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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

コモトリア王国編

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76.豪商の心(side デルフィナ)

 カケルの屋敷の廊下。

 わたくし、デルフィナ・ホメーロス・ラマンリはカケル様の部屋に向かっている。

 カケル様の屋敷の中、それに風呂上がり。でも格好はよそ行きのもの。

 パーティーなどに出る時に使う最高級のナイトドレスを纏って、髪もしっかり整えて、上品と下品の両方をいい取りした香水も振りかけた。

 カケル様に抱かれるための身支度は調った。

 体の準備はできた、でも心は。

 廊下を歩くわたくしはドキドキしている。

 喉がガラガラで、胸が締め付けられるようで苦しい。

 苦しいのともちょっと違う。苦しいだけじゃない。

 あえて言葉にするのなら「甘い疼き」というものになる、それをわたくしはもう知っている。

 みんな……いつもこんな気持ちなのかしら。

 カケル様のところに向かうときはいつもこうなのかしら。

 あの方に抱かれるようになって大分経つけど、一向に慣れる気配はない、むしろどんどん強くなる。

 それはでも、顔に出しちゃいけない。

 カケル様はそんなわたくしをきっと望んでいない。

 わたしは廊下を歩きながら、表情を取り繕うための努力を続けた。

「おや」

 廊下でフードをかぶった女と出会った。

 顔が見えない、しわがれた声の老婆。

 オルティア、大賢者オルティア。

 カケル様の屋敷に住み着いた謎の存在。

 奴隷兵をのぞいて、唯一カケルに抱かれていない女である。

「ごきげんよう、オルティア様」

「これから彼の部屋かしら」

「はい、今日はわたくしの番、という事らしいので」

「一人でかれの相手をするのはしんどいわよ? 最近また新たな境地に達したと聞くし」

「新たな境地?」

「不死の聖女メリッサをたったの数時間でギブアップさせた」

「さすがですわね」

「驚かないのか」

「カケル様のする事にいちいち驚いてたら身が持ちませんわ。あの方の前では、どんな女もただの女でしかありませんから」

「あんたも?」

「あなたも、いずれは」

「それは楽しみだわ」

 オルティアはくすくす笑った。

 カケル様の精気で若返ってる時以外、顔はフードの下に隠れて見えない。

 わたしは再びカケル様の部屋に向かおうとしたけれど、足を止めた。

 立ち止まって、オルティアを見つめる。

 大賢者オルティア。歴史上、数々の覇王や英雄の元でアドバイスをしてきた伝説の人。

 この人なら、もしかして……。

「どうした」

「あなたから……アドバイスを頂くにはどうすれば良いのでしょう。大賢者オルティア、生半可な事では他人にアドバイスをしないと噂で聞いております。どうしてもおたずねしたいことがある時はどうすればいいのでしょうか」

「買いかぶりね、わたしはただのオルティア。自己中なただのオルティア。興味のある事や人だけを相手にしてるだけ」

「お金では――」

「そういうのに興味はない。言うだけ言ってみる? 興味があったら答えてやるかもしれないわよ」

「……」

 わたしは迷った。

 今までわたくしが誰かにアドバイスを求めた事はほとんどない。

 商売の世界で生き抜くためには、普通の人間の数倍の決断力と行動力が必要。

 誰かと相談してはその分遅れる事がおおい。

 だからわたくしはずっと自分で決断してきた。

 でも、今目の前にいるのは伝説の大賢者。そして、その質問は緊急性はない。

 聞くだけ聞こう。

「どうすれば……彼に慣れますか」

 胸に手を当てて聞く。

 このドキドキ、どうすれば慣れるのか。

「無理ね」

 オルティアはきっぱり言った。

「無理?」

「そう、無理。その気持ちは知ってる、この屋敷にいる女が全員(、、)抱いてる気持ち」

 やっぱりそうだったんだ……。

「その相手が普通の男ならそのうち慣れるでしょうね。でも彼は普通の男じゃない。どんどん進化して、先へ先へ行く男」

 うん。

「断言するよ。今夜彼のところに行ったあなたは、明日にはその気持ちがもっと強くなってることを」

「それは……困りますわ。困らないけど……困りますわ」

 自分でも支離滅裂なのはわかる。

「慣れる方法はないけど、それを別のものに変換する方法なら知ってるよ」

「それはどのような?」

「あんたの場合、もっと商売の手を広げればいいのよ。もっともっとすごい商人になるの。結城カケルの女として、彼に恥ずかしくない程の女になるっておもってね」

「もっと……」

「その気持ちを原動力にして。これも断言するよ。彼は自分の女が偉くなればなるほどそれを喜ぶ、器の大きい男だって」

「うん、それはわかりますわ」

「ならやる事は決まったわね」

「……はい」

 そうね、そうすればいいのね。

 胸を焦がす思いをもてあますのなら、それをカケル様の女にふさわしくなるためのエネルギーにすれば良い。

 そんな事を、そんな簡単な事を何故今まで思いつかなかったのだろう。

「ありがとうございます、オルティア様」

「……」

 オルティアは何も言わずにさった。

 顔は最後まで見えなかったけど、微笑んでくれたのは気配でわかった。

 わたくしは再び歩き出し、カケル様の部屋に向かう。

 途中でそっと誓って、気持ちを胸に納める。

 もっと商売を広げて、世界一の――史上最高の商人になろう。

 資産で、誰にも負けない商人に。

 だってわたくしはカケル様に買われる予定だから。丸ごとカケル様に買われていく予定だから。

 それくらいじゃないと、カケル様に釣り合わない。

 そう思った瞬間、心が、すぅと軽くなった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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