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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

コモトリア王国編

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73.Aランクを越えるもの

 朝、ベッドから起き上がったイオはいそいそと身支度をした。

 服を着て、魔女の帽子をかぶって、魔法の杖を持つ。

 裸に剥いた時の姿も綺麗だけど、これはこれで悪くない。

 眺めているうちにそれが出かけるための身支度だって気づいた。

「どこかにいくのか?」

「うん、今日はギルドから受けた依頼があって、それに行くの」

「ギルドか。そういえばお前、ちょこちょこそういうのに出かけてたよな」

「うん」

「……」

 ちょっと考える。

 ギルドの依頼に行くイオ。

 それが気になった。

「よし、おれも行こう」

「本当に!?」

 イオは目を輝かせた。

     ☆

「おはようございます! (あね)さん」

「お姉様、今日もよろしくお願いしますね」

 ギルドの前にやってくると、二人の女がイオに駆け寄ってきた。

 ポニーテールで露出の高い剣士っぽい女がイオを「(あね)さん」ってよんで、ソロン教の法衣みたいなのを着てる若干穏やかめな女が「お姉様」とよんだ。

 ……姉さんにお姉様だあ?

「おはよう。今日も頑張ろうね」

「はい! 姉さんがいれば無敵です!」

「今日も思いっきりアレクシスパーティーを見下しましょうね」

「ジュリア、いつも言ってるけど、そういうことは言っちゃだめ。アレクシスさんはギルドの大先輩なんだから」

「はい……」

 しゅんとする法衣の女――ジュリアっていうのか。

「しかし姉さん、ギルドのランクがAまでしかないから姉さんが向こうと同等なのであって、実績とか見ると姉さんはとっくにアレクシスパーティーを越えてると思います」

「だとしてもだよ、アグネ。センパイはセンパイ、尊敬はしなきゃ」

 で、剣士なのがアグネか。

「二人ともわかった?」

「はい……」

「わかりましたお姉様」

 イオに説教(?)された二人は落ち込むところか、逆にうっとりした顔でイオを見た。

「やはりお姉様は素敵」

「そりゃ姉さんだからな!」

 意味不明な崇拝までされてるしまう。

 ていうか今の一瞬でいくつかの疑問が生まれたんだけど。

「そうだ、二人とも紹介するね。今日一緒に行ってくれるカケルさん」

 イオはおれを見て、二人に紹介した。

 瞬間、二人はいやそうな顔をした。

 うわー、露骨だー。

 二人して「なんだこの馬の骨は」って顔をしてる。

 なんか面白いぞ。

「結城カケルだ、よろしく」

「……」

「……」

 二人から睨まれた。そして挨拶もない。

「アグネ? ジュリア?」

「どこの馬の骨かは存じませんけど」

「姉さんの足を引っ張ったらぶっ殺すからな」

「ああ、わかった。足は引っ張らない」

 そういって四人で出発した。

 イオがこっそりおれの横に来て、小声でいった。

「ごめんなさいカケルさん。二人がすっごい失礼を」

「いやそれはいい。それよりもお前、Aランクになってたのか」

「うん……なった」

「Aランクが最高なんだっけ」

 さっきの話をまとめて思い出す。アグネとジュリアの口ぶりはそうだった。

「うん、一番上」

「そうか、すごいな」

「そんな」

「よく頑張ったな。さすがおれの女だ」

「――うん!」

 褒めてやるとイオは多いに喜んだ。

 そのあとアグネとジュリアに呼ばれてそっちに行った。

 三人の後ろについていきながらおれは考える。

 最初は一緒に戦うかって考えてたけど、それよりも様子見をしたくなった。

     ☆

 イオ、アグネ、ジュリアのパーティーはかなりバランスがとれているパーティーだ。

(あのアグネという女、いい剣士だな。あれほどの細身で大剣を軽々と振り回るのはなみではないぞ)

「そうだな」

(そっちのジュリアも戦況をよく見ている。回復魔法と補助魔法のタイミングがばっちりだ)

「ああ。それよりもイオだ、あの雷の魔法、おれと出会った頃に比べたら威力も連射力も大分上がってるな」

(そうだな。あれならAランクというのもうなずける)

「物理、魔法、回復。高いレベルでバランスのとれたパーティーだな」

(冒険者としては100点満点だな)

 三人が戦っている最中、その後方の少し離れたところでおれはエレノアと評論としていた。

 腕組みしつつ、三人についていく。

 ギルドから依頼されたのはモンスターの退治。

 高レベルモンスターが湧くところを定期的に「掃除」する依頼だ。

 おれがみた感じ、山ウシの数倍は強いモンスターを三人がザコのように倒していく。

 倒し方は色々あるけど、一番多かったのはアグネが足止めして、イオが魔法で倒して、ジュリアが回復魔法をかけるってパターンだ。

 それが全部の五割をしめてる……二人がいかにイオを信頼してるかって事だ。

 モンスターを倒し、次のモンスターを探す。

 アグネとジュリアはイオに隠れてひそひそ話をした。

「ジュリア、あの男なんなの」

「本当ですわ。我が物顔でついてくるだけで、戦いもしない」

「剣士みたいだけど、あれ魔剣の偽物だよな」

「あんなものを自慢するようにもってるなんて。お姉様、なんであんな男を連れてきたのでしょう」

 二人はひそひそ話のつもりだが、おれには筒抜けだ。

 777倍で耳はいいからな。

 近くにいるイオには聞こえてないけど、おれには全部聞こえてる。

「偽物だってよ」

(もう慣れたわ)

