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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

コモトリア王国編

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70.確率の壁

 昼下がりのリビングに、おれとデルフィナがソファーに座って向き合って、離れた所でひかりがチビドラゴンを抱いてこっちを見ていた。

「コモトリアで領地をもらったことは知ってるな?」

「ええ、その領地が更に増えたことも」

「さすがデルフィナ、耳が早い」

「情報は商売の基本ですわ」

「その領地、お前に任せる」

「あら」

 デルフィナの目の奥が光った。

 肉食獣のような、獲物を見つけた時の瞳だ。

「わたくしに任せて頂けますの?」

「ああ、全部お前に任せる」

「税収も?」

「全権委任だ」

「念の為にお伺いしますが、ユウキ様はご自身の領地がどれほどのものかご存じですか」

「知らない」

 デルフィナは笑った。「しょうがないなこいつ」っていう、半分呆れた笑いだ。

「でしたら――」

「どんなものだろうと、お前に任す」

「え?」

 デルフィナが驚く。意表をつかれた顔をする。

「どんなものだろうと、ですか」

「ああ、全部お前にまかせる。うまく運営してくれ。で、利益が出たら全部お前にやる」

「え?」

 デルフィナはますます驚いた。さっきの比じゃなくくらい驚いた。

「な、何を企んでますの? そんなこと、ユウキ様に何一つ得が――」

「おれの女が更に強くなる」

 デルフィナの疑問を遮った。

「それ以上の得はあるか?」

「……あなたって方は、いつもこう」

 デルフィナはちょっと拗ねた。

 その拗ね顔は可愛いけど、そういうのは夜にとっとこう。

「やるか?」

「やらせて頂きますわ。後から後悔してもしりませんわ」

「なにを後悔するっていうんだ」

「わたしの事、お買い上げなさるという約束を忘れた訳ではありませんわよね」

 ジト目で睨まれた。なんだその事か。

「忘れてないぞ、それは。それも含めてだ。おれ以外、世界中の誰にも買えないような女になれ」

「……わかりましたわ」

 そういって、デルフィナは部屋から出て行った。

 さり際、口元に笑みが浮かんでいた。

 ま、領地の事はあいつに任せとけばいいだろ。

「おとーさん」

 ひかりがチビドラゴンを抱いたままこっちにやってきた。

 ニコニコして、とことこと歩いて。

 かわいくて仕方がない。

「どうしたー、ひかり」

「あのねおとーさん、いまって暇?」

「おう、暇だぞ――」

 コンコン、とノックされた。

 ひかりの口から「あっ」って言葉が漏れる。

「だれだ」

「ナナです」

「入れ」

 ドアがはいて、ナナが入ってきた。

 いつもの鎧姿で、長穂のロングソードを下げたびしっとした姿。

 デルフィナとは違って、ナナはおれの前に立ったまま口を開く。

「お時間大丈夫でしょうか」

「……ああ」

 ひかりをちらっと見た。ひかりはチビドラゴン抱いたまま、とことこと元の場所に戻っていった。

 あとでフォローしよう、そうおもってナナを向く。

「どうした」

「奴隷兵の訓練のご報告に上がりました」

「ああ」

「昨日の模擬戦で14名が負傷、うち一人は全治一ヶ月のもの。しばらくは訓練からもはずそうと思う」

「訓練自体はどうなんだ?」

「予定通りです。主が率いるのなら、同数の相手なら戦えます」

 まだまだって事か。

 奴隷兵は今200人、おれが先頭にたってようやく200人の相手と戦えるくらいってのは、だめもだめ、ダメダメって事だ。

「引き続きやってくれ」

「はっ」

「ああ、あと」

 おれは異次元倉庫を開く。そこから白い魔法の玉を一個取り出す。

「これを重傷のヤツに使ってやれ。一瞬でなおる」

「承知した」

 ナナは魔法の玉を受け取って、部屋から出て行った。

「おとーさん」

 再び、ひかりがやってきた。

 おれの前にたって、一瞬ドアの方をみて、それから切り出す。

「あのね、最近くじ引きいってないよね」

「ああ、そういえば」

「いついくの?」

 別にあえて行かなかったわけじゃない。ログインボーナスのために、おれは毎日一人で行くだけは行ってた。

 ひかりを連れて、引くためにいってないだけだ。

 なるほど、それにいきたくてチャンスをうかがってたのか。

