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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

コモトリア王国編

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81.ただのいい女

 ロイゼーン郊外、開けた草原。

 奴隷兵二百人がおれに挑んでくる。

 何回かの実戦でできあがった「戦う者の目」をして、徒党を組んでおれに攻撃してくる。

 おれはエレノアで応戦した。ひかりは腰に下げたままだ。

(大分使えるようになったな)

「そうだな、これなら戦場に連れて行ける」

 エレノアと話しつつ、稽古気分で反撃する。

 模擬戦のようなものだから大けがさせないように手加減して戦う。

「一時撤退!」

 奴隷兵の一人が叫ぶと、全員が下がりはじめた。

「おお」

 ちょっと感動した。

 撤退する姿はビックリする位整然としてる。

(よく訓練されてる)

「そうだな」

(追撃してみるか? しんがりをどうするのか見ておくのも一興)

 そうだな――と頷きかけたところに、真横からプレッシャーがかかってきた。

 エレノアを構えて迫ってくる者を受け止める。

 ガキーン! 甲高い剣戟音が響く。

 大剣をもった女の姿があった。

「アグネか」

「そう呼んでいいのは姉さんだけだ」

 怒りの表情をあらわに、アグネはおれとつばぜり合いをする。

 肩越しにみると、背後にイオともう一人法衣姿の女、ジュリアがいた。

 イオのパーティー、剣士と魔法使いと僧侶のオーソドックスなパーティー。

 奴隷兵の次は、その三人が挑んできた。

「うおおおおお!」

「力任せだけか?」

「――っ! そんな訳がないだろ!」

 顔を真っ赤にさせるアグネ。

 切っ先をずらして、今度は大剣に遠心力をつけて横一文字に薙いできた。

 剣戟音、そしてさっき以上の衝撃。

 受け止めたエレノアがかすかに揺れる程の衝撃。

「やるな」

「なめるなあ!」

 アグネが連続で斬りかかってくる。その後ろでジュリアが補佐し、イオが詠唱してる。

 イオパーティーの基本戦術だ。アグネが足止めしているところに、ジュリアのサポートで魔力を高めて、イオがトドメの一撃をたたき込む。

 オーソドックスでいい戦法だ、効果の高さは簡単に想像できる。

 更にそれだけじゃない、詠唱を続けてるイオの目が輝いてる。

 何かねらってるな、と思った。何を狙ってるんだ、と楽しみになった。

 剣戟を繰り返して、それを待つ。やがて。

「アグネ!」

 ジュリアが叫んだ。おれと撃ち合っていたアグネが撃ち合った反動を利用して大きく飛び下がった。

 ほぼ間髪入れずに――イオの魔法が飛んできた。

 空から降ってくる雷の魔法、百の雷が連続で降り注ぐ。

 イオの大魔法、必殺の魔法。

 エレノアを構えて、耐えた。

 ノーダメージとは行かないが、大したダメージでもない。

 来るとわかればガマンはできる、程度のダメージだ。

 百発目がしっかり落ちきって、おれの体から煙があがる。

 さて、魔法の次はなんだ――。

「お姉様! どうぞ!」

「ええ! カケルさん! いきます!」

 ジュリアの体が光って、その光がイオに乗り移った。

 直後、イオから魔法が放たれる。

「ぐっ!」

 体の芯にずしりときた。痛みと熱さとしびれがいっぺんに走った。

 衝撃が連続で来る、百の雷、二発目か!
 長い詠唱を必要とする大魔法をまさか連射されるとは思ってなくて、ガードのないところに魔法を打ち込まれた。

 ダメージがダイレクトに体に来る。

「やった、やったぞ。さすが姉さん」

「お姉様を甘くみたツケだわ」

 アグネとジュリアが大喜びしてる。

「ふう……」

 肺にたまった息を吐き出す。

 さすがにかなりのダメージになった。

「やせ我慢は良くないぞ、姉さんの十界百雷陣ライトニングハンドレッドを二発もくら――」

「そうよ、二回とも直撃したのだからいいかげん――」

 地を蹴って飛び出した。

 まずはアグネに肉薄して、反応すらできていない彼女を掴んで、ジュリアに向かって放り投げる。

 二人はもつれ合ってすっ飛んでいく。

 今度はイオに肉薄する。エレノアをのど元に突きつけて、形式的なチェックメイトをする。

「さすがカケルさんです」

 イオは苦笑いしている。

「大分効いた」

「いけると思ったんですけど」

「おれ以外のヤツならな」

「じゃあこれはどうですか?」

「なに――くっ」

 真横から魔法を撃たれた。まったく無防備なところにたたき込まれた魔法。

 って魔法!? だれだ!
 エレノアを構えて横を向く、そこにタニアとペギー、メイド幽霊のコンビがいた。

 ぷかぷか浮かんでるふたりは次々と魔法を撃ってきた。

 エレノアで受け止め、切り払う。

 そうしてるうちにアグネが復活して、大剣で斬りかかってきた。

 更に奴隷兵二百人が待ってましたとばかりに、隊列を組んで襲いかかってきた。

 奴隷兵、イオパーティー、メイド幽霊。

 それがいっぺんに襲いかかってきた。

「いいぞ、楽しくなってきた。ひかり」

(うん!)

