挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

コモトリア王国編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

70/288

69.姫と闇を同時に征服する

「退位しよう思う」

 翌朝、謁見の間。

 おれとアウラが下に立って、玉座には国王が座っている。

 国王はくたびれきってた、もとからしわしわのじいさんだったけど、それからさらに一気に歳をとった感じで、今にも死にそうな位弱っている。

「お父様……」

「わしの不明だ。まさか魔物を妃にしていたとは、魔物の言われるがなっていたとは」

 国王は手で顔を覆った。

「アストレア、クロラス、シーマ、ダフネ、エウニス、レナ、レダ……」

 名前を呼ぶ、娘達の名前だ。

「おおおおお……すまぬ、すまぬ……」

 顔を覆ったまま嘆き、もういない娘達に懺悔する。

「お姉様……」

 横にいるアウラも涙を流した。

 正直弱った。どんな顔でここにいればいいのかわからない。まさか笑うわけにも行かないし。

 黙るしかなかった。

 黙ってみてて、二人が落ち着くのを待った。

 アウラが先に戻った。

「お父様、この国はまだお父様が必要です。どうかこのまま、わたし達を、そして民を導いて下さい」

「魔物を引き入れた罪は……重い。退位は避けられん」

「お父様」

「そこで、次の国王だが……その……」

 国王は口籠もった、アウラをちらちら見て、何かためらってる様子だ。

 退位するのはあんなにきっぱり言ったのに、今更何をためらってるんだ?

(今更息子に、って言いだしつらいのではないのか?)

 エレノアが言った。なるほどそういうことか。

 エイレーネに言われるがままに娘を殺してきたのは息子を王にするため、正気に戻った手前、やっぱり息子に、って言いだしつらいのか。

(その執着、そして心の弱さがつけ込まれたのだろうな)

 そうだな。おれもそう思う。

 口籠もる国王。エレノアに遅れてそれにアウラは気づいた。

 アウラは片膝ついて、頭を垂れて言った。

「国王は王太子が継ぐべきと考えます。アウラ・トリデカ・コモトリア、微力ながら臣下として新王を支えていきたいと存じます」

 それっぽい口調で、国王が望んでる事をいった。

 国王は見るからにほっとして、表情が明るくなった。

(だから取り込まれるのだ)