 意識の中でエレノアが鼻を鳴らした。

 さらに進むと、今までとは桁違いの威圧感を感じた。

 ヤギの頭、人間の体、黒い翼に巨大なカマを持つ。

 人間とほとんど変わらないサイズだけど、威圧感と存在感はたっぷりだ。

「でたな! ジュリア、頼む!」

「うん、お姉様は今の内に」

 ジュリアが補助魔法をかけて、アグネがヤギ頭に飛びかかった。

 ヤギ頭がカマで受け止める。

 ドーン!

 金属音じゃなくて、爆発音が聞こえた。

 衝撃波も飛んできた。服がパサパサ煽られる。

(やるな)

「ああ」

(おとーさん、イオお姉ちゃんを助けなくていいの?)

 それまでずっと黙っていたひかりが聞いてきた。

「そうだな」

 おれは呪文詠唱の準備を始めているイオに近づき、小声で聞いた。

「大丈夫かイオ。雷の魔法、貸し出そうか?」

 イオはおれをみて、感激した表情をした。

 しかし、すぐにそれをおさめて、首を振った。

「ううん、カケルさんは見てて」

 そして前を見る。

「今のわたしを見てて」

「わかった」

 おれは下がった。

 再び元の位置にもどった。

 イオは魔法を詠唱した。

 魔力が高まり、服がその魔力の光に吹かれてなびく。

 その間アグネとジュリアは前線でヤギ頭を食い止めた。

 今までと違って苦戦してる。傷つき、それでも何とかしがみついて二人で必死にイオのために足止めしてる。

 こっちは助けた方がいいかもしれないって思ったくらいだ。

「アグネ、ジュリア」

「はい!」

「わかりました」

 イオによばれて、二人は同時に下がった。

 戦力でヤギ頭から距離をとる。

 次の瞬間、空から雷が落ちた。

 落ちて、落ちて、また落ちる。

 一発、二発、三発……四発五発六発。

 まるで終わりのない、荒れ狂う稲妻がヤギ頭を襲った。

 連射される雷の魔法、途中で何発うったのかわからなくなった。

(ごじゅうろっく、ごじゅうしっち、ごじゅうはっち……)

 かわりにひかりが数えていた。

 そして
(ひゃーく)

 それで打ち止めになった。

 きっちり百発。空から稲妻が百発落ちてきて、全部ヤギ頭にヒットした。

 黒焦げになったヤギ頭が倒れて動かなくなった。

「……ふう」

「姉さん!」

「お姉様」

 虚脱して倒れそうになるイオに、アグネとジュリアが駆けつける。

 ささえて、倒れない様にする。

「ありがとう」

「いいえ! それよりも今日もきっちり百発行きましたね!」

「お姉様の十界百雷陣ライトニングハンドレッドはいつ見てもうっとりしますわ……」

「その恥ずかしい名前やめて」

 イオはそういって、おれをみた。

 どうだった、わたしどうだった、と言う顔で。

 二人に見せたのは「お姉様」としての顔。

 おれに向けて来たのは「わんこ」的な顔。

 かわいいな――
「お、お姉様!」

 ジュリアが悲鳴の様にイオの名前を呼んだ。

「な、なんだって?」

 次はアグネだ。

 驚く二人、その視線を追いかける。

 するとそこにヤギ頭がいた。

 さっきのとは違う、微妙に顔が凶悪になって、筋肉質なヤギ頭。

 そして。

「どうして……こんなにいっぱい出てくるんですの」

「20はいる……こんなの、今までなかったぞ」

 驚愕する二人の女。

 どうやらアクシデント発生のようだ。

「お姉様、ここは逃げましょう」

「あたしがしんがりするから、姉さんははやく」

 おれはエレノアとひかりを抜いて、黒いオーラを纏って前に出た。

(とうとうやるのか)

(ひかりがんばる。いっちにー、さんしー)

 エレノアもひかりも、口調はワクワクしていた。

「な、なんのつもりだお前は」

「ちょうどいいですわ。お姉様、あの男が生け贄になってる間に逃げましょう」

 さんざんな事をいってるな。

「逃げる? なんで?」

 一方のイオはきょとんとしていた。

 ちらっと背後をむくと、イオは微笑んでいた。

「逃げる必要なんてないよ」

 アグネとジュリアは言葉を失った。

 イオから向けられる全幅の信頼。

 それを背に受けて、オーラを纏ったおれは自然体で前に進む。

「二十匹か」

(競争してみるか?)

「なにとだ?」

(やつらより速く倒せるか)

「……のった」

 おれはにやりと笑った。

 後ろから息を飲む気配がしたが、とりあえず無視。

 エレノアとひかりをかまえて、きりかかる。

 ヤギ頭二十匹。

 倒しきるまでのタイムは、ぎりぎりでイオ達が一匹倒すのを上回った。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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