 応じるひかりを抜き放ち、エレノアとの二刀流にする。

 魔剣のから立ちこめる黒いオーラを纏う。

 たのしかった。

 イオのパーティー、幽霊の魔法、奴隷兵の攻撃。

 それと戦うのは楽しかった。

 おれは少し本気を出した。

 アグネの足止めを突破してイオの詠唱をとめ、奴隷兵を蹴散らし、幽霊の魔法を魔剣のオーラで打ち消した。

 エレノアとひかりで大立ち回りをする。

 全員が倒れ、攻撃が一段落したころに――それが飛んできた。

「来たか」

 にやりと口の端をゆがめ、エレノアで迎撃。

 鋭い剣戟音が耳をつんざく。

 一度の斬撃に二度の衝撃。

 迫ってきたのは白亜の鎧を纏ったナナだった。

「来ると思ってたぞ」

「全力で行かせていただく」

 追加攻撃100%という新しい力を得たナナ。

 一連の流れから、彼女が来ると思っていた。

 魔剣と長剣が撃ち合う。両方とも追加攻撃もち、打ち合いの倍数の剣戟音が辺りに響き渡る。

 奴隷兵も、イオパーティーも、メイド幽霊も。

 全員が遠巻きにして見守っていた。

「強いな、ナナ。前よりも強くなった」

「主のために鍛えた!」

「もっと来い」

「ふっ」

 気合一閃――斬撃三連。

 白い光が三筋目の前に現われ、六回の衝撃がエレノアを通して手のひらをしびれさせた。

「はああああ!」

 さすがと思う暇もなく、今度は倍数の六連が飛んできた。

 12の衝撃、思わずひかりも使って受け流した。

「やるな」

「恐悦!」

「これでどうだ!」

 少し本気をだした、ナナならばと思った。

 更に飛んでくる六連の斬撃を、エレノアを使って同じ速さで撃ち合ってはじき、ひかりで斬りつけた。

 ザクッ!
 小さい魔剣がナナの肌に触れるが――手応えはなかった。

 確かに斬ったのに、手応えはまったくない。どういう――。

「――メリッサ!」

 思わず声が出た。ナナの背後、その向こうに不死の聖女の姿が見えた。

 手を組んで祈るポーズをするメリッサ、彼女の身体に、ナナを斬りつけたのと同じ箇所から血が噴き出している。

 予想外だ、全くの予想外だ。

 ナナとメリッサが手を組むのは全くもって予想外だ。

 予想外すぎて――。

「はは」

 笑いがでた。

 地を蹴って飛び下がる。

 目の前にいる女達を見る。

 ナナ。

 メリッサ。

 イオとそのパーティー。

 メイド幽霊。

 奴隷兵たち。

 女達は一様に目が輝いてる。

 ここに来てまた何かを狙ってるって目だ。

 この戦闘、力量を測るための戦闘で――本気でおれに勝とうと思ってるような目。

「はは」

 また笑った、楽しくて仕方なかった。

(おとーさん、たのしそう)

(男はバカだからな。いい女が目の前にいるとそうなるのだ)

(おねーちゃんたちみんないい女なんだ?)

(ふっ。こいつの態度が物語ってるだろう?)

 頭の中でエレノアとひかりが会話していた。

 まったくの同感だ。

「お前達はいい女だ」

 おれは笑みを浮かべたまま先頭のナナ、そして女たちに向かっていく。

 てかげんは、やめた。

 女達がどこまでいい女なのか、それが知りたくなった。

     ☆

 屋敷に一足先に戻ってきた。

 激戦で、ものすごく昂ぶっている。

 戦闘の濃度がまるで違う、今の高ぶりはレッドドラゴンを倒した時以上だ。

 その高ぶりのまま、オルティアの部屋に来た。

「オルティア」

「どうしたの?」

 おれは手を出した。

 それだけでオルティアはわかった。

 フードの下から手を出して、おれの手を握る。

 全身の精気がてのひらから吸い取られる。しわくちゃだった手が若返る。

 大賢者オルティア。1000人分の精気か、おれ一人分の精気で若返る女。

 やがて精気を吸い終えて、フードをはずす。

 おれはビックリした。

「オルティア?」

「何かしら」

「その姿って」

 目の前にいるオルティアは美しかった。

 はじめてあったとき、おれは彼女の事を絶世の美女だと思った。

 しかし今目の前にいるオルティアはそれ以上だった。

 絶世の美女だと思っていた前の姿よりも更に美しい。

「……全盛期だわ」

「全盛期?」

「ええ。今までも若返ってたけど、全盛期の八割だった。精気の量は足りてたけど、質が足りてなくて八割で止まってた」

「質も足りた、ってことか」

「ええ……なにがあったの?」

 オルティアはおれを見つめて、きいてきた。

「いい女達がいた」

「そう」

 それだけでオルティアは納得の表情をした。

「それで」

 そういって、おれを更に見つめる。

 どうするの? って目だ。

 おれはオルティアがほしかった。

 今までは若返り分の精気を与えただけで、それ以上やる気が出なかった。

 精気が丸ごと吸い取られるからだ。

 しかし今は――まだいける。

 オルティアを抱き上げる。

 お姫様だっこで部屋から連れだし、おれの部屋に向かう。

 ベッドの上におろし、真っ正面から見つめる。

「オルティア。お前の名前を教えてくれ。オルティアとしか知らない」

 これから自分のものにする女の名前を知りたかった。

「わたしはオルティア、ただのオルティア」

「オルティア……」

ただの(、、、)、オルティアよ」

 それをしばし見つめて、おれはいった。

「いや、今までのお前は大賢者オルティアだった。これから、いまから」

 まっすぐ目を見つめて、キスをする。

「おれが、ただのオルティアにする」

「うん……」

 頷き、目をそっと閉じるオルティア。

 今日は驚きがいっぱいだった、最後の最後まで驚かされた。

 オルティアは、初めてだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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