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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

コモトリア王国編

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68.悪は栄えない

「ふんぬうううう!」

 トカゲが雄叫びをあげてしっぽを振ってきた。直前までの妖艶な美女の姿からとても想像できない雄叫びだ。

 おれは横にかわす。直前までいたところにしっぽがたたきつけられる。

 地面が割れる、建物が揺れる。

 普通の人間じゃ、あたれば無事じゃすまない程のパワーだ。

「そらそらそら!」

 ドゴーン! ドゴーン! と轟音が響く、しっぽの連撃が飛んでくる。

 試しに受けてみた。

 真上から振り下ろされるしっぽを、クロスした魔剣二振りで受け止めた。

 ずしり、という手応えがきた。

 ミシッ! と足元の地面が割れる。

「かなりのパワーだな。見た目通りというわけか」

「くく、それをわかったところでどうしようもあるまい」

「かわせばいい。あたらなければどうと言うことも」

 そういっておれはしっぽを躱す。一撃必殺級のしっぽんがことごとく地面にたたきつけられる。

「ち、すばしっこい。ならこれでどうだ」

 エイレーネはそう言って自分の鱗をひっこぬいて、ばらまいた。

 鱗が空中で変化して、小さいエイレーネみたいなのになった。

 小さいトカゲがわらわら群がってきた。

 おれの足を掴んで、文字通りの足止めをする。

「足が止まったな、ならしねええええ!」

「危ない!」

 背後からアウラの悲鳴が聞こえた。

(いうほど危なくないがな)

(うん、おとーさんだもんね)

 頭の中で母娘の会話が聞こえる。危機感がまったくない会話だ。

 その通り、危機感なんてまったくない、あるはずもない。

 振り下ろされたしっぽを――こんどはひかりで受け止めた。

 短い方の魔剣であえて止めた。

「なっ!」

 驚愕するエイレーネ。

「はああ!」

 気合一閃。エレノアを横薙ぎにふった。

「ぐあああああ!」

 悲鳴が轟く。建物が震える程の悲鳴。

 エイレーネのしっぽが途中から真っ二つにされた。

 うごめくしっぽの断片、切り口から漏れる黒いオーラ。

 エイレーネはしっぽを抱え、悶えた。

「ば、ばかな。わたしのしっぽが、わたしの皮膚に刃が通るなんて」

「ああ、硬さが自慢だったのか? それは悪いことをした」

 そういいながら、おれは突進して、今度はひかりで斬りつけた。

 断面のしっぽ、それを更に輪切りにする一撃。

 まるで厚切りハムのようなしっぽが宙を舞い、地面に落ちる。

「ぐお、うおおおお……」

 悲鳴の質がわかった。

 苦痛の成分があきらかに増え、建物を揺らす程ではなくなった。

 落ちたしっぽをエレノアで突き刺し、宙に放り投げ、ひかりでみじん切りにした。

 肉の破片がバラバラに飛び散る。

「貴様ぁぁあ」

 憎しみの声だ。エイレーネは血走った目で、憎しみを込めておれを睨んだ。

「それでおわりか?」

「くっ」

 エイレーネがジャンプして、飛び下がった。

 おれとの間に召喚した、鱗が変化したミニサイズのトカゲが割って入る。

 エイレーネを守っている。

 それを切り捨てた。

 一刀一殺。全部一撃で切り捨てて、エイレーネに向かっていく。

 追い詰めていく。エイレーネに最初の頃の威勢と余裕はなかった。

 あるのは憎しみ。憎しみ純100%の目でおれをみた。

(いたぶるな、とっととトドメを刺せ)

