし、行ってないところにいく予定は今の所ない。

「あの、じゃ、じゃあ」

「うん?」

「新しいメニューを開発してて、完成したら食べに来てくれませんか?」

「いいぞ」

「――ッ! ありがとうございます」

 マリはそう言って、大喜びで店の奥に引っ込んでいった。

(そういえば)

「うん?」

(あの姉妹はまだ貴様のものにしてないな。つきあいで言えば貴様のどの女よりも古いのに、なぜだ)

「マリがまだお前に怯えてるからに決まってるだろうが」

(我のせいにするのか)

「するも何も完全にお前のせいだろうが。憑き殺しかけたんだぞ」

 指でピン、とエレノアをはじいた。多分おでこであろうところにデコピンだ。

(われをぞんざいに扱うなというに。それにしてはこの店に来るたびに我をつれてくるではないか)

「どこに行くにも連れてってるだろうが。お前を野放しにして他の人間が犠牲になったらかなわん」

(心配するな)

 頭のなかで得意げなエレノアの声が響く。

(誰かの手に落ちても一瞬で憑き殺してやる。……貴様以外の男は特にな)

「安心と信頼の魔剣エレノアだもんな。うん? 最後になんていった?」

(き、貴様は親ばかのだめ男だと言ったのだ)

「親ばかはお互い様だ」

 そう返して、窓の外から町を眺めた。

 雨の町はそれなりの風情がある、雨の音がするだけで、むしろ静かな感じがする。

 頬杖を突きながら、それをだまって見つめていた。

 そこにフィオナが料理を運んでくる。

「お待たせしました。マリに何か言ったんですか? なんかものすごく張り切ってますけど」

「料理の試作を食べてやるって言っただけだが」

「そっか、それでなのね」

 フィオナは納得した。

 なんでそれで納得するんだと聞こうとしたその時。

 プロス亭に一人の男が入ってきた。

 雨合羽姿でびしょ濡れで、息を切らせながら店の中を見回している。

 他の客が不思議がる中、フィオナが男に向かっていく。

「いらっしゃいませ。お客様――お一人様ですか?」

「こ、ここにフィオナさんとマリさんがいると聞いてやってきたのですが」

「フィオナはわたしで……妹なら奥ですけど」

「ほ、ほんとうに」

 男はフィオナの肩をつかんだ。

「きゃっ」

「ほんとうにフィオナ様なのですか?」

 様?

「ちょ、ちょっと待ってください。痛いです」

 肩をつかんだフィオナは痛みを訴えた。

 おれは近づいていって、男の手を剥がした。

「だ、だれだお前は」

「とりあえず落ち着け。フィオナとマリになんのようだ」

「離せ! フィオナ様とマリ様に我らの盟主となっていただくのだ」

「盟主?」

 どういうことだ? とフィオナを見る。店の奥からマリも顔を見せて、きょとんとしてる。

 フィオナは首を振った。おれは男に更に聞いた。

「どういうことだ、わかる様に説明しろ」

「われらシラクーザ王国軍の盟主として、王家に縁のあるお二人になっていただくのだ。お二人は国王陛下の落とし(だね)なのだ」

「「…………えええええ!」」

 フィオナとマリの方が驚いた。自分達でも知らなかったみたいだ。

 えっと、落とし胤っていうのは……。

(国王が民間の女に産ませた子供だな)

 エレノアが説明した。

 えっと……なんか大変な事になってきたぞ?
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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