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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

コモトリア王国編

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66.黒幕の女

 コモトリア王国、王都クラデス。

 メリッサと二人で宮殿に来た。

 おれはいつも通りの姿、エレノアとひかりの魔剣二振りを腰に下げた格好で、メリッサはソロン教の正装、聖女の法衣を纏っている。

 女官に案内されて、謁見の間に向かう。

「なんか陰気臭いな」

 おれは小声で言った。

 建物自体はさすが一国の王宮だけあって立派なものだった。作りも広さも、使ってる調度品もわかりやすく上品で、高そうなものばかりだ。

 だけど、それを上回る陰気さが全体に漂っている。

「前に来たときと大分違う」

 メリッサも困惑してた。

「それに建物だけじゃない、人間もだ」

 おれがいい、メリッサが頷く。

 今案内してる女官も、ところどころ立っている衛兵も。

 どういうわけか全員が陰気臭い。

「気を引き締めよう」

「ええ」

 押し殺した声で言って、うなずき合う。

 女官に案内されて、謁見の間にやってきた。

 そこでしばらく待って、玉座の横から、裾から一人の老人が現われた。

 国王の服と王冠をかぶった、しわしわの老人だ。

(まるでゾンビだな)

(なんか怖い……)

 頭の中で魔剣母娘の声が聞こえる。エレノアは重々しい口調で、ひかりは言葉通り怯えてる感じだ。

 現われた老人は王宮に入ってから見た人間の中で一際陰気臭い顔つきをしていた。

 陰気臭いところか、生気がまったくない。まるで死人の様な、紙のような顔色だ。

「天顔を拝し、恐悦至極でございます」

「おお、おお。お久しぶりですなメリッサ様」

「国王陛下もお変わりないようで」

 国王とメリッサ、二人は形式的なやりとりをした。

 いつもはざっくばらんな口調のメリッサも、聖女モードでやけに神々しく見える。

 一方で口調こそ偉そうな国王だけど、今にも倒れそう、死にそうな具合だ。

「はて、そちらはどなたか」

「結城カケルです」

「ユウキカケル……はて、聞き慣れない名前だが」

「オルティア様が紹介した方ですわ」

 女の声がして、裾から一人の女が現われた。

 グラマーで妖艶な美女。王宮で会った人間の中で唯一生気に満ちあふれた顔の女。

 だが、その目は冷たかった。目が合って、思わず身震いしそうになった位冷たい目だ。

「うっ」

 横でメリッサが小さく呻いた。

「おお、エイレーネ」

「陛下」

 エイレーネと呼ばれた女は国王の横に立って、手を握った。

 七十を余裕で越えてる老人と、二十代後半って位の美女。

 二人はそういう関係(、、、、、、)に見えた。

「して、エイレーネ。賢者様というのは?」

「いやですわ陛下。すこし前にオルティア様から手紙が来たではありませんか。一人、男爵にしてやりたい男がいると」

「おお、そういえば手紙は来てた。そなたに一任したのだったな」

「ええ」

「ということは」

 老人がおれをみた。

「そなたがユウキ男爵か」

「……はい」

 頷く。まるで今はじめてその話を聞いた国王の口ぶりにちょっと困惑した。

「賢者様がいうのなら申し分ない人間のはず。これからも我が国のために励むがいい」

「……はい」

「陛下。聞いた話によると、ユウキ男爵は一騎当千の強者だとか」

「おお、そうなのか」

「一方でそれらは全てうわさに過ぎないというものもございます」

「なんと。どっちが本当なのか?」

「丁度ここにいらっしゃるのですから、ここは一つ、力試しをしてみるのはどうでしょう。うわさなどよりも、実際に試した方がいいでしょう」

「どう試すのだ」

「だれかある。ゴロドをここへ」」

 エイレーネが衛兵を呼び、命令を下した。

 しばらくして、一人の男が連れられてきた。

「なに……あれ」

 メリッサが息を飲んだ。無理もない。

 やってきた男はあきらかに人間ではなかった。

 身長二メートル以上の巨体で、拘束衣を着せられている。

 口から見えるくらいまがまがしい吐息を吐いて――何より目がない。

 人間よりだけど、間違いなく魔物。そんな男だ。

「あれは?」

「死刑囚ですわ。100人以上を素手で引き裂いて殺した凶悪死刑囚ですわ。凶悪だけど力は本物、しかも死んでも問題がない男。男爵の力を測るのに最適でございますわ」

「おお、なるほど」

 納得する国王。

 いやまて、そこで納得するな、その目は節穴か。

「ユウキ男爵、それでいいですわね」

 エイレーネはおれをみた。

 おれは理解した。

 こいつはこれにかこつけて、おれを殺す気だ。

 そして同時に確信する。

 あの目玉はエイレーネと関係がある、と。

「……ああ、問題ない」

 一戦は避けられそうにない。

「カケル、大丈夫なの?」

 メリッサがおれを心配した。

 おれは笑いかけてやった。

「よろしい。だれか、ゴロドの武器を」

 エイレーネが命令すると、今度は武器が運ばれてきた。

 ナタのような武器だ、だけお大きい。

 衛兵が五人でようやく運べるくらいの、大きくて重いナタだった。

 それをゴロドの前に置いて、一人が拘束をはずした。

「坊や、その武器を拾いなさい」

 エイレーネが命令した……死刑囚設定どこに行った。

 ゴロドはナタを拾い上げた、片手でひょいっと拾い上げた。

「おお、なんという腕力」

「カケル……!」

 驚嘆する国王、心配するメリッサ。

 おれはエイレーネに向かって、聞いた。

「あれ、通り魔で死刑囚なんだよな」

「ええ、そうですわ」

「そうか」

 なら、問題ないな。

 魔剣を抜いて、ゴロドを向く。

 どうみても魔物にしか見えない男は、敵意を剥き出しにしている。

 きらいではない。

 国王含めて陰気くささが漂うこの王宮の中で、唯一「熱い」気を放つのこいつのことは比較的きらいではない。

 ないが。

「恨むならお前の主を恨め」

 魔剣二振りを抜いて、構える。

「ぐおおおおお!」

 大上段に振り下ろされるナタ。

 ひかりで受け止め、エレノアで砕く。

 そして二振りの魔剣で、ゴロドを十字に切り刻んだ。

「おお」

「カケル!」

 純粋に驚嘆する国王、ほっとするメリッサ。

「……」

 そして、歯ぎしりして、死ぬほど悔しそうな顔をするエイレーネ。

 黒幕は、やっぱりこの女らしい。

 なら、この女を排除しなきゃな。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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