 エレノアに言われた。そうだな。

 むかついたからお仕置しようとしてるけど、さっさと殺した方がいいな。

 そうおもって、エレノアを構えた。

「く、くくくくく」

 エイレーネがいきなり笑い出した。

 得意げな表情で、いきなり。

「なにがおかしい」

「くくく」

 エイレーネは答えず、指をパチンをならした。

 目玉にコウモリの羽がついた魔物が現われた。

 魔物はプロジェクターのように、目から光をはなって、映像を投影した。

 映し出されたのはどこかの寝室、豪華なベッドの上に中年の女が寝ている。

 そのまわりを、ミニトカゲが取り囲んでいた。

 音声も聞こえる、ミニトカゲが怪人のような声を上げている。

「なんだこれは」

「お母様!」

 アウラの悲鳴が聞こえた。

「お母様? お前の母親なのか、この人」

「うん! お母様、お母様をどうするつもりなの?」

「それは貴様らの心がけ次第だな」

「人質か」

「貴様とアウラが繋がっているのはわかっていたのでな、あらかじめ手を打たせてもらった」

「……卑怯な」

 おれはつぶやき、迷った。

 このままこいつを殺すのは簡単だ。

 レッドドラゴン・オリビアと戦ったおれからすれば、こいつの強さは虫けら同然。

 オリビアの100分の1程度でしかない。

 だから殺すのは簡単、だがそうすれば、アウラの母親がどうなるのかも簡単に想像がつく。

 間違いなく殺されるだろう。

(どうする?)

(おとーさん……)

 どうしたもんかな。アウラの母親、映し出されてる場所には行ったことないし、ワープで飛ぶことはできない。

 人質……むかつくけど、効果がある。

 しかたない、か。

 と、おれが思ったその時。

『カケル!』

 目玉の魔物から音声が聞こえてきた。

 聞き覚えのある声、おれの女の声。

 直後、アウラの母親の横にメリッサが現われた。

「メリッサ!? なんでそこに」

 聞くが、ちょっとずれた返事が聞こえた。

『聞こえてるなら安心して! ここはあたしがいるから』

 どうやらテレビ電話みたいなものじゃなくて、一方的に向こうから送信してきてるみたいだ。

 が、状況はわかった。

 そして、後顧の憂いはまったくなくなった。

 魔剣を構え、いつも通り黒いオーラを纏って、エイレーネに向かっていく。

「何をするの?」

 アウラが驚く。

「貴様、人質がどうなってもいいのか?」

「好きにしろよ」

 おれは即答した。アウラもエイレーネも驚愕した。

「強がりが……いいだろう、これを見て後悔するがいい」

 エイレーネはパチンと指を鳴らした。

 画面の向こうで、トカゲがアウラの母親に襲いかかる。

「お母様!」

 悲鳴をあげるアウラ。だがおれは動じなかった。

 攻撃されたアウラの母親――ではなく、その横でメリッサの体から血が噴き出されていた。

 不死の聖女メリッサ、その力はダメージを肩代わりすること、そして不死身であること。

 彼女があそこにいる限り、アウラの母親は死なない。ケガすらしない。

 血が吹き出るメリッサ。その姿は聖女の名にふさわしく、凜々しさを感じさせるもの。

(あとで可愛がってやれ)

 エレノアがいう。もちろんそうするつもりだ。

「ど、どういうことだ?」

 うろたえるエイレーネ。

 一歩踏み出す、エイレーネがぴくっとなる。

「さて、今のが奥の手だったか?」

「くっ……」

「もうないもないのか?」

 言って、目を細めるおれ。

「う、うわあああ!」

 エイレーネが身を翻して逃げ出した。

 途中にいる、状況について行けなくてぽかーんとしてる国王を蹴り飛ばして逃げた。

 もちろん逃がさない。

 まだ部屋の中にいる、ワープで先回りした。

「なっ」

「もう死ね」

「くそがあああ!」

 やけっぱちになって攻撃してくるエイレーネ。

 エレノア一閃。

 エイレーネの首をはねた。

 巨体を揺らして、崩れ落ちていくエイレーネ。

 こっちでも、映像の向こうでも。ミニトカゲが次々と鱗に戻っていく。

 メリッサは血まみれになりながらも凜然としている。アウラの母親は全くの無傷だ。

 こっちではエイレーネが死体になって転がって、アウラはほっとしてて、国王はぷるぷる震えている。

 とりあえず、すべてが片付いたとおれは思った。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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