「よし、今から行こうか」

「本当?」

 ひかりはぱあ、と顔をほころばせた。

 可愛い盛りの年頃のひかり、世界一かわいい笑顔を見せてくれた。

 そこに、コンコン、とノックされた。

 ひかりがあきらかに失望した顔をする、ドアが開いてミウが入ってくる。

「ご主人様、カランバ王国からの使者がきてます。女王陛下の勅使っていってます」

「勅使、リカのか」

 ひかりは寂しそうな、それでいて聞き分けのいい大人びた顔をして、元いた場所に戻ろうとする。

「ひかり、ちょっとまって」

「おとーさん?」

「ミウ。そいつ待たしとけ」

「は、はい、わかりました」

 ミウは部屋を出た。ばたばたと足音が遠ざかるのが聞こえた。

「おとーさん?」

「行こうか」

 ひかりの手を取って、にこりと笑いかける。

「うん!」

 そして、歩き出す。あのくじ引き所に行くことを念じて、一緒に足を踏み出す。

 光景が一瞬で変わる、あのくじ引き所に来た。

 丁度、例の男が出て行くのが見えた。

 おれと同じ時に商店街でくじ引きをして、触手というスキルをもらって異世界に来た男。

 いつもいつも大量のくじ引き券を持ってくることで、印象に残ってる男だ。

「いらっしゃいませー」

 くじ引き所のスタッフが相変わらずの笑顔でおれたちを出迎えた。

 おれと、ひかりと、そしてエレノア。

 なぜかここでだけ人間化するエレノアに、ひかりはさっそくひっついた。

 おれはスタッフに聞く。

「さっきの人、結果どうしたか?」

「まあまあです、120枚のくじ引き券を持ってきて、そこそこあたりましたよ」

「120枚! 相変わらずぶっ飛んでるな、あの人」

「いつもすごいです」

「こっちはこれだ」

 くじ引き券を取り出す。奴隷兵を揃えたこととか、そこで使った金でゲットした20枚のくじ引き券だ。

 すると、おれはある事に気づく。

 スタッフの後ろ、くじ引きの景品リストが変わっていた。

 おれはそれをじっと見つめた。

・参加賞 魔法の玉(白)
・5等賞 魔法の玉(黒)
・4等賞 追加攻撃1% 3倍
・3等賞 追加攻撃3% 3倍
・2等賞 追加攻撃10% 3倍
・1等賞 追加攻撃100% 3倍対象外

 景品が大きく変わっていた。似たようなものがずらっと並んでいる。

 このパターン、前にも見た事がある。

 スタッフを見つめて、聞いた。

「景品が変わったのか」

「はい。先日コモトリア王国で新しい国王が即位しました。それによって、コモトリアの国政が正常化しました。大きなイベントが発生したので、その記念として期間限定くじ引きです」

 やっぱりそうだった。

 前の能力貸し出しと一緒だ。

 メルクーリが紙幣を発行するようになったのと同じパターンで、コモトリアの国王が替わったから、その記念で期間限定くじ引きをやった。それと一緒だ。

 ちなみによく見ると魔法の玉の黒と白がいつもと逆になってる、これも限定だからだろうか。

「そしてなんと、今は2等から4等までが通常の三倍の確率で出るようになってます!」

「一等はないのか」

「一等はありません! そのための一等です」

「なるほどな」

 おれは頷き、くじ引き券をスタッフに渡した。

「はい、20枚で、22回ですね。どなたが引きますか?」

「どっちが引く?」

 振り向き、エレノアとひかりに聞く。

「いっしょ!」

 ひかりは少し考えて、エレノアにひっついたまま言った。

「仕方ないな」

 二人一緒に抽選機の前に立って、スタッフが用意した台に乗って、抽選機の取っ手を握った。

「せーの」

 抽選機を回した。

 ガラガラガラ、ポトッ。

 白、白、白、黒、白、黒――。

 外れがほとんどで、たまに五等が当る。

 いつものくじ引きでおれは気にしなかった。

 景品リストをみて、その効果を想像する。

 何となく想像できるけど、どれか手に入れて、試してみたいところだ。

 4等を当ててくれないかなと思っていた。

 22回目、最後の玉。

 金色の玉がでてきた。

 ハンドベルがなる、ガランガランの音が部屋に響く。

「おめでとうございます! 一等賞です」

「……え?」

 おれはビックリした。

 景品リストを見る。3倍対象外の文字が大きく躍っている。

 なんと、一等賞が確率の壁をこえて出てきた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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