 エレノアは容赦なかった。

 おれも……結構同感だった。

     ☆

 アウラの家に招かれた。

 王都クラデスの一番賑やかな地域にある立派な屋敷。おれの屋敷の数倍は豪華で、さすが一国の姫だと思った。

 たくさんの執事とメイドに出迎えられて、応接間に通された。

 ちょっと待つと、アウラが現われた。

 姫ドレスを着た姿は今までみた中で一番綺麗だった。

 アウラは背筋をピンと伸ばした上品な歩き方近づいてくる。

 おれの前に立って、見つめて、頭をさげた。

「ありがとうございました。全て、あなたのおかげです」

「おう、感謝しろ」

「はい、本当にありがとうございました」

 アウラはもう一度頭を下げて、それから言った。

「お父様に進言してきました。あなたには子爵……男爵の一つ上の位を授けることにしました」

「そうか」

「以前下賜した領地も、それより更に広いものを与えるそうです」

「領地? ああそんな事もあったっけ」

 コモトリアの使者がおれの屋敷に来たことを思い出した。

 確かあの時男爵の他に領地をくれるって言ってたっけ。

 あまり興味なかったから、今まで忘れてた。

「広いのか?」

「はい。爵位はすぐに上げられないとのことなので、領地の方を増やしました」

「ふーん。それ、面倒臭いからお前が管理してくれ」

「え?」

「領地とかはあまり興味ない。ぶっちゃけ爵位も」

「そ、そんな……」

 アウラの表情が崩れた。

 部屋に入ってきたときは気品のある王女らしい顔だったけど、今はちょっと泣き出しそうになってる。

「それではお礼ができません。なにか……なにかお望みの品はありませんか?」

 泣きそうな顔で、すがりようにおれにきいてきた。

「お前」

 おれは即答した。

 もとからそれしか要求するつもりはない。

 アウラはきょとんとなった。

「わたし、ですか?」

「ああ、おまえ」

「わたしって、それは一体――あっ」

 理解がちょっと遅れたけど、アウラははっとした。

 顔を赤らめてる当たり、正しく理解したのは間違いないだろう。

「そう、お前を抱かせろ」

「ご冗談を、子爵位よりも、領地よりもだなんて」

「冗談じゃない。お前はいい女だ、お礼はいい女でいい」

「……本気でおっしゃってますか」

「本気だ」

 おれはまたも即答した。

 アウラはますます赤面する。

 赤面して、もじもじする。

 ちょっとじれったかった。嫌がってる訳じゃなさそうだったから、おれはアウラをお姫様だっこで抱き上げた。

「ベッドの部屋はどこだ」

「え、えええ?」

「どこだ」

「えと、そこをでて左に」

「よし」

 アウラを抱き上げたまま、大股で歩きだす。

 外に出ると、そこにいる使用人達と遭遇した。

 執事もメイドも、驚いた顔でおれを見る。

 アウラは手を顔を覆った。恥ずかしくて死にそう、って感じだ。

「あの……」

「なんだ、今更やだって言っても――」

「はじめて助けられたときから、ずっと好きでした」

 アウラは蚊のなるような声で言った。顔を覆いながら言うその姿はちょっとヤバイくらい可愛かった。

 おれはアウラをベッドのある部屋に連れ込んで、謝礼として彼女を抱いたのだった。

     ☆

 闇の中、小さいトカゲの魔物がもそもそしていた。

 トカゲはある一点に集まっていた。

 黒いもやがあるその一点に、まるでブラックホールのようなそこに。

 子トカゲがやってきては飛び込む、やってきては飛び込むを繰り返す。

 すると黒いもやは徐々に大きくなる、子トカゲが飛び込む度に大きくなる。

 それを繰り返して、丸一日。

 黒いもやが固まって、そして卵の様に割れた。

「くはあ!」

 中からトカゲが出てきた。

 黒い卵を割って出てきたのはトカゲ姿のエイレーネ。しかしその姿は小さく、子供と同じ位だった。

 エイレーネの顔は憎悪に満ちている。

「あの男……許さない、絶対に許さないっ」

 吐く言葉も、やはり憎悪に満ちていた。

「なぶって、まわりの物からなぶって……生きてきたことを後悔するくらいじわじわなぶって殺す!」

 目が血走っている、宣言を何があっても実行するという強い意志が感じられた。

「……」

 音もなく一人のおとこが現われた。

 黒装束を着た、暗殺者のような格好の男だ。

「お前か、丁度いいところに来た」

 エイレーネと男は知りあいのようだった。

 憎悪が完全に消えたわけじゃないけど、男を見た途端少し収まった。

「わたしを連れ戻してくれ、力を取り戻して、あの男を――」

 エイレーネが言い終わるの待つことなく、男は手を突き出した。

 猛然と、ボディブローの軌道で突き出した。

 手がエイレーネの体を貫通する。背中から出る血まみれの手刀は爪先が鋭く、にんげんのものではないように見えた。

「かはっ……な、なぜ」

「憎しみが消えそうに見えなかったのでな」

 男は冷酷な口調で言った。

「制御不能のヤツはそこからほころびが生じる」

「だからと言って……わたしを……」

「わるいな」

 男はもう片方の手も使ってエイレーネを串刺しにして、そのまま左右に引き裂いた。

 再生したばかりのエイレーネが真っ二つになって、今度こそ絶命する。

 男はそんなエイレーネの姿をちらっと見ただけで、興味を失せたかのように反対側をみた。

「エイレーネをここまで子供扱いするとは、予想以上の強さだ」

 その言葉はさっきまでと違って、少しだけ弱気になっているように感じられる。

「我々の誰よりも強い。一対一ではもはや止められんな」

 更につぶやき、今度はため息を吐く。

「魔剣を従属させる男……魔剣を新たに生み出した男。関わりにならないようにみんなに徹底させねばな」

 そう言って、男は闇に消えた。

 カケルがいないところで、闇が、その動きを大きく変えていた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